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池井戸潤『俺たちの箱根駅伝』をAudibleで聴きながら走る

Audibleでオーディオブックを聴きながらランニングするのが、この数年ですっかり習慣になりました。ラインアップがどんどん拡大していて、どれを選ぶか悩むこともあるぐらいです。

小説もノンフィクションも、幅広く聴いています。走るときの気分に合っているのは、テンポがよく元気が出てくるもの。特にいま「これはいい!」と思っているのが、池井戸潤さんの『俺たちの箱根駅伝』です(下のリンクは紙の本のものです)。

この本は、昨年春に「ランニングしながらAudibleで聴きたい本」について書いたときに取り上げました。

それからすぐにでも聴きたかったのですが、思いとどまりました。「箱根駅伝の本選が行われる日から聴き始めたら、より楽しめるかも」という思いがわいてきたからです。

以来、早く聴きたいという思いを抑えて今年の正月まで待ちました。そして箱根駅伝の日のランニング(午前中はテレビ観戦、午後に自分のラン)から聴いています。

この本は、箱根駅伝に出場することになった関東学生連合チームの選手たちを主軸とした物語です。そこに監督や、大会を中継するテレビ局(大日テレビという名前になっています)の人間模様が絡み、複層的に展開していきます。

ランニングをテーマにした池井戸さんの作品では『陸王』も面白かったです。私も使っている無敵ランニング足袋の「きねや」に着想を得たとされる物語です。

そして、『俺たちの箱根駅伝』もメチャクチャ面白い!上下巻に分かれていて、Audibleだと合わせて約20時間という長編です。

上巻は、箱根駅伝の本選に出られなかった大学から個人単位で選ばれた学連のメンバーがさまざまな葛藤や思いを抱えながらチームとしてまとまっていくまで、下巻は2日にわたる本選の模様が描かれています。私は下巻の後半、芦ノ湖からの復路の途中まで聴き進めました。

面白い本は、読む場合でも聴く場合でも、先へ先へと進めていきたくなります。でも『俺たちの箱根駅伝』については、自分に制約を課しています。それは、ランニング中にしか聴かないということ。家の中でも聴いていけばもっと早くラストまで行けますが、あえて自分も走っているときに(箱根駅伝の選手から見ると歩いているようなスピードですが)聴くことにしました。

それが、真冬の寒い朝でも走りに出るモチベーションにもつながっています。

この本を聴きながらランニングすることで、自分の走りにも影響が出ています。ひとつは、物語の熱い展開に刺激されて知らず知らずのうちに私もペースアップしていること。おかげで最近、普段のランでキロ平均のペースが速くなってます。

もうひとつは、ちょっと困ったことでもあります。ストーリーの盛り上がりポイントで泣けてきてしまうのです。自分も走りながら聴いているからこそ、登場する選手たちが困難に直面しつつ何とかタスキをつなごうとする様子が、よりグッと迫ってきます。

まだ最後まで聴いてませんが、復路のあの部分は特に心揺さぶられました(これから読む・聴く方がいると思うのでこれ以上は触れません)。頬に涙を伝わせながら走ってました。

この感覚は、家や電車の中などで読書をするときの感じとちょっと違います。自ら走りながら、ランニングをテーマにした物語を「聴く」ことの醍醐味です。

ランも本も好きな人には、ランニング+オーディオブックはほんとにおすすめです。でもこの感覚は、実際に体験してみないとわかりづらいものかもしれないとも思います。人によって好みがあるかもしれませんし。

Audibleは1か月の無料体験ができますので、もし興味あり!という方がいらしたら、試してみてください。


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Sampo(山帆)
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