私の宝物本3選【2分】
私は、本が大好きだ。
本を読んでいれば、それでしあわせだ。
今日は、いままで私が読んだ本のなかから、特に宝物としている3冊を取り上げて、紹介しようと思う。
たましいのふたりごと/川上未映子・穂村弘(筑摩書房)
友人同士である、川上未映子と穂村弘が、78の単語、例えば、牛丼とか、スノードームとか、万能細胞とか、そういったそれぞれについて語り合う1冊だ。
装幀は、私が敬愛してやまない名久井直子。
小説、詩、短歌を書くような人たちは、ましてやその道のプロは、たとえ対象が日常的なものであっても、ものごとに投げかける視線が、角度、性質ともに、根本的にちがうのだなあ、と痛感させられる。
私は元々、川上未映子のファンで、この本を読んで、穂村弘がどうしようもなく気になってしまい、第一歌集『シンジケート』を読み、触発されて短歌を詠みはじめ、今に至る。
ふわふわ/村上春樹文・安西水丸絵(講談社)
2冊目は、絵本。
日本が誇る世界的作家、村上春樹が、安西水丸とタッグを組んだ1冊だ。
猫のふわふわした、やわらかーい毛並みがとてもよく再現された絵に、うっとりしてしまう。
文章も、あまりにやわらかく、あたたかいもので、読んでいると段々眠くなってくる、子守唄のような本だ。
私ユミヨシは、数年前、不眠ぎみだった時期に、この本にほんとうに助けられた。
『ふわふわ』は文庫が出ているので、手に取りやすいと思う。
うみべのストーブ大白小蟹短編集/大白小蟹(リイド社)
最後はこちら。
1年半ほど前に、大好きな先輩から、プレゼントしてもらった本だ。
まず、ひとめで装幀に惹かれ、奥付を見たら、これまた名久井直子の手によるものだった。
おそるべし、である。
マンガなんだけれども、マンガが好きな人にも、比較的マンガが苦手な人にも、琴線に触れるところがありそうな、そんな作品だと思う。
1篇の最後に、短歌が1首添えられているところも、私にとっては大きな魅力だった。
おわりに
どこまでがピンクでどこからが黄色なんて知らない世界に眠る/弓吉えり
私にとって、あたたかい世界とは、ピンクと黄色の、やわらかいグラデーションが無限にひろがる、そんな場所である。
現実では、ここまでがA、ここからがB、ってきちっと線引きをしなくちゃならないことのほうが多いけれど、せめて眠っているあいだくらいは、グラデーションの世界で生きていたいなあ、なんて思ってしまう。
この文章を読んでくれているあなたが、今晩は、あたたかい、グラデーションの世界で、眠りにつくことができますように。
私は、祈っている。