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団地に引っ越しても心配ご無用

2024年シーズンで一番ハマっているといっても過言ではないNHKドラマ「団地のふたり」。

小林聡美×小泉今日子という、見ていて安心感のある二人の主演と由紀さおり、ベンガル、橋爪功、丘みつ子、名取裕子、そして仲村トオルやムロツヨシといったゲストの豪華さも見るきっかけになった。

何より、今年6月から分譲マンションを売り払い、身も心も金もキレイに片づけ、団地に引っ越したということで、親近感が増したのだ。


団地に引っ越ししたというと心配される

ドラマの共感ポイントの前に、小話を。築20年のまだそれほど寂れてないマンションを売却し、引っ越ししたと両親に伝えたとき。

「なんで?いいマンションだったじゃない!バス停も近いし、駅にも頑張れば歩ける距離だったのに」

友人に団地に引っ越ししたと飲みながら報告したとき。

「え?団地?なんで?いよいよ、仕事なくなっちゃった?」

最近、東京23区内に新築一戸建てを購入した弟にいったとき。

「え?ねえちゃん、大丈夫?おれ、ねえちゃんは養えないよ。子ども3人いるし」

この3つの回答の共通点は、収入が減った、もしくは貯金が底をついた。といった先入観で語られている。

確かにインボイス制度のせいで、手取り収入は減った。が、別に貯金は底をついてはいない。多くもないし、中間でもないし、なんだったら少ない方だと思うが、生きているので大丈夫だと思う。なので、お金が原因で引っ越ししたのではない。なぜ引っ越ししたのか。

1.管理費が爆上がりした
2.管理会社がいい加減なせいで、収支があっていないような気がする
3.可動式駐車場の修理に莫大な費用がかかる
4.上層階の金持ちじいさんが無駄にEVスタンドをいれようとしている
5.自治会がめんどくさい
6.若いからというだけでいろんなことを押し付けられる
7.そろそろリフォームしないとやばくなってきた
8.可動式駐車場のB2に車があって出し入れがめんどくさい、時間がかかる
とまあ、いろいろあるのだが、とにかく持っているのがめんどくさくなったのだ。

QOLが向上する団地

コロナ禍で引っ越し先を探していたのだがどうもピンとくるのがなくて3年経過した今年はじめ。団地に引っ越しした友人にお呼ばれされてお邪魔した。

実は団地=古い、高齢者が多い、間取りが狭い&古臭い、収納が使いづらそうなどネガティブ要素しかなかった。何よりマンションの近くの団地がボロボロで、そのイメージが強かったのだ。

その印象が一変した。友人の団地は外観こそ古いが、MUJIのリノベーション物件で、すっきりとした中にもそこかしこにMUJIらしい使いやすさが施され、居心地がすこぶるいいのだ。古臭い押し入れは取っ払い、見せる収納にすることで広くとり、余計なものを一切排除した清々しいお部屋。

何より、団地の中は歩道が整備されているうえ、緑の木々が生い茂り、さながら公園を散歩しているような気分になるのだ。

棟と棟の間が広いのもいい。窓を開けて、洗濯ものを干してもお向かいさんが気にならない。友人の部屋は角部屋だったのだが、広い窓に出窓、部屋ごとにベランダが設けられ、どこでくつろごうか迷うほどだった。

こうなってくると団地に住みたくて仕方がなくなる。友人と一緒になって団地検索にいそしんだ。友人の団地の別の棟に住むというのも、団地のふたりのノエチとなっちゃんのようになれていいかなと思ったが、出張が多い仕事ゆえ、駅や空港にアクセスがいいところがよかった。

そして見つけたのが今の団地だ。写真のせたりしちゃうと場所が特定されて、パパラッチにあうかもしれないので(←気分は常に有名人ライター)、文字だけでお伝え。

駅からバスで20分、歩くと45分かかるアクセスがすこぶるよろしくない場所にあるのだが、山がすぐそばにあって気軽に低山登山ができる。ということで、めちゃくちゃ緑が多いエリアだ。団地だけれども、分譲マンション部分もあって、団地っぽくない外観も気に入った。

最上階の5階の角部屋で夜景、星空、月、朝日が見放題。広々テラスがありBBQみたいなものもできてしまう。秘密基地のような屋根裏部屋は、こもって仕事をするときにいい感じ。

駐車場は平置きで出し入れがしやすいのもポイント。

もちろん、いいことばかりではない。
外出するたび、5階までかなり肺活量を使って登らないといけない。ゴミ捨て場が遠い、駐車場のとなりの車がいつも斜めおきして止めにくい、玄関の鉄扉が重い、お風呂が狭い、そして駅まで遠い。

何に重点を置くか重要なのだ。日当たりのよさ=部屋の明るさ、静けさ、そしてあふれんばかりの緑が心地いい、今のところ大満足で生活をしている。

これはいわゆるQOLが上がるってやつではないか?
「物質的な豊かさに満たされた生活」=おしゃれマンション
ではなく、
「毎日が充実し、心身が満たされた生活」=緑に囲まれた団地

皆々さまに心配されてはいるが元気に楽しく、しかもご近所のおばちゃんとも仲良くなり、かなりルンルンで過ごしている。

団地のふたりはあるある満載

団地に住んでいるがゆえに、ドラマをみていると、それな!という共感がいたるところに出てくる。

1.ラジオ体操

ドラマでは太極拳だが、こちらの団地では毎朝6時半から公園でラジオ体操が行われている。

コロナ禍で始めたラジオ体操を一人細々とやっていたのだが、引っ越しして次の日の朝、ラジオ体操の歌が自分のラジオとどこからともなくもう一方から流れてきて、下にある公園をのぞいてみた。お揃いのTシャツをきたおじいちゃん、おばあちゃん、犬のさんぽ途中のおばさん、朝マラソンの途中のおじさんなど、色とりどりの服装の団塊世代の人々が集まってラジオ体操をしていたのだ。

最初は音楽だけ盗み聞きをし、家の中で一人でやっていたのだが、外で一緒にやりたい気持ちがふつふつとわいてきて、涼しくなってきた10月初め、意を決して、散歩している振りをして、声をかけてみた。

「あのう、このラジオ体操は誰でも参加できるんですか?」

ラジオの準備をしていたおばちゃんがニコニコとしながら腕を引っ張って中に入れてくれた。

ラジオ体操第一、第二のあと、健幸体操なるものが流れ合計30分、おじちゃん、おばちゃんと一緒に体を隅々まで伸ばした。

コロナ禍で、家の中に閉じこもることが多くなり、これじゃいけん!とわたしを仲間に引き入れてくれたおばちゃんと、もう1人のちゃきちゃきおばちゃん2人で始めたラジオ体操。いつしか口コミで広がり、団地の人たちが集まるようになったという。

終わった後に自己紹介をどうぞ!ともう抜けられない状態になった。

「ゆきんこと申します。ライターしています。最近、引っ越ししてきました。なので、整骨院や歯医者さんを探しています。よき場所をしっていたら教えてください。どうぞよしなに」

とぺこりとおじぎをした。

「あらあ、若い人が入ってきてくれてうれしいわ。あなたマンネね!」

マンネ(末っ子)のワードを使うとは、韓国ドラマ好きとみた。なにやらものすごくウェルカムされてこちらもうれしい。スタンプカードを作ってもらったのだが、65歳以上じゃないと景品はもらえないらしい。景品とはみんなでお揃いできている「今日も元気に健幸体操!」と背筋にそってまっすぐ書かれたTシャツ。とはいえ、65歳以上じゃないともらえないのだそうだ。

じゃあ、スタンプカードでスタンプ集めても意味がないんじゃ?

「65歳になればもらえるから頑張ってためておきなさい」

30個貯めたらTシャツ1枚。65歳になるころには・・・そんなにいらない。

2.散歩したくなる広い道

前述したとおり、10~20棟もの同じような建物がある団地の風景。棟の間の道には木々や花が植えられ、公園を散歩しているかのような気分になる。

団地の真ん中に遊具があったりと、夕方は小学生たちが元気にかくれんぼをしている。

「もういいかい~」
「ま~だだよ。」
「もういいかい~」
「ま~だま~だだよ」
を10回繰り返し、鬼が
「もういいだろ!しつけーよ」
と切れるやりとりがお気に入りなのである。

3.座り心地がいいベンチと東屋

散歩しているとちょっとこの辺で座りたいなというところにベンチがある。たまに東屋なんかもあって、昼間はおじいちゃんおばあちゃんのおしゃべり場、夕方は小学生たちの遊び場、夜は高校生たちのいちゃこら場となっている。

団地のふたりで久しぶりにあったアニ(木更津キャッツアイ・塚本高史)が40代でおなかでっぷりしてきたサラリーマンのようになっていたのにびびった。もう25年も前か。。。25年という年月を普通に言ってしまっている自分にもびびった。

4.掃除のおじちゃん

緑が多いということは雑草もわんさか繁ってくる。業者が芝刈り機でウィーンウィーンいいながら芝を刈っているときもあるが、近所のおじさん、もしくはシルバー人材センターから派遣されてきたようなおじちゃんが掃除をしていることもある。

リサイクルゴミや大型ゴミの日はゴミのエリアを片づけたり、枯れ葉を集めたり、うろうろ散歩していると必ずあう。そして、団地のふたりにもでてきたおじさんのようなカートに掃除グッズをいれて押して歩いているのだ。

この風景はあるあるなのね・・・と納得。

5.テラスのある風景

5階の最上階の角部屋でしかも3畳はあろうかと思うほど広いテラスで夜な夜な空を見上げながらワインを飲むのが最近のお楽しみ。真夏でも山から気持ちのいい風が入り、猛暑と言われている中でも、快適に過ごしていた。

そして、わたしもノエチとなっちゃんのテラスのようにランタンを買ってしまった。テラスにもライトがついているのだが、これをつけるとめちゃくちゃ明るいのでランタンくらいがちょうどいい。

1階にはお年寄りが多く住んでいることもあり、ドラマのようにベランダから声をかけている風景もよくみる。こういうご近所同士の付き合い、これから大事になると思う。

ラジオ体操に通い出した最大のメリットは、地域の行事がわかること。体操が終わった後、「今日はどこそこで、喫茶室が開かれます」「防災訓練があります」「〇〇教室があります」とさまざまなイベントを紹介してくれるのだ。

「家に引きこもっている時間はありませんよ!今日もどこかへレッツゴー!」

リーダーのおばちゃんの呼びかけにみんなで「レッツゴー」という。こういったリーダーがいると高齢者の健康寿命も延びるんだろう。そして、毎度「あなたもいらっしゃいよ」と誘われる。

行っちゃおうかな、人生酸いも甘いも経験した面白い話が聞けそうだし・・・と心が揺れ動くが、公民館で開かれる100円で珈琲、茶菓子付きの会に参加するのはまだ早すぎる気がしている。

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ゆきんこ
応援ありがとうございます!いただいたサポートは次回のブータン旅行時、キッズ僧侶たちへ日本のあめちゃんを大量に購入する費用にいたします。