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自分を心から信じてあげられるのは、自分自身しか出来ない
今回は、娘が再び本格的にバイオリンをやり出すまでの私の気持ちや娘が自分で語った気持ちを書いてみたいと思う。
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副作用がなくなり、少し元気になってきた娘は、幼い頃から続けていたバイオリンを再び弾くようになった。
弾けなくなった時、あれだけ「バイオリンなんか嫌いだ!💥😡」と言い張っていたから、再び弾きだした時は、暇つぶしに趣味程度でも弾いて、娘が「楽しい❤」と思えたらいいなぁ~、くらいに私は思っていた。実際楽しそうに弾く娘の姿を見て、「やっぱり嫌いじゃなかったんだ」とホッとした。
でも、娘はずっと何だか煮えきらない感じだった。
毎日2、3時間練習するのが当たり前になっていた娘にとって、趣味程度で弾くバイオリンは物足りなく感じていたのだ。しかも娘は練習が大好きで、音階から始まり、セヴィシックを何冊かやってエチュード、そして曲、と決まった流れで練習をする事が大好きだった。だから、きちんと練習しない『趣味程度』という域が、曖昧過ぎてどれだけ弾いたらよいかわからない感じだった。
悩んでいた娘は決断した。
『もう一度本格的にバイオリンをやろう』と。
6月から以前の練習量に戻し、娘は今冬コンクールを目指す事を決めた。ソルフェージュ(音楽の文法のようなもの)のレッスンも再開したい!と再び習いに行く事も決めた。
娘は、一度きりのこの人生をやっぱり音楽の為に生きると決めたのだった。
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身体が吐き気等で、思うように練習ができなくなり、バイオリンのレッスンにも通えなくなり、もうバイオリンをやめると選択した去年の今頃……
娘は、無理やりバイオリンの事を嫌いになろうとして、バイオリンのことを考えないように精一杯努力して、他に好きな事が見つかるかもしれない、と必死で探し、見つかってもやっぱりバイオリンほど本気で好きになれなかった。
いくらバイオリンの事を頭から切り離そうとしても出来なかったこの一年。
音楽が流れてくるたびに勝手に頭がそれを音符に変換し、弾いたことある曲だと、手が勝手に動く。そんな自分に嫌気がさしていた。
可笑しいくらいに一日中バイオリンの事を考えてる自分、バイオリンの事がどれほど好きか、自分にとってバイオリンがどれだけ大きな存在か、気付かされた一年だったそうだ。
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バイオリンの音楽も、クラシックも、『バイオリン』という言葉さえも、聴いたり発言したりするのに気を遣っていたな、と当時の私達を思い出す。
癖で右手が勝手に弓を動かす仕草になる娘の姿が段々と消えていき、『娘=バイオリン』になっていた私達の頭の中も、この一年で段々と薄れていった。私達家族の中では、娘がバイオリンを弾いていた事実はすでに過去のものとなっていた。
バイオリンをやめて半年以上経ち、娘や私が気持ちの整理が出来だした頃、段々とお互いがそれとなくバイオリンの話をしだすようになった。バイオリンの事を話題に出しても胸が締め付けられるような苦しくて嫌な気持ちにはならず、いつの間にか、私達は会話の中で過去のバイオリンの話も自然と出来るようになっていった。
娘がバイオリンを弾き始めた今は、私自身以前のような過度の期待や『娘=バイオリン』みたいな思い入れは全くなく、素直に娘の好きな事を応援したいと思っている。
そんな風に考えられるようになった私自身も成長したな、なんて思う。
末っ子は、娘がバイオリンを再び弾くようになって、「お姉ちゃんはやっぱスゴイわ~。一つのことをここまで好きになれるなんて、ホンマないで!」と感心していた。
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それにしても、娘が本当にバイオリンに戻るとは思わなかった。
音楽の世界は厳しい世界だ。増してや、娘は音高に通ってもなければ、音大に行く予定もない。学歴が物言う日本社会で、受賞歴が2つ程度しかない娘がバイオリンを仕事にすることは難しい、と思う。
世の中甘くはないのは重々承知。それを承知で決断した娘。
その決断は、バイオリンと学業の両立に悩んだ中学、コロナで完全不登校になり、一念発起してSNSでバイオリンの演奏活動、ファンが付き出した矢先に体調がおかしくなり、バイオリンが弾けなくなって奈落の底に堕ちてしまった、この全ての経験からきている。
「自分の人生、発達障害と診断されるとは思いもよらなかったし、強迫性障害になるほどウイルスが大嫌いなのに、コロナが世界中で大流行するし、身体がおかしくなって精神病院に入院するなんて、自分の人生にはない、と思っていた」と娘は語っていた。
人生って何が起こるか分からない
この先どうなるかわからない
それを痛感した娘は、今、人生でやれる所までやってみよう、と決めた。自分に嘘を付かず、後悔ないように、やっぱりバイオリンで生きていこう!と決めたのだ。
その娘の決意が潔い。
そして、なんと言っても
『自分を信じること』
他人に自分を心から信じてもらうのは難しいが、
自分を心から信じてあげられるのは、自分自身しか出来ない。でも、自分で自分の可能性を信じるのは勇気がいる事だと思う。そのことが出来てる娘は凄いと思う。
娘のそういう所、見習いたい。
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