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#428 楽観主義は、性格ではなくスキル。思考の癖を自覚して、「楽観思考筋肉」を鍛えよう

いかがお過ごしでしょうか。林でございます。

今日は、いつ自分に降りかかるか分からない理不尽や辛い出来事に対する心の免疫強化の話です。ポジティブ心理学を提唱したマーティン・セリグマン教授の専門書から学び、今後意識しておきたいことをまとめます。「自分は何でもネガティブに考えてしまう性格」、「私はメンタルがそんなに強くないと思っている」と認識されている方には、ぜひオススメしたい本でした。

衝撃:自分は楽観主義ではなかった事実

本書の中で、自分の「楽観度テスト」が出てきます。私は、ストレングスファインダーの最上位が「ポジティブ」だったこともあり、以下の記事を書くくらい自分のことを楽観主義であると認識していたのですが、なんと悲観的に考えがちという事実が分かりました・・!

診断の結果、「悪い出来事に対する受け止め方は普通、良い出来事に対する受け止め方は非常に悲観的」で、「総合的には非常に悲観的」という結果だったのです。

これは、悪い出来事があった時には「適度に他責で考えて、今回は運が悪かった」というように解釈できる一方で、良い出来事があった時には「今回だけだろう、自分はそこに特に貢献してないだろう、これが上手くいっても他が上手くいくかは別の話だろう」というように解釈する思考の癖があるということです。

漠然と自分は「楽観主義である」と感じていたところに、この認識のギャップがあると気付きました。この本全体の主張なのですが、「楽観主義というのは、性格ではなく、思考の癖」なんですよね。同じ事象に直面した時に、どのように解釈して、どのような結果に繋げるか、という思考の癖。だから、「自分は楽観主義者か?悲観主義者か?」という問いそのものがズレているという気がしてきたのです。

物事を自分自身にどう説明するか?

本書によると、この「思考の癖」を定めているのが、「いい出来事・悪い出来事」に直面した時の3つの観点からの捉え方です。
それが「永続性・普遍性・個人性」です。

自分自身に悲観的に説明する癖がある人は、悪い出来事に対して、「永続的(ずっとこの状態が続くだろう)、普遍的(何をやっても上手く行かないだろう)、個人的(私が悪いからだろう)」と捉えます。

一方で、悪い出来事を楽観的に説明する癖がある人は、「非永続的(今回は運が悪かった)、非普遍的(今回のことと別のことは話が別)、非個人的(自分ではコントロールできない話)」と捉えます。

良い出来事に対して悲観的に説明する癖がある人は、「非永続的(良いことは続かないだろう)、非普遍的(他のことが上手くいくとは限らない)、非個人的(私の貢献は結果に関係ないだろう)」と捉えます。

一方で、いい出来事に対して楽観的に説明する癖がある人は、「永続的(次も上手くいくだろう)、普遍的(他のことも上手くいくだろう)、個人的(私が頑張ったから)」と捉えます。

このように分類した時に、以下の通り、私は特に「いい出来事」が起こった時に、それを悲観的に考える癖があることが判明したのです。

悪い出来事に対する永続性:3点 やや楽観的
良い出来事に対する永続性:3点 やや悲観的

悪い出来事に対する普遍性:2点 やや楽観的
良い出来事に対する普遍性:2点 非常に悲観的

悪い出来事の個人度:5点 やや低い自尊心
良い出来事の個人度:3点 やや悲観的

性格ではなく、「楽観思考筋肉」の話

繰り返しになりますが、これは「思考の癖」と認識することが超重要です。性格ではないのです。
意識していないと身体が固定的な姿勢・動き方になるのと同じで、意識的に姿勢を変えたり、動き方を変えてみることが出来るということなのです。
つまり、普段から楽観思考筋肉を鍛えるトレーニングをしておけば、「自分は悲観的に物事を考えがち」という人でも、楽観的に物事を考えられるようになります。

また、もう一つ重要な論点として、「楽観主義が有効な場面」と「悲観主義が有効な場面」があるということです。
いつでも楽観主義であればいい!というわけではなく、自分の中で上手く使い分けることができます。状況に応じて「楽観思考モード」と「悲観思考モード」のスイッチを自分で切り替えられるようにトレーニングできればもう最強です。
心のレジリエンスは、かなりのしなやかさを習得していることになります。

本書の主張は、基本的には楽観思考の方が高いパフォーマンスが出るということを研究の成果によって明らかにしています。
例えば、保険の営業の成功率を上げるのに、どれだけの営業の数をこなせるかが成功率に影響するのが想像しやすいでしょう。極端な話、一人しか営業していない人と、1万人に営業した人のいずれが契約数が多くなるかについて、後者の方が多くの契約を勝ち取ってくることは明らかですよね。

で、その量を重ねるところで関係してくるのが、楽観思考かどうか、です。

1万人のリストを頭からアプローチしていって、10人に断られ続けたときに「私には営業は向いていない(個人的な原因に帰結)」、「残りの9,990件も上手く行かないだろう(普遍的な原因に帰結)」と感じてしまうと、段々と次の営業が億劫になってきて、後回しにしてしまいがちです。

一方で、同じ10人に断られ続けても「たまたま相手が忙しかったんだろう(非永続的な原因に帰結)」、「保険を考えている人に出会う確率論的に、もう少しあたれば成約するだろう(非個人的な原因に帰結)」と捉えることができれば、営業活動のペースが落ちません。

ここに、「楽観思考と仕事の成否」の関係性が生じてきます。

それでも、「楽観思考」は個別具体のケースによって使い分けが大切とも主張しています。

【楽観思考が有効なケース】
・何かを達成しようとしているとき
・自分の気持ちを高めようとしているとき
・困難な状況が長引きそうで、自分の健康状態が問題になっているとき
・指導的役割を演じたいとき

【楽観主義が有効でないケース】
・リスクが大きなことを計画するとき
・将来の見込みがはっきりしない人にカウンセリングするとき
・他の人たちの困りごとに同情的であることを示したいとき

「オプティミストはなぜ成功するか」より抜粋&一部意訳

楽観思考トレーニングの方法

では、どのように「思考の癖」を直していくのか。本書では、「ABCの記録」というトレーニング方法が紹介されています。

ABCとは、「困った状況(Adversity)、思い込み(Belief)、結果(Consequence)」のことで、それらの相互作用を理解し、無意識に浮かぶ「思い込み」の部分の「自分自身への説明スタイル」に対して、自分自身で反論するトレーニングです。

例えば、日常の物事に対して、次のようなABCを想定しましょう。

A:自分が目をつけていた駐車スペースが、他に横取りされる
B:あなたは自分勝手な奴だ、と感じる
C:腹を立てて、何となくモヤモヤを抱えたまま1日を終える

このBの部分(思い込み)に対して、自分で反論します。反論の観点は、次の4つ。

1. 証拠はあるか?
2. 別の考え方はできるか?(もっと希望を持てる見方はないか)
3. 思い込みが本当だった場合、それが意味するところは自分にとって重要か?
4. その考えは有効か?(思い込みの正誤を検証する価値があるか)

「オプティミストはなぜ成功するか」より抜粋&一部意訳

先ほどのBに対する反論としては、例えば「相手が自分勝手と言える証拠はあるか?こちらがその駐車スペースに目を付けていることに気付いていなかっただけでは?」と反論するのです。

「そんなお人好しになれないよ」と感じる人もいるかもですが、B→Cの繋がりを考えて「C:他の場所に停められたし、まぁいっかとモヤモヤを後に残さない」結果を取りに行こうと出来るかどうか。なかなか曲がらない筋肉をストレッチしているのと同じであると割り切りましょう。だからこそ、トレーニングなのです。

とにかく大事なのは、自分の信念は思い込みであり、事実ではないかもしれないということに気付くことです。特に私たちは、挫折した時に「根拠のないこと」を根拠にして、自分自身に説明してしまうことが多いです。

この「A→B→C」の書き出しと、Bへの反論、反論したBから導かれるCの推論は、自分一人でやっているよりも、練習相手がいた方が良いかもです。
ご希望の方がいれば、私がその練習相手になりますので、日常で何か思い通りに行かずにモヤモヤしたことがあれば、私に言ってきてもらっても大丈夫です!笑

私も良い出来事に対して、「他も上手くいくはず、自分も頑張ったから」と捉えられるようトレーニングしてみたいと思います。

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林 裕也@IT企業管理職 ×「グローバル・情報・探究」
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