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#377 マネージャーは文句を言われるもの、というマインドセット

いかがお過ごしでしょうか。林でございます。

今日は、仕事をしていくにあたり、30代に入ってから理解し始めたマインドセットについて話をします。

ビジネスというのは、完全にイーブンな関係性の中で行われるものというのは基本的になくて、いくらフラットな組織であっても経験値の差や、年齢などの属性で取り組む仕事が変わることがあります。また、サービスの提供者とクライアント間にもパワーバランスは存在するし、そこに人のプライドやマウントといった感情も入り込んできて、複雑でカオスな状態なのがデフォルト、くらいで考えています。

マネージャーという仕事も同様で、「責任者の立場だし、一般的にはその分担当者よりも多くの報酬を得ているので当然だろ」と言われたらそれまでなのですが、多少多くの収入となったとしても、なかなか割り切れない事案というのは多いものです。

私はいわゆる「管理職」になる前は、「こんな働き方は自分にはできない」と考えて、任用試験の推薦を受けた時にはかなり悩んだのですが、実際になってみて「こんなに面白い仕事はない」と感じています。

ただ、それは起きている時間が全てエキサイティングだから「面白い」と感じられているかと問われれば全くそうではなくて、9割以上は面倒臭いことや気が進まないことばかり。それでも1割にも満たないごくわずかなところに、やはり自分でマネジメントをやらないと決して感じられないもの・向き合えないものというのがある。これがたまにあるからなかなかやめられない、といった面白さだと認識しています。

1割未満の奥深い面白さがあるからやっていける、というのもありますが、同時に9割の面倒臭いこと・気が進まないこと・理不尽だと感じることへの向き合い方も大事だと思うんですよね。
いくらめちゃくちゃやりがいを感じるポイントがあったとしても、9割以上の大半のところが辛すぎると、さすがに気持ちが続きませんから。

これら9割の時間に対して、私自身はどのように捉えて向き合っているか、ということについてご紹介したいと思います。

物事が上手く回るには、「文句を言われる人」が必要

東南アジアで仕事をしている時に、現地の方が話していたことがすごく印象的だったのですが、「日本では、みんな政府の文句を言うけれど、これは根底には政府という対象に対して、一定の期待感や信頼感があるからではないか。私の国では、そもそも国民の多くが政府のことを信用していないし期待もしていないから、政府のことをとやかく言う人も少ない」ということでした。

また、日本人の知り合いが以前アフリカに留学していた時に「政治と経済、どちらが大事か?」というディベートをしたそうです。日本人の彼女は「経済が大事」という主張だったのに対し、アフリカの人たちは全員「経済の前に、まず政治」という主張だったとのこと。私も「経済が上手く回ることが大前提」という感覚があるので、意外に感じたのを覚えています。

でも、その後ミャンマーのクーデターを身近に経験したり、他国の情勢を見て考えている中で、「経済の前にまず政治」という主張が段々理解できるようになってきました。
そこから一歩進んで自分なりに解釈しているのは、物事が上手く回っていくためには、一定の文句の吐き先となる対象が必要なのだろう、ということです。

日本の政治が課題山積みなのはもちろん承知はしているものの、自身の身近な生活にあたっては、いつもと変わらない明日がやってくる可能性の方が高いと信じて生きており、そういう意味では「政治が安定している」という解釈もできると考えています。

とはいえミクロの世界では、いろんな考えを持った人がそれぞれの役割・立場で動きながら運営されているのが社会ですから、当然物事が上手く進まなかったり、自分一人ではどうしようもない問題にぶつかることもあるでしょう。
そんな時に、やはりそんなモヤモヤを外に出して気持ちを安定させたい、あるいは問題を解決するために立場上出来ることはやる、ということも論理も働きますから、何かを対象にして批判をしたり、文句をいう人が出てくるのはしょうがないものだと割り切っています。

非難の対象が「モノ」や「何かの事象」といった人以外であればいいですが、当然「他の誰か」という「人」になることが多いのは容易に理解しやすいところで、誰でも分かる象徴的な人、例えば「政府」とか「管理者」に非難や文句が向かいがちな面もあると考えています。

だから、当然「政府」や「管理者」の行動そのものに直接的な問題があり、それに対して非難や文句を言われるケースも当然あると思いますが、全てのケースでそうではないという心構えはしておかないとメンタル持たないよなと。

マネージャーの場合、当然「管理責任」があるわけですが、かといって事実が曖昧なものも含めた全ての文句を真っ向からまともに受け続けていては、到底心が持ちません。

役割と個人を同化させない

もう一つ心がけているのは、役割と個人(個性)を決して同化させてはならないということです。
マネージャーは「Manager」ということで「Manage・・・何とかする」人なんですよね。
だから、組織の上からも下からも、クライアントからもビジネスパートナーからも、何か問題が起こったり上手く物事が進まない事態が発生すると、「管理責任」が問われます。

これだけ書くと、最近一般的に言われるようになった「管理職は罰ゲーム」だと捉えられてしまうのですが、この「管理責任」を個人としての行動に全て帰結させてしまわないようにすることも大切ということです。

「管理責任」が問われているのは、マネージャーという立場と役割に対してであり、もちろんそこに就いている人が役割を全うすること、オーナーシップを持って自分ごととして反省・改善することは大切ですが、それは「マネージャー自身の人間性・個人」に対する追求ではないということです。

極端な話、今日から全く新しい組織のマネージャーに就任したとして、その日に世間を揺るがす大トラブルが発生したとしても、その組織のマネジメント責任が問われることもあるということです。
でも、それは組織経営や役割に対する責任が問われているのであって、全く別のところから来たばかりのその人自身の性格や個性を追及するものではないはずです。

基本的には、いい話よりも悪い話があった時に話が来るのがマネージャーであり、組織長の務めなわけなので、それらの悪い話を全て自分自身の人格が否定されている、と捉えてしまうと、それはメンタル持たないですよね。

この文章は、誰よりも自分自身に向けて書いている

この文章は、他のマネジメント職に就いている人や、これからチャレンジしたいと考えている人へのエールであるとともに、自分自身に向けても書いています。

こうやって自分の考えを発信することで、自分自身の励ましにもなっています。

というのも、先日チームメンバーたちと食事をした際に、「林さんは鉄の心を持っていると思っていた」と言われたのです。昔の自分を知っている人であれば、私がいかに豆腐メンタルなのか、ご存知の人ばかりです。

自分に自信がないから人よりもたくさん事前準備して補おうとするし、繊細な心の持ち主なので、誰かに叱られたり指摘をされると、どうしても気になってしまうのです。

これまでも、自分がミスをして謝罪することも沢山あったし、自分のチームの進め方のことで色々言われることばかりでしたが、こういう立場・役割も必要で、自分がそこで全うできる最大限のことをやればいい、というスタンスで、これからも明るくやっていきたいと思います!

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林 裕也@30代民間企業の育児マネージャー
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