Innocent When You Dream by Tom Waits

先週、これまでの「21日の音楽」を総括したなかで、わたしの敬愛するトム・ウェイツの曲が(カヴァーを含めて)多いことを書いた。その直後ではあるけれど、やっぱりトムの曲を紹介したくなった。今回はほかのミュージシャンによるカヴァーではなくトム本人によるオリジナル・ヴァージョン。

しかしこの映像は、映画『Smoke』のエンディング。わたしが5月に書いたポール・オースター追悼記事にも貼り付けていたものだ。ビデオのタイトルになっているAuggie Wren's Christmas Storyは映画の元になったオースター作品。ビデオ中のタイプライターもこのタイトルを打っている。オースターお得意の自作をリンクさせる手法だ。

このモノクローム画面のエンディングは回想場面。最後にハーヴェイ・カイテル演じる主人公オーギー・レンのカメラの秘密の明かされている。

It's such a sad old feeling
The fields are soft and green
It's memories that I'm stealing
but you're innocent when you dream

トムの声は「かつての悲しい気持ち、柔らかく緑の大地、そんな思い出を盗み出す自分……しかし、夢見る時はいつも無邪気だ(拙訳)」と繰り返す。この曲はこの映画のためにあるような曲である。

夢見る時は無邪気(Innocent when you dream)ということは、現実はその反対なのか。

最近、わたしは10年ぐらい前の子供たちが登場する夢をよく見る。その理由に心当たりがないわけではない。現実逃避かもしれない。良いではないか、夢ぐらい。

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