【今でしょ!note#140】自分の実力を超えた仕事を続けよう
いかがお過ごしでしょうか。林でございます。
先日まで全3回でお届けした「全員がリーダーシップを持とう」シリーズの補足となる部分も含みますが、今日は自分の実力を超えた仕事を続けていくことの重要性について話をします。
今の仕事がチャレンジングな仕事だと思っていない方や、あまりそのような視点で自分の仕事を見てこなかった方には気付きになる論点もあるかと思います!
リーダーシップの訓練になる
自分の実力を超えた仕事を任されている人は、しっかり結果を出すべき重要な仕事と、時間をかけるべきではないインパクトの低い仕事を分け、優先順位をつけて取り組まざるを得ません。そうしないと一生仕事が終わらないからです。
結果として、限られた仕事時間の中では、重要な仕事だけを選別して取り組むことになります。
一方で、粛々とやればできる仕事だけをしている人は、重要度の高い仕事もそうでない仕事も、すべて細部まで詰めて仕上げる時間的余裕があります。
そのため、高い視点に立って仕事の優先順位を見極める必要性がなく、すべてにおいて重箱の隅を突くような作業に没頭しがちです。
(逆に言うと、重箱の隅を突くような作業ばかりしている人は、自分の実力を超えた仕事に取り組んでいないことになります。厳しい言い方をすると、重要度の高い仕事を任されていないとも言えます)
このように、全力を出し切らなくてもできる仕事を何年も続けてしまうと、知らず知らずに保守的になり、視点が低くなります。精一杯頑張らなくてもできる仕事をしながら、高いスピードで成長し続けるのは誰にとっても困難です。
はじめは同じくらいの能力の2人でも、自分の実力を超えた仕事を3年続けた人と、全力を出し切らなくてもできる仕事を3年続けた人では、3年後の実力に大きな差が生まれます。
それは、「この仕事の成果目標は何か」という視点で全体を見ながら、「何がどこまで出来ている必要があるか」を自分の頭で考えて、重要な仕事を選んで取り組む姿勢が自ずと身につくからです。この成果目標の見極めと、重要な仕事の取捨選択の連続が、立場関係なくリーダーシップを習得する訓練になります。
また、全体から仕事を見る癖が付くため、隣のチームの人が何をしているか、という「横の目線」が身に付きます。高い成果を出し続ける上で「横の目線」を持つことは非常に重要です。なぜならば、自分のみ、あるいは自分のチームのみで定めた仕事の方向性や結論が、隣のチームの取り組みや、より大きな組織単位の目線で見た時に、常に最適解とは限らないからです。
よく議論になる「個別最適ではあるけれど全体最適ではない」と言う話は、各現場で全体最適も気にしながら、自分のチームの仕事の方向性を決めるリーダーシップがある人の総量が組織全体で多いほど、個別最適と全体最適の差は小さくなります。
従って、どこで働く人も「自分の成長スピードが鈍ってきた」と感じたら、できるだけ早く働く環境を変えることをオススメします。転職だけでなく、社内異動、働き方、責任分野変更でも十分です。
とにかく重箱の隅を突いている暇なんてない、真剣に取り組まないと成果を出せない仕事ができる環境に身を置くことです。
目の前のことを真剣に取り組む価値
「若いうちにやっておいた方が良いことは何ですか?」という問いに対して「とにかく目の前のことを真剣にやること」というのは、いつの時代も変わらない本質的な真理であると考えます。
何でもいいから真剣にやれるというのは、一つの能力です。そもそも、なぜ「真剣にやる必要があるか」と言えば、「その人にとっては、真剣にやらないと達成できない仕事だから」ですよね。つまり、前述した「自分の実力を超えた仕事だから」ということです。
はじめは特に、自分のやりたいことと、組織から求められることに乖離があることはよくあります。特に大企業では顕著で、「新卒の配属先が就活時代に希望していた仕事と異なっていた」ということはザラにあります。
それは需給を考えれば当たり前で、その仕事を望んでいる人の人数と、そのポストで必要な人数が必ずしも一致しないからです。あるいは、私自身がまさしくそうでしたが、新卒の時に考えている「やりたいこと」は幻想も多く、自分の勝手な思い込みも多分に含んでいます。
「石の上にも三年」なんて言うつもりは全くありません。しかし、一旦与えられた場所で求められている役割を真剣に取り組めるか、というのは一つの能力です。
目の前にあることを真剣に取り組んでいるうちに、それまで自分が認識していなかった仕事の面白がりポイントに気付くということもままあります。真剣に、試行錯誤しながら成果追求する過程で、必ず能力や困った時に頼れる人と言う資産が築かれています。
一旦真剣にやってみて、それで「これは自分には違うな」と思ったら、その時にはさっさとやめて、違うことをすれば良い。
「選んだ道や与えられた道を正解にするために、一度は真剣に取り組める人」と、「与えられた道が少しでも自分のイメージと違ったら、こんなはずではなかったといつまでもグジグジ言っているだけの人」。
どちらが早く成長して、身につけた能力や信頼を元に自分のやりたいことに近づいて行けるのかは明瞭です。
「がむしゃら資産」を投資する
目の前のことに真剣に取り組む、言い換えればがむしゃらに取り組むことで、知らず知らずのうちに身についていることは沢山あります。これを「がむしゃら資産」と呼んでみます。
「がむしゃら資産」すなわち「何かを真剣にやって身につけた能力や信頼」はお金と似ていて、それを別の何かに投資することで、より大きな資産に変えていくことが可能です。
私の場合も、成長が鈍化してきたと感じるフェーズで次の環境に移り、それまで蓄積してきた「がむしゃら資産」を投資して、次の新たな能力の習得や人間関係の広がりを作ってきました。
私は入社して数年間は国内の大規模な金融システムを構築するプロジェクトに参画しましたが、ここで王道のシステム開発プロセスやその裏にある価値観、業務アプリケーション開発スキル(SQLやJavaのコーディングスキル)をただただ必死に学びながら仕事をしました。
その後、「何かの領域で自分が第一人者と呼べる領域を作りたい!」と考え、社内でも徐々に力を入れつつあったグローバルな仕事への転向を志願。2010年代前半の当時、少なくとも周囲には英語を日常的に使って仕事をしている人はいなかったので、「英語を勉強して先にこの分野で活躍すれば、きっと第一人者になれる!」と考えて異動しました。
そこから東南アジアの仕事を10年ほど担当することになるのですが、入社後国内プロジェクトで学んだ王道のシステム開発経験やアプリ開発スキルが十分に活きたんですね。まさに「がむしゃら資産」を投資して、より実績や周囲からの信頼を大きくできている実感がありました。
その後、東南アジアのビジネスで揉まれたタフな経験や、日本との価値観の違いを目の当たりにして、それを元にグローバルスタンダードな考え方や仕事のやり方を再度日本の仕事に適用するということもできるようになってきました。
結果的に現在、自分の裁量で、自分が重要だと考える仕事に時間を使えることが多くなってきています。(まだまだ過程です!)
このように「真剣にやっている過程ではただ苦しいだけのこと」も、自分でも気付かないうちに能力や信頼に変わっていることは多々あります。
それは別の環境に持っていった瞬間に目に見える形になって、能力として活用した結果、自分の使いたいように時間を使える割合が増えてきます。
だから、「自分の実力を超えた仕事をし続ける」ことが、結果として自分のやりたいことに近付くのです。
それでは、今日もよい1日をお過ごしください。
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