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記事一覧
ザッピングとミルフィーユ
餅米を叩いて撫でて七並べ、行く都市来る都市徒歩禁止、猿蟹競わせ汚い八百長、クジラのお腹に日記帳、桜の思い出流星群、枕とお別れ約三分、淡泊な複式呼吸と金縛り、おわり。
口内炎の音楽とアーケードの古本屋
口内炎が痛む夜中に聴く音楽は、寂れたアーケードの古本屋を想起させる。店主の眼鏡は指紋がついている。それは怠惰からくる汚れではなく宇宙を見る手段らしい。口内炎を舌の先で弄る。古本屋で見つけたボロボロの岩波文庫。なぜだか懐かしい。音楽が終わり次の曲に。音楽が変わっても古本屋は変わらず。ただ、先ほどの文庫本が見当たらない。口内炎を小指で弄る。店主の眼鏡に指紋が増える。しかめっ面で此方を睨む。この曲は好み
もっとみる不眠症と宇宙の轍と夢
■画面の中
この宇宙の轍をほどいて広げて寝そべると、空間が窪んだ時間に落ちていくので、いい具合に体にフィットするんです。
□画面の外
興味深い売り文句で始まるテレビショッピング。更に続く。
■画面の中
これであなたも眠れます。歪んだ時間は忙しい毎日に十分な睡眠を確保します。朝になるとその時間は丸ごと再び宇宙の轍となり、夢のように快適な目覚めを与えます。
□画面の外
一通りプレゼンをし
【雑】ノスタルジーと夢と溜め息とビー玉
例えば、数多の竜宮城が生まれては消えていった、母の読み聞かせ。光あれ。記憶に染み込んだその世界は、成長と共に現実と剥離し、夢でのみ再び汁となり垂れる。眠りの水面に落ちる雫が作る波紋は、逆さまに存在する己には空が割れたように見える。それをただただぼんやり見つめるだけで何をしようともしなかったが、うっかり漏れた溜め息が現実を引き込み、世界が流れ入る。水面は荒れ、波紋は失せ、静かに垂れる世界はもう見えず
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