【ゆる書評】出口治明『復活への底力』
本の紹介記事や読書感想文を、このnoteで書きたいと、かねてから思っていた。
面白い本も、ためになる本も、感動する本もたくさんある。
初めに紹介する本を、何にするか迷っていた。
結局なかなか決まらない。
まぁ、こういうのは無理に決めるものじゃない。
ぜひ取り上げたいと思う本がそのうち出来る。
そう思うようになっていた。
先日、それが唐突に決まった。
面白く、ためになり、そして感動をくれる本だ。
出口氏の本はこれまでにも何冊か読んできた。
内容は素直にうなずけるものもあれば、首を傾げたくなるものもあった。
登録し忘れもあるかもしれないが読了は10冊前後くらいか。
もちろん、氏の著作のほんの一部に過ぎない。
(自分の読書メーターに登録がある読了本は以下の通り)
とにもかくにも、いつも知識量には圧倒されてきた。
最近、お見かけしないなぁなんて、のんびり構えていた。
驚きのあまり、知ったきっかけは忘れてしまった。
ブクログのおすすめ本か、Amazonの新刊紹介か。
Twitterで流れて来たのかもしれない。
2021年1月に脳卒中(左被殻出血)を発症。
そして2022年、復帰!
先日の【週刊読書録】でも少し触れているが、それこそ即購入した。
その日のうちに読了。
この本は紹介しておかなくては。
そう思った。
上記の記事でもちらっと触れたが、私は医療職。
出口氏のように脳血管障害を発症された方とも日々関わる。
脳画像の写真はないので詳細はわからない。
けれど、発症部位と本に語られる症状から察するに、かなり状況はシビアだったと思う。
どうやって本を書き上げられたのか、不思議に思いながら読み進めた。
失礼ながら、それほど重くなかったのでは?なんて思ったりもした。
その考えは、今年のAPU入学式のYouTube動画を見てかき消えた。
(37分頃からご挨拶されます)
確かに私の知る「脳卒中」患者さんの話し方だった。
脳卒中は、同じ部分を損傷されたからといって、誰もが同じ経過を辿るわけではない。
出口氏の元々のIQ、積み重ねた知識や経験もあってこそだ。
周りの人、環境も味方したとは思う。
そういう意味で、出口氏はある意味恵まれていたといえる部分もあるだろう。
その上で、なお圧倒された。
出口氏の意欲、前向きさ、不屈の精神。
当事者にここまでされたら、関わる医療スタッフも誠心誠意応えざるを得ないだろう。
いや、いっしょうけんめい向かったとて、出口氏の思い、希望に応えられるかわからない。
リハビリを担当されたスタッフ、周りの方、そして何より出口氏に頭が下がる。
本当は文章をいくつか引用しようと思っていた。
でも付箋をつけたところがあまりに多く、そして絞りきれなかった。
それでも3箇所だけ引用。
自分が出口氏の立場になった時、こう思える自信はない。
ないけれど、せっかくこの本を読んだのだから、これからは出来るだけそう思うようにしていきたい。
これは全体を通して感じた。
「長崎についてなるべく文章で書いてください」みたいな宿題を出した時、「江戸幕府のいわゆる3大改革はそろって失敗だった。農政が時代を引っ張るとした時代は、とっくに時代のズレを人々に感じさせるには十分だった。(P156部分引用、原文ママ)」なんて答えが返ってきたら、こちらも改めて調べなくちゃいけない。
出口氏の思考は、そんな圧倒的な知識量に裏付けされている。
よく失語症を説明する時には「言葉の引き出しがうまく開かない、ものが探せない状態」と言うことがある。
きっと出口氏はその引き出しの質も量も桁違いなのだろう。
失語症のこと、脳卒中になった時のこと、リハビリのこと、当事者の立場からこれだけ書かれている本はなかなかないと思う。
もし「運命」とか「神」とかがあるとしたら、そういう使命を与えるために出口氏にこの病を与えたのではないか。
そんなふうにさえ思ってしまう。
いくつか引用しながら、改めて本当に頭が下がった。
でも頭を下げて、下を向いてばかりはいられない。
真摯に、また明日から自分も医療職の一員として努力したい。
そう、頭を下げて、足下を見て、そして自分の道を一歩ずつ踏み締めていきたい。
出口氏が紹介されている自主トレ用オンラインサービス
つい長くなってしまいました。
お付き合い下さり、ありがとうございます。
今後もこんなふうに、感銘を受けた本や面白いと思った本、時々紹介していけたらと思っています。
最後までご覧下さり、ありがとうございました。