#252 役職で仕事しない!個性で仕事しよう
いかがお過ごしでしょうか。林でございます。
今日は、組織内の「役職」について、私の考えを話します。
「役職」とは、「組織における役割や職務」を意味する言葉ですね。
一般的に、組織内で昇進すれば、役職が「上がる」という言葉が使われますが、基本的なスタンスとして、これは「役割が変化した」ということであって「偉くなった」という意味ではありません。
そもそも「偉い」という言葉があまり好きでないのですが、「偉い」には「地位や身分が高い」という意味の他に、「品行や経歴や才能が立派だ」という意味があります。
そう考えると「組織図という二次元で表現される世界では上の方に出てくる役職」という意味合いで「上の役職で偉い人」というのはいますが、「品行が立派だ」という定義にも合致する「偉い人」は、あまり多くないのではないでしょうか。
何なら、役職上では上の立場にある人だけど、全く尊敬できない横柄な態度を取る人間的にはつまらない人も、少なくないように感じます。
そんな「役職」ですが、当然自分も年齢を重ねていくに連れ、組織内での役職が「上がる」経験を何度かしてきたわけで、その度に「役職で仕事するなよ」と自分自身に言い聞かせるようにしています。
これは、以前の上司が何度も言っていたことで、私が人間的に尊敬できると感じる人は皆、このマインドセットを持っています。
逆に言うと「俺は課長だから」とか「部長の言うことが聞けないのか」みたいな気持ちが透けて見える人は、この上なくダサい。
では、「役職」は何のためにあるのか?組織内の「役職」に対して、どのようなスタンスで捉えるのが良いのか?私なりに考えている論点について、説明していきます。
役職は、組織内で行使するものではない
役職は、組織内の意思決定におけるエスカレーションの順序や、意思決定権と裁量を定義するものです。
例えば、役職が全く定義されていない1,000人の集合体が何らかの意思決定を行う場合、役職が規定されていない状態では、時間もかかるし決定に困難を伴うでしょう。
大小様々な意思決定について、毎回1,000人全員で多数決!なんてやっていたら、埒が開かないですし、集団浅慮を引き起こしやすいため、誤った意思決定を引き起こすこともしばしばです。
だから、組織が組織として動くのに適したサイズ感に分類して、それぞれの責任者の意思決定力に応じた役職を定義していくことが必要になりますが、本質的に「役職」が重要になるシーンは、組織内ではなく、組織外との関係性にあると考えています。
役職が「上がる」ということは、「上がる」前に取り組んでいたプロジェクトや仕事の成果が、その組織内で評価されたということです。
だから、特にB2Bのビジネスでは、自分が一緒に取り組んでいたプロジェクトのビジネスパートナーや顧客にあたる人が昇進する、というのは、その仕事の価値が相手の組織内でも認められた、ということです。
だから、自分が担当したプロジェクトでお客様が昇進したと聞くと嬉しいですし、自分の好きな身近な人の昇進は嬉しく感じます。
これは、相手にとっても同じで、自分の昇進というのは、昇進に至るまでの過程において共に取り組んでいた仕事の成果が社内的にも認められた、ということを意味するので、関係者も嬉しいはずです。だから、自分の昇進の連絡は、直近の仕事でお世話になっている人はもちろん、過去にお世話になったことのある社内の人や、社外の人に伝えることにより意味があります。
より実利的な効果としては、これまで一緒にプロジェクトに取り組んでいた社外で気が合う人が、その組織を動かせる権限が大きくなったということなんですね。物質的な不足が充当されてきて、社会に残された課題がより高度化・複雑化している現代において、一社単独で解決できる課題は少なくなってきました。
そこで、複数組織が越境して課題解決にあたる必要性が増しているわけですが、役職が上にあるということは基本的に、その組織のリソースをより自由に使えるようになるということです。
せっかくA社と組んでいるのに、A社のリソースが全然使えないのであれば、A社と組むメリットは薄れてしまいます。自分が過去に一緒に仕事をしたことがある信頼できる人の役職が上がって、A社のリソースを適切に使えるようになれば、やれることが増えてきますよね。
このように問われているのは、社外の人に対して「自分の組織をどれだけ動かせるか」です。ここが「役職」が持つ最も重要なところであって「部長の俺の言うことが聞けないのか!」と、組織内に対してマウント取るための道具では決してありません。
上から下への「権力行使」はダサい
そもそも「部長が言っていることだから」で、心から気持ちよく動く部下って少ないのではないでしょうか。表面上では従っているフリをするけれど、納得できないオーダーであれば、どこかで必ず手抜きをしたり、適当にやって終わらせる部分が出てくるでしょう。
特に危険なのが、自分が発注元の立場にある時の権力行使です。
ただでさえ「発注元→発注先」という関係性がある中で、発注元の部長のオーダーだから、で発注先の人が動いてしまいがちなんですね。
マウントを取りたい人にとってはそれで満足なのでしょうが、そもそも全体が向かうべき意思決定の方向性にエラーがある場合、プロジェクト全体の貴重なリソースが成果を生まないことに向かってしまう、という意味で、非常にまずいことになります。そんな人は、役職に就いたらダメ。
だから、役職が上の人は、美意識や道徳感を鍛えて、使う言葉や振る舞いには細心の注意を払う必要があるのですね。自分が協力会社や部下からどう見られているのか?を強く意識するのが大切です。
暴言や横柄な態度で周囲を萎縮させてしまうことが、いかにナンセンスなのか、ということです。
役職が上の人に必要なのは、アカウンタビリティ=説明責任です。自分のチーム、周囲の人が納得して付いてきてもらうための言葉を丁寧に尽くすことです。
下から上ヘは突き上げる気持ちで
本来、役職の違いは役割の違いなので、上下も何もないのですが、分かりやすさ重視で便宜的に上下という言葉を使っていきますが、自分が部下の立場で重要なマインドセットは、常に上を突き上げる気持ちです。
仕事をしていれば、「この話は部下の立場の自分が言うのではなく、上司の人が言うのが良いのでは?」と感じる話もあるかと思います。
例えば、「顧客の業界トレンドや事業内容を分析して、その歴史的背景や具体事象から、自分たちが顧客に価値提供できるものを提案する」といった話がしたい場合、これは組織長から顧客の組織長に言ってもらった方が効果がある、と感じる場面を想定しましょう。
ここで大切なのが「上を突き上げる気持ち」です。
多くの人は、これは自分の役職の仕事ではないから、という理由で、提案を引っ込めてしまいます。というより、自分の役職で求められているよりも高度なことに、何も言われなくても手を出していくような動きをしません。
「役職で仕事をするな」というのは、上から下への権力行使をしない、という意味もありますが、「自分の役職では、そんなことは考えなくていいから」という理由で取り下げることもしない、という言葉でもあります。
自分の立場に関係なく、自分のチームにとって必要だと思ったら役職関係なく動く。身分不相応とか決して思わず、上司に対しても必要だと感じたことは、求められていなくてもドンドン提言する姿勢が大切。
それを拒絶する上司は有り得ないです。そんな上司だったら、付いていく必要は全くないです。そして、上を突き上げる行動を続けていれば、その上司の上司にあたる人など、必ず見てくれている人は見ていて、しっかり評価してくれるはずです。
それでは、今日もよい1日をお過ごしください。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!