- 運営しているクリエイター
記事一覧
The Elfin Knight by Boann
本日は夏至。 夏至にはいつもシェイクスピアの喜劇『夏の夜の夢』を思い出す。洋の東西を問わず、最も昼の長い特別な日には自然界がとりわけ活気づくように感じられたのか、妖精たちも活気づいて、人間世界と妖精世界が通じ合う。 枕草子に「夏は夜。月のころはさらなり、闇もなほ、ほたるの多く飛びちがひたる」とあるけれど、平安京の人びとも蛍を西洋の妖精みたいな存在みたいに感じていたか。 夏至の妖精はケルト神話なんかが有名で、それが英国のフォークロアとして残っている。サイモンとガーファンクルの Scarborough Fair がそうだし、その Scarborough Fair にも元になった民謡がある。 それがこの the Elfin Knight で、北ゲルマン的なメンバー構成のグループBoannは、じつにカッコいいアレンジでケルト的な世界観を聴かせてくれている。 Ye maun make me a fine Holland sark Blaw, blaw, blaw winds, blaw Without ony stitching or needle wark And the wind has blawin my plaid awa 古い英語表現かつ、おそらくスコットランド語の言い回しもあって、歌詞はとてもつかみづらい。そこがまたフェアリーテールの世界観を醸している。角笛を吹きつつ、女性と妖精の騎士のあいだで結婚するためにクリアしなくてはならない無理難題の掛け合いが繰りだされているという。なんだか竹取物語みたいでもある。 今月初めに参加した京都の「うさぎフェスタ」について書いたのを最後に、気がつけばいろいろと忙殺されて21日になっていた。それで急いで「21日の音楽」のnoteを書いている。 ああ夏至の今日、妖精さんが現れてたまっている仕事を片付けてくれないものだろうか。
Sick & Tired by the Cardigans
ただでさえ一年の終わりに近づくにつれ気忙しくなる11月。今月になってから急に寒くなって、体調も崩しがち。わたしは仕事で徹夜の会議が続いたりしたのもあってどうも疲れが取れない。それだけが理由ではないのだけれど、気分も乱高下してちょっと休息が必要かな、なんて思っている。 Sick and tiredってのは「もう懲り懲り」みたいなニュアンスの慣用句。なにか不愉快なことが続いて勘弁してくれぇってな気分のときと風邪をひいたりして体調が良くないときは共通した感覚だから、どちらも現実から離れた休息が必要で、それでsickとtiredは関連づけられる語なんだななんて思ったり。 1990年代に流行ったThe Cardigansはわたしもリアルタイムで聴いていて、そういえばそんなタイトルの曲があったっけなと思い出した。彼らが今も活動しているのかどうか知らないのだけど、北欧の学生バンドが荒削りな演奏とニュアンスある歌声で人気が出たのはバブル崩壊後の病んだ世相にマッチしていたんだろうかなんて考えてしまう。他の国の様子はわからないけど。 Symptoms are so deep Something here's so wrong Nothing is complete Nowhere to belong なんて聴くとやっぱり病んでるな。で、それから30年近く経った今もそんなところに共感できるのは世相と自分の状況に共通点があるからなのかもしれない。 こうして一年の疲れが溜まってくると、休み休みやり過ごしつつも、そんな経験から学んで来年以降に活かして、われわれは困難を乗り越えてきたのだし、これからもそうでなければ参っちゃうんだよな、だからしんどいときの経験からも何かを得ておく視点が必要なのだね。 そうそう、カーディガンズはLive and learnなんて曲も歌ってた。和歌でいう返歌みたいなもの?にしては毒づきすぎか。ふと気がついた。どちらも英語の慣用句だから、スウェーデンの学生グループには新鮮な外国語として学んだフレーズだったのかも。そう思うとちょっと微笑ましい。うん、疲れ果てていようがうんざりしていようが、どこかほっこりできるポイントを見つけられると良いかもしれない。