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ランニング中、たまに会うカワセミを初めて近くから写せた

お気に入りのランニングコースのひとつに、川沿いの道があります。そこを通ると、ほんの時々、カワセミに出会えます。年に数回程度。

私はそこを勝手に「カワセミの水辺」と呼んでいます。長いレンズを付けたカメラマンがカワセミを狙って来ることもない、静かなスポットです。

カワセミを見ることができるのは、大抵ほんの数秒です。走っている視界に、光沢のある鮮やかな青色がパッと入ってきます。それは多くの場合、水面スレスレを高速で飛ぶカワセミの後ろ姿。あっという間に見えなくなってしまいます。

タイミングがよければ、木の枝などにとまっているカワセミに出会えます。私は普段、走っている最中に立ち止まるのは好きではありませんが、このときは別。なるべく静かに距離を詰めていこうとします。

それでも、警戒心が強いカワセミはすぐに飛んでいってしまいます。ポケットからスマホを取り出す間もないぐらいに。今年の冬、初めて写真に写せたときはとてもうれしかったです。スマホのズームでは小さくしか撮れませんでしたが。

その後も数回、カワセミを見かけました。でもやはり、スマホを取り出すこともできないうちに飛び去っていきました。

それが最近、ついに、しっかりはっきり撮ることができたのです。

カワセミに会うのは本当に時々なので、この水辺を走るときも特に期待はしていません。見かけることができればラッキー、というぐらいの気持ちです。

今回は、走っているときに水辺の向こう側ではなくこちら側で、青いものが視界に入りました。ずいぶんと近かったので、プラスチックの破片か青色のビニールゴミかなと思いつつ、スピードを緩めてよく見てみることにしました。

カワセミです。

その時点で、これまでにない接近度でした。警戒させないようにピタッと止まり、そっとポケットからスマホを取り出します。

まだ、飛び去っていません。

そっと目の位置に構えてそのままシャッターを押します。まずはいなくなってしまう前に写真に収めたかったからです。

まだ、カワセミは同じ場所にいます。

今度はズームで写しました。

よしっ!これまでにない大きさで写真に収めることができました。カワセミはオスは下のクチバシが黒色、メスは黄色だといいます。とすると、この個体はオスでしょう。ちゃんと写真を撮れたから初めてわかったことです。

もう1枚。

少しの間カワセミを観察し、もっと撮れるかな、今度はポートレートモードで、としているうちに飛び去っていきました。下の写真の真ん中上、青い点が飛んでいくカワセミです。

ほかの場所でカワセミを見たときも含め、ここまで近くに寄れたのは初めてです。カワセミが何か考え事をしてたのか、私が青いシャツを着て走っていたから「同じ色の仲間だな」と気を許してくれたのか。

それはわかりませんが、この日の天気のように気分がパッと晴れ上がり、思い切りロング走になりました。

このところ、川沿いなど水の近くを走るときは「もしかしたらカワセミがいるかも」という思いを心の片隅に持つようになりました。期待しているわけではなく、「もしいたら、わずかな時間でも見逃さないようにしよう」という何となくの心構えです。

そのきっかけは、この本を読んだことでした。

コンクリートの護岸に覆われたような都市部の川にも、カワセミが住んでいることを教えてくれたのです。

川面に注目するようになって以来、私が走るコースでたまにカワセミに会える場所が3か所まで増えました。そして最近、4か所目になるかもしれない場所が出てきました。飛び去るカワセミを見た気がするのですが、太陽の光が眩しい朝の時間で確信が持てていません。また今度走ってみるつもりです。

景勝地でも何でもない場所でも、こんな新しい気づきが生まれることがあります。ランニングを続ける大きな楽しみのひとつです。



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