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雨宿り

白砂のような雨が降る
半夏水に追われて  
見知らぬ軒先へ滑り込む
黒猫が東から西へ
チャリリンと
音を残して水しぶき
曲線の優雅なステップは軽やかに
君を私を置き去りにする

左斜め前の下降階段
暗いその先に在るものを
知っているような
共に語り合えるような
蠱惑の小箱      
するりと紐解いて
硝子玉をひっくり返して
転がるままに手招きをした
君のいたずらは罪深い

見える景色は
いまここに在る
砂落つる様には
来る終り
星の名前の花が咲く
最後のひとひらが地を打つ時
ぐるりと上下を差し替える
惑星の軌道は規則正しく
やはりここで
粒子の降る音を聞く

おそらく幾度も
君は私を見つける
歯がゆいほどの
大きな花束を持って
雨に濡れながら
駆け込んできて
無意識に口を開く
俯きながら
ただいまと
一言

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吾音萌音
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