【読書ログ】社員をサーフィンに行かせよう パタゴニア経営のすべて
パタゴニア直営店での本との出会い
環境関連の仕事になったこともあって、普段使いのリュックを買い替えようと、先日丸の内のパタゴニア直営店にお邪魔しました。
お目当てのリュックは30Lの定番の黒を購入。
店員さんの説明もわかりやすくて、パタゴニアの商品は、多くのデザインがあるというよりも機能性を重視したものばかりだということがよく理解できました。
その後、店内をふらふらとチェックしていると、創業者であるイヴォンさんの本が展示されていました。
パラパラと少し手にとって読んでみると興味深い内容ばかり・・
さすが噂のパタゴニアだな〜と、思わずリュックと一緒に購入することにしました。
レジで支払いを済ませようとすると、店員さんにふと声をかけられました。
「この本、ご興味もっていただいたのですね。ありがとうございます!」
「弊社の想いに共感いただいて嬉しいです!」
会計する時に、さりげなく声がけをしてもらうと、こちらも嬉しくなって話をしたくなります。
「さっき、立ち読みしてて御社の理念はすごいなぁと感心してしまって・・私もいま環境系の仕事になったので、この本で勉強させてもらいますね〜」
「そう言っていただけると嬉しいです!実はパタゴニアは日本に1988年から出店してて歴史もあるんですよ。裁縫などの品質は日本に習っているところもあります!すごいですよね」
レジの店員さんが、ここまで自社の歴史や良いところをサラッと嫌味なく話せることが単純にすごいと感じた。
仕事っぽくなってしまったけれど、名刺交換をさせていただき、気持ちよく店を後にしました。
印象的なこの本との出会いでした😊
生態系と向き合う経営
読み終えてまず感じたのが、イヴォン・シュイナードさんの生き方、働き方というよりも彼の哲学そのものが、一貫して会社の理念として貫かれているのがすごいこと。
ここ半年いろいろな環境系のビジネス本を読み漁ってきたけれど、ここまで真正面から地球、自然、生態系というものに向き合い、それが1972年から一貫していることに驚かされた。
1984年、古紙のリサイクルを開始したり、アメリカで初めてカタログに再生紙を使用したり、資本主義の権化アメリカで、かなり初期の段階から、企業として環境に配慮したアクションを実行してきたことは尊敬でしかない。
"ビジネスを手段として"と言い切る会社のビジョンが素晴らしいと思った。
消費者でなく所有者になろう
思わずメモを取った言葉。何気にビジネスシーンで"消費者"という言葉を使っているけれど、消費者と所有者の定義をあらためて考えさせられた。
私は紛れもない消費者なのかもしれない。現代人は無尽蔵な消費のためにお金を稼ぐ・・という価値観を持っている限り、生態系の破錠はとまらない。
地球のものはすべて循環していることを無視した考え方が消費ということなんだろう。
"消費者ではなく所有者になろう"
エコ検定で3Rを丸暗記したリデュース・リユース・リサイクルも大切だけど、「所有者になろう」と考えることが、抜本的な着眼点を変えることに繋がるように思えた。
「不在の経営」 管理者と指導者
地域社会の問題に、一人ひとりが対処する。
都市の規模は人口25-35万人がいいらしい。
環境の理念
イヴォンさんは環境について相当勉強されている。
資本主義での大量生産・大量消費のせいで急激に地球環境が破壊されている驚くべき事実・・
自分は1970年代生まれなので、栄養素が失われていた時代にしか生きていないことになる。本当にショッキングなことだ。
資本主義経済のベースになるGDP自体の考え方も本当におかしい。
環境配慮をグローバルでするためには、このようなモノサシになる基準をすべて刷新しない限りうまく回らないように思う。
フルコストアカウンティングの考え方、まさに「グレート・リセット」が必要なのだろう。
一貫した環境軸のパタゴニアの経営は環境理念の中に踏襲されている。
これは社員が市民として、地球の生活者として生きることから、企業として社会に、地球に、価値を出すために活動することまで貫かれて、その思想や哲学、他社を動かすリーダーシップまで考え抜かれている。
最後の方のページで印象深かった言葉を引用しておきたい。
どうしても仕事では、「消費者の行動変容」とか「環境ビジネスのために」とか軽はずみな言葉を使ってしまうことが多い。
それらはどれも真理ではなく、見せかけの言葉にすぎない気がした。
自制すること、品質にこだわること、簡素にシンプルを極めること。
今まで自分は"太る成長"の思想で、資本主義の権化のような仕事ばかりしてきたように思った。
その地球への罪の償いが必要だ。
"強くなる成長"のことを真摯に考え続け、行動し続けていきたい。
LET MY PEOPLE GO SURFING
パタゴニア経営のすべて
何度も読み返してみたい1冊になった。