夏子の話③:新たな世界
大学院での研究生活が終わりに近づいた頃、新たなチャンスがやって来た。今度は神奈川県の葉山町役場がごみ問題担当者を探しているという。上勝よりも都会で規模の大きな現場の話に、夏子はまた飛び乗った。こうして2009年、夏子は葉山に移った。
葉山での仕事は充実していた。実は上勝でのごみゼロの取り組みは夏子が移住する前から始まっていたことであり、夏子が主に担っていたのは発信者としての役割である。そのため取材や講演で話しながらも「とはいえ自分がやったことじゃない」という意識が常にあった