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#212 今いる人に愛着を持ってもらう組織を作る「次世代型管理職」

いかがお過ごしでしょうか。林でございます。

今日は、先日の記事「#210 採用も大事だが、今いる人のエンゲージメント向上が超大事」について、補足したいことについて話します。

スタエフの方でも簡単に話したことを中心に文字でも補足していますので、よければ音声の方もお聞きください!


前回の話

簡単に前回を振り返ると、人手不足・人的供給制約の現代において、どの企業も採用活動が厳しいという話を聞くし、採用はもちろんとても大切なんだけど、「足りない人員を外から集める」採用活動よりも「今いる人が流出しない組織作り」の方がさらに大事では?という話をしました。

なぜ流出しているのか?に目を向けると、パーソルキャリア社が2024年3月に公表している転職理由ランキングでは、「1位:給与が低い、昇給が見込めない」が36.9%、「2位:社内の雰囲気が悪い」が26.9%、「3位:人間関係が悪い/うまくいかない」が26.6%となっており、2位と3位は現場のマネジメントの問題であると指摘しました。

転職理由ランキング(上記サイトより引用)

そこで、例えば自分であれば、100%できているとは言わないが、それまで品川と職場の往復だけだったプロジェクト運営を変えて、今年度色々とチャレンジ中であることをご紹介しました。
例えば、一緒なプロジェクトで仕事をしている他拠点のメンバーのところに赴いて対面でプロジェクトの進め方についてじっくり議論する時間を作ったり、AI活用のような普段の業務とは少し離れた技術をいかに活用できるのかについて、お客さんと一緒に頭の体操ができるワークショップのような場を提案したり、アメリカに本社を持つ協力会社との中長期的な関係性構築とメンバー育成を兼ねたアメリカ研修の機会をアレンジしたり、ということです。

これらの「外を見る・外から自分たちの仕事を見る」経験、「自分たちの仕事はここまで、という見えない壁を壊す」経験をプロジェクトメンバーに提供する機会を毎年積極的に作っていくことで、メンバーの成長とワクワク感、やりがいに繋がるのでは?という仮定のもとチャレンジしています。

地道な活動としては、普段から私の直属のチーム配下4名の方とは、「炎の1on1」という名前だけ熱い対話の時間を取ったり、自分たちの働き方を月1で振り返る「チーム時短」の議論の場を設けたりしています。

私が今のプロジェクトに異動で着任したのはちょうど1年前くらいですが、管理職としてマネジメントの仕事をする前から、こういうチームビルディングみたいな仕事が好きでやっている面もあります。

今回の話は、「では、こういう動きを自分が勤める会社全体で広げるにはどうしたら良いか?」「他社も含めて、働く人たちが自分の仕事環境にもっと愛着を持って過ごすためにはどうしたら良いか?」について深掘りをしています。

管理職のチーム作りに対する成果を正しく評価する

これは、「ふるさと納税を企画実行してかなり多くの財源を集めてきた公務員の方に対する報酬が図書カードだけだった」みたいな話を聞いて、「いやいや、そんな嘘みたいな話あるの?ちゃんと成果を出している公務員の方が、正当に評価される仕組みを作らないと」と思ったところから連想した考えです。

本来、チームメンバーが「チームや組織が好きなので貢献したい」「ここで自分の成長が望めるから頑張りたい」という気持ちがあり、その人たちが創意工夫することで売上や利益という業績に繋がっていくのが健全な流れです。

だから、チームで業績を出していくためには、チームメンバーが組織に愛着を持ってポジティブに仕事をしていく状況を作るのが、管理職が取り組む最初の仕事だと考えていますが、ここが蔑ろにされて、「チームの雰囲気とかどうでもいいから、とにかく無理してでも成果を出せ!」となってきたのが、これまで多くの職場で見られたマネジメントなのでは?と考えています。

でないと、「社内の雰囲気・職場の人間関係」が転職理由の2位、3位を占める状況にはなり得ないと思うのです。

これまでは「チームメンバーが前向きに仕事できる環境を作る→前向きなメンバーが自由意志で動いていくことでチームの業績が上がる」という順序を踏まずに、「とにかく仕事して成果出せ!」という無理をしても、人材マーケットの流動性も低く、何だかんだ人も余っていたから、多少パワハラがあっても会社組織が維持できてきた。

しかし、いよいよ人的供給制約が本格的になり、生産労働人口は減少の一途を辿り、2014年あたりから有効獣人倍率が1を上回り続ける時代が到来したことから、「メンバーの気持ちとかはどうでもいいから成果出せ!」みたいなスタイルでやっていると、すぐに流出してしまうんですね。メンバー側の立場に立てば、そりゃ当たり前ですね。私も絶対にそうします。

有効求人倍率の推移
https://www.management.paddle-japan.com/recruiting-1/

そうなると、これまで手間がかかると見られていた「チームメンバーが前向きに仕事できる環境作って→そのメンバーの自由意志で成果出していく」みたいなマネジメントを組織内で当たり前にしていく必要がありますが、そこに管理職側の評価が連動していないと、現場の管理職側もなかなか本気で取り組もうとは思いにくいわけです。
現実問題として「現状でも忙しいのに、何でそんな手間がかかることやらないといけないのか?うちはこれまでこのスタイルでやってこれたんだから、マネジメントスタイルを変えないといけないという危機感はない」となってしまいます。

私の職場では、年に1回上長と評価の対象となる目標設定の意識合わせの場を持ち、その目標に対する達成度で評価が決まるわけですが、昨年度までいわゆる売上・利益貢献といった業績目標のポーションが8割以上を占めていました。
チーム作りや育成という項目ももちろんあったものの、評価対象のポーションとしては小さかった訳です。
しかし、上述した通り、地方から深刻化している人的供給制約の本格化の流れを受け、東京の大企業でも現場管理職の仕事の質を1日でも早く変えないと、若い人に選ばれないダサい組織になってしまうという危機感を感じ、今年度からチーム作りに関する目標を50%に設定し直した訳です。

これが凄くいいのは、私自身のチーム作りに対するインセンティブになっている面もありますが、それよりもチーム作りに貢献する様々なチャレンジを「仕事」として正面から取り組みやすくなったことです。

なので、企業人事部の方には、ほぼ効果がないと感じている現場管理職向けの研修よりも、魅力的な組織作りへの貢献を評価対象のど真ん中に置くことの方がより効果的では?という考えをご提案したいです。

「次世代型管理職」を同時多発させる仕組み

まだまだ「管理職=働かないオッサン」というイメージも根強いと感じますが、私がここ数年で感じている大きな変化は、「業績上げるにはチームメンバーを盛り上げてナンボでしょ」という考え方が当たり前にプリインストールされた(=そこにそもそも説得の必要がない)「次世代型管理職」が確実に輩出され続けているという事実です。

年齢の近い「仕事がデキる」先輩はもちろん、私が数年前に社内で管理職任用の試験を受けていた時に出会った仲間達も、本当に尊敬できる人が何人もいました。
私の仮説ですが、おそらく彼ら・彼女たちは、「働き方改革」が叫ばれる前の前時代的なマネジメントの中で、少なからず「マネジメントの被害者」側の立場になった経験があり、そのアンチテーゼ・反面教師として「自分はそうはならないぞ」と感じている人が多いのでは?と思っています。
そして世代的にも「持続可能なやり方が当たり前」という価値観の人が多く、この世代が「上の世代にやられてきたことをそのまま下の世代に継承するのか」それとも「上の世代の良さは受け継いで、令和型にアレンジしたマネジメントに変えていくのか」で、日本企業の元気の良さが変わってくると本気で思っています。

私はここに、メンバーが組織に愛着を感じて成果を出すためのマネジメントのポテンシャルが詰まっていると感じています。普段は別々の現場で奮闘する「次世代型管理職」の取り組みを共有してお互いを勇気付けるようなコミュニティができ、お互いに共感・共鳴できる仕組みができれば強いなと。
このチャレンジは本当にやりがいがありますし、私が「管理職は楽しい!」と感じている所以でもあります。

私がこのような発信をするのも、まさに「次世代型管理職」の共感・共鳴が生まれるといいなという想いのもとでの行動です。
私にやれることを、私の持ち場で1つずつやっていくだけですね。

それでは、今日もよい1日をお過ごしください。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

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林 裕也@30代民間企業の育児マネージャー
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