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久石譲でドゥルンドゥルンになる世界

駅に向かって歩くとき、
やりたいことができなかった自分を慰めるように
ジブリのオーケストラを聴いた。

所々で咲いている紫陽花が優しく微笑みかけきて、
お淑やかに降る雨はα波でも出ているみたいに心を和らげていく。不思議と安心が身体中に満ちて足取りが軽くなる。

遠くで鳴った工事現場のパイプの音、
下校途中の学生の笑い声、
通り過ぎていった電動自転車特有のモーター音。
そのどれもが異なる世界へと導くジブリの音楽となぜか調和していて、まるで久石譲の指揮によって必然的に操られているような気がしてしまう。
目の前に人一人が入れそうな穴や輝くペンダント、
古びたトンネルの先にドゥルンドゥルンの食べ物があったなら、きっと僕は別世界へと誘われて二度と帰って来れなくなっていただろう。それほどに世界は曖昧になった。

現実から逃避しようとする自分と久石譲がつくりだす曖昧な世界。
あれ、ドゥルンドゥルンは現実にあって
税金はジブリの世界だっけか。どっちだっけ。
目の前の人が改札に捕まった、
たぶんこれは現実みたいだ。


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