ラン x ローライ 実践編②必需品のアクセサリー
ローライ35Sをランニングカメラとして使う『ラン x ローライ』のポイントを少しずつ書いていきます。今回は「必需品」についてです。どのような持ち運び方でローライ35Sやその他のローライ35シリーズをランニングに連れていくにしても、これはあった方がいいだろうというものについて記します(あくまで私見です)。山歩きなどにこのカメラを持っていく際も大体同じことが言えるはずです。
フィルター、キャップ
前回も書いた通り、ランニング中は普段歩いているとき以上に体が揺れます。レンズ保護のため、フィルターやキャップをつけた方がいいです。レンズ交換できないローライ35のシリーズは、レンズがダメになる=カメラ自体がダメになるということなので、十分に気をつかうべきところです。
ローライ35のシリーズは、レンズ径が2種類あります。私が持っているローライ35Sは30.5mm, それ以外のローライ35やローライB35など、f3.5のレンズがついているものは24mmの口径です。フィルターやキャップも、サイズにあったものが必要です。30.5mmという口径は、ほかのカメラのレンズにも使われているようで、こちらの方が24mmよりも種類が多いように感じます。フィルターを付けた上から装着できるキャップもあるので、この形にすると保護力が高くなります。フィルターは、まずは一般的なUVフィルターがよいのではないかと感じます。
ローライ35のキャップは、かぶせ式とねじ込み式が主なものです。下の写真は、昨年ごく短期間だけローライC35がうちにあった際に知人のローライ35と隣り合わせに撮ったものです。どちらも24mm用で、左側がねじ込み式、右側がかぶせ式のキャップです。
私の経験では、かぶせ式は付け外しがしやすい反面、カチッとしっかり閉まるわけではないので走っている間に外れてしまうことがありました。ねじ込み式は、しっかり閉まりますが、かぶせ式よりも付け外しに時間がかかります。一長一短です。
外れてしまうのは困るのでしばらくねじ込み式を使っていましたが、どうしても気になることがありました。付け外しの際、レンズの鏡胴に回転による負荷ががかかってしまうことです。例えばこのキャップを外すときは反時計回りに回転させますが、普通にやるとまず鏡胴の先端にある距離計がキャップの回転に合わせて最短距離まで回ります。距離計がそれ以上は回らないというところまで行ってからキャップだけが回転するのです。キャップをつけるときは距離計が無限遠まで回った後で同じようになります。つけ外しするたびに、「本当はかけたくない力」が鏡胴の先にある距離計にかかるのです。
レンズが沈胴式のローライ35シリーズは、この鏡胴の部分が強度上、もっとも注意すべき箇所ではないかと私には感じられます。なので使用するたびに何度もここに負荷をかけることは避けたいところです。
もちろん、注意してまず距離計を回転しないよう指で押さえてからキャップを回すようにすれば、こうしたことは起きません。でも、ランニング中は立ち止まる時間をなるべく短くしたいので、なかなかそこまで丁寧な扱いができません。私は、シャッターを巻き上げたり、レンズを沈胴させたりといったことと同様、レンズキャップの付け外しも慣れと手先の感覚をもとに、走りながらあまり目で見ることなく行うことがほとんどです。そういう使い方には、ねじ込みキャップは向かないようです。
どうしたものかと思っていたら、いいものを見つけました。30.5mm径のこちらのキャップです。
上は、ライカやハッセルブラッドなども含めた海外カメラの取り扱いで知られる喜久屋カメラの販売品、下はKESOTOという私の知らないメーカーによる3個セットのキャップ。写真では、同じもののようにも見えますが、どうなんでしょう。KESOTOの方には「スナップオン式」と書いてあったので、その呼び名を使うことにします。出っ張っているところの中にバネが入っています。普段はそのバネの力でキャップが外れないようになっていて、この出っ張り部分を内側に押すと簡単に外れる、という仕組みです。裏側がこんな風になっています。
これはとても便利です。かぶせ式よりも外れて落ちるおそれがグッと減り(絶対に落ちないというものではありませんが)、ねじ込み式のように距離計に負担をかけることもありません。しかも値段が良心的です。私は、これをAmazonで見つけてすぐにKESOTO製のものを購入し、以来このキャップを使っています。とても具合がよいです。ひとつ残念なのは、30.5mmサイズしかないことでしょう。ローライ35Sを使っている人はこのサイズで問題なく使えますが、テッサー付きのローライ35などのようにレンズ径が24mmのモデルには使うことができません。いずれ24mmサイズも販売されることを願っています。
私のローライ35SにはHOYA製のUVフィルターを付けていますが、フィルターの上から問題なくスナップオン式のキャップを付けることができます。
ハンドストラップ
ランニング時にローライ35 S(あるいは他のタイプのローライ35 )をどのような形で持ち運ぶにせよ、ハンドストラップはつけておいた方がよいと思います。カメラを取り出し撮影してまた戻す、という流れのどこかで万一、手が滑るようなことがあっても、ストラップを手首に通していれば落下を防げます。ネックストラップは長い分かさばり揺れも大きくなるので、ランには向きません。
ローライ35シリーズのストラップは、取り付け金具が特殊な形なので専用のものが必要です。個別に入手する場合、カメラ店やヤフオクなどで中古品を探すか、他社が作ったローライ35 用のストラップを探すことになります。
私が知っている範囲では、新宿のラッキーカメラのサイトに社外品のストラップ(新品)が出ています。長さが書いてないので確かなことは言えませんが、写真を見た感じでは、ハンドストラップにしては少し長め、ネックストラップとすると短め、というぐらいの長さなのかな?というように見えます。
また、ユーエヌという会社がローライ35 に取り付けられるストラップ金具を販売しているので、これを使って自分の好きなストラップを付ける、というのも楽しそうです。
レンズフード
フィルターやキャップに比べると必須度はやや落ちるかもしれませんが、ランニング時は屋外で光の強いところを走ることが多いです。また、早朝や夕方などは景色が際立ちます。こうしたときに写真を撮るには、できればレンズフードも準備したいところです。
ローライ35シリーズのフードは、現行品ではメタル製やプラスチック製のものが入手しやすいと思います。
通常の使用にはこうしたものでよいのでしょうが、ランニングするときはできる限り荷物をコンパクトにしたいので、フードの分の厚みを出したくありません(カメラの厚みについては、機会を改めて書きます)。なので私は、ラバー製の中古フードを探して使用しています。使うときだけ前方にフードを持ってこれるというものです。
これだと、使わないときの厚みはほとんど増えません。ラバー製の折りたたみフードもあるようなので、それも試してみたいところですが、中古でもなかなか販売されているものがありません。ローライ35シリーズ用のラバー製・コンパクトな折りたたみ式フードを、どこかのメーカーさんが作ってくれればすぐに購入するのですが。
ジップロックなど
キャップやフィルターでレンズを保護し、ハンドストラップで落下防止の手段を取ったらあと一歩、ジップロックなどの水を通さないビニール製の袋にローライ35を収めます。ランニングは大抵、身軽な格好で出かけます。カメラをポケットに入れるにしてもリュックに入れるにしても、かなりの汗を浴びます。冬でも、10kmも走れば汗が出ます。その対策は欠かせません。
小型のジップロックには、ローライ35 とあまり変わらない大きさのものがあります。出し入れ口を閉じるファスナー部分が分厚いものは防水力が高まりますが、ここが薄いものの方が折りたたんだりしやすいです。
私は普段、出し入れがしやすいようにファスナーまでは閉めませんが、走っている最中に急な雨が降ってきたときのことなどを考えると、普通のビニール袋よりもジップロックの方が安心できます。
以上が、私の考える「ラン x ローライ」の必需品です。次回は、持ち運び方について書くつもりです。
ローライ35シリーズの各機種の違いや使い方などは、ネットにいろいろありますが、本を探すなら『使うローライ』だと思います。ローライの二眼レフ・ローライフレックスの話がメインですが、ローライ35についても記されています。
絶版になっているようなので、探す場合は中古本を見てみてください。