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親はいつまでも子供の人生に責任を感じてしまうものなんだなぁ

日本の家族の8割は機能不全家族と言われている。
子供が生まれた時に初めて夫婦は《親》になり、
二人目が生まれた時に初めて親は《二児の親》となる…
親だって初めての経験だらけ。
親自身も機能不全家族で育ったのだから、子育ての正解なんて分からない。
当然のこと。

メンタルヘルスを学んでいると
「あなたの苦しみは、親との関係が原因なんですよ」
というのが大前提となる。
「でも親を恨んでいたってあなたは変わらないから
あなた自身があなたを変えましょうね」
っていうことになる。

そう、自分で変えるしかないのだ。
自分で自分の問題に気づいて、自分と向き合って苦しみながら踠くしかない。
でも親は子供が何歳になろうと「私の育て方が悪かったんだ」と自分を責めてしまうものなんだなぁと思う出来事があった。
今回はそんなエピソードを紹介する。
(※長い記事になってしまいました)




夫の両親は夫が幼い頃に離婚して、シングルマザーの家庭である。
当時は今よりもシングルマザーに対する風当たりは強かっただろうし、
女性が働くというのも大変な環境だっただろうが、
義母はバリバリ働いて一人息子を育てた。
男性社会でナメられないように頑張らなければいけなかった義母は
息子をしっかりと育てなければいけないという想いが強かったようだ。
私が義母と出会ったのは高校生の時だが、
過干渉な親という印象はあった。


私は義母とはなるべく距離を置くようにしてきた。
私のことを娘のように可愛がってくれるのだが、
こちらが油断するとグイグイと距離感を詰めてきて
ギョッとするくらい失礼なことを言われたり、されることがあった。
別に意地悪されているわけではないのだが、義母としては
「良いじゃない、それぐらい〜。私たちの仲なんだから!」
という感じなのだろう。
だから近くなってしまったと感じた時は、意識的に
『これ以上は立ち入らないで』という意思表示をしてきた。


夫は現在、義母と一緒に仕事をしている。
元々は夫は別の会社で営業の仕事をしていたのだが、
夫が転職を考えたタイミングで、義母と同じ仕事に就いた。
将来的には夫が義母の仕事を全て引き継ぐ前提だったため
義母は「私も将来は安心して引退できる」と喜んでいた。

しかし、身内と一緒に仕事をすることによって
夫の《他人に厳しく自分に甘い》性格が露呈することになった。
他人からの称賛を得たいタイプの夫は、他人との競争の中では頑張れていたのだが、
身内との仕事となった途端、身内に甘えて自分が上手くサボるようになったのだ。


義母は当然、夫よりもパソコンに疎いし新しいシステムに対応していけない。
それを「前も教えただろ」「何度も同じことを言わせるな」と責め、
まるで自分がすごく仕事がデキるかのように勘違いしていったのだ。

その状態が年々悪化していった。
義母は当然年老いていく。

さっさと引き継いで引退したい義母と
できるだけ義母に仕事を押し付けて楽したい夫。
喧嘩が絶えなくなった。


夫はキレると子供のような怒り方をする。
鬼の形相になって大声で罵声を浴びせるし、物に当たり散らかす。
相手の話を遮って自分の話をするから噛み合わなくなっていく。
大人がそういう行動をとると異様な光景で、周りは恐怖で萎縮してしまう。
そんな日々に、義母は鬱っぽくなった時期もあった。
泣きながら「眠れないのよ」と私に訴えてきたことも何度もあった。

義母があまりにも気の毒で、私も何度も仲裁に入った。
義母との話し合いを避けたがる夫を、無理やり連れて行ったことも何度もある。
何時間も義母の愚痴に付き合ったこともある。

高齢の親に仕事を押し付けて
自分は寝てばかりの昼夜逆転生活。
起きている時はパチスロに行く。
お風呂にもあまり入らない。歯も磨かない。
そんな夫に、私もイライラがつのっていた。
私も疲れ果てていた。


そんな状況の中、夫の不倫が発覚したのだ。
理由は「ココロに冷たくされて寂しかった。簡単に“ちやほや”してくれる女性に逃げてた」そうだ。
私が離婚を決めて部屋を借りて出ていくと、夫が再構築を懇願してきた。
「俺がバカだった。ココロがいないと生きていけない」と。

私から再構築の条件の一つとして
《仕事を頑張ること》を約束させた。
仕事で成果を出してから別居解消にしようと思っていたが
「ココロが側にいてくれないと頑張れない」
と言い、日に日に正気を失っていく様子を見て別居解消した。


《仕事を頑張ること》を約束させたことは、義母にも伝えた。
私も義母も、今度こそ夫が心を入れ替えて仕事に向き合ってくれると期待していた。


しかし夫は仕事に向き合わなかった。
そして夫からの「鬱っぽい」宣言。
義母や私からだけではなく、仕事関係の他の人からも色々と言われるようになって
「周りから言われるほどやる気が無くなっていく」と。
「俺のやる気が出るまで待てないなら、離婚してくれて構わない」とさえ言われた。


そして夫は今、ゲーム中毒になっている。
ゲームの中で赤の他人に“ちやほや”されて、とても楽しそうだ。


最近では他の人から仕事関係の電話がかかってきているのに「(出なくて)良いや」といって無視したり、
今後を左右する大事な義母との打ち合わせの予定が入っているのに
「ゲームが忙しいから今日は行かない」
と言い出すようになった。
この打ち合わせには私も仲裁として同席する予定だったので行くように説得すると、
「ゲームの向こうには生身の人間がいて、無責任に放り出せないんだって何度も言ってるじゃん。俺がいないと皆が困るんだってば」
とイライラを露わにしながら言うので
「こっちにも人がいるんだよ。お金をいただいてる仕事なんだよ。」
と諭すと
「しつこい!わかったよ!行けば良いんだろ!」
とソファーを殴りながら怒るのだ。異常である

夫はよく「ココロはゲームのこと知らないくせによくそこまで非難出来るよな」と言ってくるが、この状況が異常なことくらいゲームのことを知らなくてもわかることだ。

1時間くらいしてゲームを終え、夫と義母の打ち合わせは無事に終わった。


後日、夫と義母は他の人も交え、今後の仕事の方向性について話し合った。
私は当然同席しなかったし、夫が帰ってきてからも何も聞かなかった。


その翌日、義母からLINEが届いた。
「ココロちゃんの時間があるときに電話ください」
これはきっとSOSだなとピンと来た。
離婚騒動前は義母からのSOSが頻繁に来ていた。
でも離婚騒動以降はお互いにあまり連絡を取らなくなっていたので、久しぶりのSOSだ。

電話を掛けると案の定、義母からは悲痛な想いが溢れてきた。
他人も交えた話し合いの後、夫と口論になったそうだ。

夫と義母は、今後も他者を交えた話し合いを急ぎで進めていかなければならない状況であるが
また夫がその話し合いを先延ばしにしてしまうのではないかと、義母は不安がっていた。

義母はハッキリと言葉にはしなかったが、
『ココロちゃんの方から何とか息子を説得して、早く次の日程を決めるように仕向けてくれないか』
という意図を感じ取れた。

私も夫は、その打ち合わせを先延ばしにするだろうと思っている。
でも今までの経験上、私から夫に言ったところで
「そうやって急かされるほどやる気が無くなる」
と《仕事をしない言い訳》を与えるだけで、私が嫌な想いをする無駄な行為だと分かっている。

別居解消後はあまり義母と話していなかったので、
義母は私たちが上手くやっていると思っていたようだ。
せっかくの機会なので、別居解消後の夫の様子などを洗いざらい話し、
全く上手くいっていないことを打ち明け、
私から言っても無駄なのだということを分かってもらった。

義母は落胆し、こう言った。

もう何年もこんな状態で、眠れないし不安で仕方ないの…
息子がこんなふうになってしまって
きっと私の人生は間違っていたのね…
ココロちゃんにも迷惑をかけてばかりで…
私は別々に暮らしているから良いけど
ココロちゃんは毎日大変よね…ごめんね…

以前は「私は良い人生だったと思ってる。いつ死んでも後悔は無い」と言っていた義母が
77歳になった今、42歳の息子を見て、自分の人生が間違っていたと嘆くのだ。
確かに義母との関わりが夫の性格に影響を与えただろう。
でも、この歳になって息子の性格に親が責任を感じるなんておかしい。

「お義母さんのせいじゃないですよ。
本人が自覚して治すしかないんですよ。」

そう言うと
「そうよね。ありがとう。気持ちを分かってくれる人がいて助かる。」
と言っていた。

この電話は1時間半続いた。




新型ウツ(非定型うつ病)という言葉を知って、夫はこれなのかもしれないなと思い、『思ってたウツとちがう!「新型ウツ」うちの夫の場合』という本をKindleで買った。


この本はうつ病のご本人が書いたわけではなく、
ご主人が新型ウツになってしまったという奥様視点の本である。

この本の中でも、ご主人のご両親が
「仕事を頑張れないなんて情けない!」と本人を責めているシーンがあった。
他人である妻より、やはり親の失望というのは大きいのだなと思った。

この著者のすごいところは、夫との距離の取り方である。
夫がいくら仕事でツラそうでも、「死にたい」と口走っても
『関わったら自分が被害を被りそうだ』
と、あえて話題に触れないようにしている。

そして夫から攻撃を受けて実被害が出るようになると
「このままでは飲み込まれてしまう」と
家出をするのだ。

夫婦だから一緒に苦しみを分かち合わないといけないと思いがちだが、
結局本人の気持ちは本人にしかわからないし
本人にしか治せない問題なので、
『関わらずに放っておく』のも正解なんだと思う。
少なくとも共倒れは防げる。


私自身もうつ病になったことがある。
仕事が多忙で残業続きで、家庭とのバランスがとれずにストレスが限界値を突破した。
この本のご主人も仕事が多忙で非定型うつ病になってしまった。
でも夫は…色々なことから逃げて、自分で自分の首を絞めているだけのように思える。
正直、同情も出来ない。


夫が新型ウツなのか、自己愛性パーソナリティ障害をこじらせているのか、更年期障害なのか、はたまた他の精神疾患なのか私には分からない。
ただ、問題があることだけは分かるし、夫の世界に飲み込まれてはいけないとも思う。
今すぐここから逃げ出したいと言う衝動に駆られることも少なく無い。

夫が自ら病院に行って治療しようと思うことはまず無いだろう。
かと言って、周りが「あなた病院行ったほうがいいよ」なんて言ったところで、逆上されるだけだ。
放っておくか、離れるしか無い。


私は取り敢えず
『夫は理想の自分と現実の自分のギャップで苦しんでいて、自分をコントロールできなくなっている』
と思うことにしている。
実際夫は「前は普通にできていたことが、最近は出来なくて、本当に状態が悪いんだと思う」とは言っていた。
本当のところはわからない。でも『本人も苦しんでいる』ということにしておかないと、イライラして自分がつらい。

このように、考えても分からないことには一旦『〜ということにしておこう』と思うのはメンタルヘルスで大切なことらしい。


人のせいにするのが得意な夫。
夫の言葉を真に受けると、私も義母も病んでしまう。
本人の問題であるということを忘れずに、自分を保つ必要がある。
他人は変えられない。
変えられるのは自分だけ。



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ガラスのココロ
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