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子どもの生きる力を育む「旅育」

「平成最後の夏」
そんな今年の夏の旅行先は、ギリシャのサントリーニ島。

私が旅先を決める時、ネット検索もしなければ、誰かにおススメを聞くわけでもない。
ひたすら目を瞑り、静かに心と対話する。

行きたい国、訪れてみたい土地はたくさんある。
エジプトのピラミッドも、トルコのカッパドキアも行ってみたい。
ロシアのサンクトペテルブルグ、アメリカのセドナ、フィンランドでオーロラも見てみたい。
しかし、行きたい国と行く国は微妙に異なる。
心にそっと聞いてみると、導いてくれる。どこに呼ばれているのかを。
そしてそこには、必ず、今必要なメッセージが用意されているのだ。


最近、日本では「旅育」という言葉があることを知った。
下記は旅行ジャーナリスト村田和子さんの記事より引用。

「旅育」とは、家族旅行を通じて、楽しみながら子どもの生きる力を育むことです。日常と異なる環境で、様々な人と出会う旅は、子供の五感を刺激します。「なぜ?」「どうして?」という疑問は学びのチャンス。一緒に答えを導き出すことで「知る喜び」「学ぶ楽しさ」が芽生えます。旅先に身を置き、「ホンモノ」に触れることで、初めて解ることや発見も多くあります。情報があふれる時代だからこそ、旅先でのこういったリアルな経験は貴重なのです。
ゆったりと子供と向き合い、家族の絆を育めるのも旅のメリットです。家族旅行の楽しい思い出や、その中での成功体験は、将来にわたり子供の支えとなり、生きる力を育みます。

このような言葉が流行るところが、いかにも日本らしいと思う反面、子どもが小さなころから旅を通して学ぶことを大切にしてきた私たちにとって、とても納得いくものでもあった。

一年に一度、海外旅行をする中で、子どもたちにさまざまな経験・体験をさせ、心を育むことを意識的に行ってきた
現地の人との交流も、できるだけ自分たちでさせてきた。
自分たちでやってみて、どうしてもできない場合は、どうやればいいのかを教え、再度チャレンジできるように手を差し伸べてきた。
その時の年齢に合わせ、子どもたちもできることが増えていく。
小さな成功体験の積み重ねが、子どもたちの人生の基盤作りに役立っていると思っている。


わが家の旅は、航空券とホテルを予約する以外、まったく白紙の状態で始まる。
現地に到着してから、地図を入手し、あとは時間を気にせず、流れに任せて旅をする。ローカルの人々や、同じく旅をしている人たちと交流しながら、旅を綴っていく。
子どもたちは、そんな私たちを見ながら育っている。

スーパーでパンを選んでいるだけで「ギリシャのパンについて知りたいですか?」と現地の買い物客がパンについて説明してくれる。
「明日は船のツアーに行こうか」と話していると、隣にいたカップルが「ちょうど今日そのツアーに行ってきたの」とアドバイスをしてくれる。
ビーチで隣に寝そべっていた家族は「私は小さなころから祖母を訪ねてこの島によく来ていたの」と穴場を教えてくれる。
バスに乗っていても、登山の途中でも、船の中でも、世界各国からの旅人たちとたくさん話をした。ハグをして別れた人もいる。
そう、わが家の子どもたちは、人々とふれあうことを楽しんでいる私たち、そして200%旅を楽しむ私たちを常に見てきているのだ。


わが家は旅に行くと、とにかく歩く。
子どもが小さかった時も、ベビーカーを押しながら、肩車をしながら、ひたすら歩いていた。
歩くことで、見えることや、ふれあえることが山のようにあるからだ。
その土地の空気を肌で感じながら、匂い、雰囲気、エネルギーなどを全身で味わうことができる。
現地の美味しいものを食し、素晴らしい景色を見て、人々とふれあい、五感を研ぎ澄ましていく。
聞こえてくる言語も、訪ねる国によってさまざまである。旅人たちが話している言葉もいろいろ。日常とは異なる環境の中で、家族の会話も増え、絆もさらに深まってくる。
旅を通しての学びは、教科書では得られない、人生の貴重な財産だと私は思っている。


日本では、「平成最後の夏」である。
わが家にとっても、今年の夏の旅行は、何かの節目であったような気がする。
新しい始まりの予感。

終わりがあれば、始りがある。
別れがあれば、出会いがある。

「今」この瞬間は二度と訪れない。
一期一会
だからこそ大切にしたい、その一瞬を。

平成が終わった来年の夏、わが家はどこへ旅しているのだろう。

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