見出し画像

運動は脳にいい?!②<ストレス耐性が強くなる>

私はカウンセリングの中で、うつや不安症、パニック障害、あがり症等の症状を持つクライアントさんに、「できれば運動をしてください」とお話しすることがよくあります。カウンセリングを受けに来たのに、なぜ運動を勧められるのか、とキョトンとされる方もいらっしゃいます。

その理由は、運動はストレス耐性を高めてくれるという研究結果が出ているためです。そこで今回は、なぜ運動が私たちのストレス耐性を高めてくれるのか、脳神経科学や生理学の観点からしてお話ししてみたいと思います。

運動とストレスは似ている?!


運動をした後には気分がよくなるものですが、運動開始直後はつらく感じることが多いと思います。それは、急激に心拍数が上がる、息が上がる、汗をかく、といった生理反応に体がまだ順応していないためです。

実はこの運動開始後に感じる身体の反応は、心理的ストレスを感じたとき身体の反応と非常に近いと言われています。確かに強い怒り、悲しみ、不安、緊張、パニックといったものを感じたとき、急激に心拍数が上がる、息が上がる、汗をかく等といった、運動しているときと似た身体の反応が起きます。そして心理的ストレスを感じたときと同様に、運動直後も血中のストレスホルモンが一時的に上昇します。

運動がストレス反応を起こすなら、なぜそんなことをする必要があるのか、身体を動かさずにネット動画でも観ていた方がよいのでは?!と思う方もいらっしゃると思います。実は、次のような理由で、運動をした方が精神的に健康になれるといわれています。

運動は心理的ストレスに対する予行演習


運動開始直後にはつらく感じても、数分から数十分すると体が次第に速い心拍数や呼吸、発汗に順応し、気持ちがよいと感じるようになります。

この、「運動をする→身体・脳のレベルでストレス反応が起きる→順応する→気持ちが良い」というプロセスを繰り返すことが、心理的ストレスに対処するための予行演習になるといわれています。運動によるストレス反応に上手に対処することができれば、「心理的ストレスを抱えたときも私は大丈夫!」と身体と心のレベルで自信を持つことができるというのです。

例えば、運動嫌いのAさんに心理的ストレスがふりかかったとしましょう。そのときAさんの心臓がバクバクし、汗が吹き出します。するとAさんの身体は日頃そうした反応に慣れていないので、うまく制御することができません。またAさんの脳も「何この反応!!」と驚いてしまい、場合によっては「もうダメだ!死んでしまう!」と脳が反応してしまい、パニック発作を引き起こしてしまうこともあります。

次に、定期的に運動をしているBさんの事例を考えてみましょう。Bさんは強い心理的ストレスを感じ、心臓がバクバクし、汗が吹き出しました。しかしBさんの身体は、そうした反応にどう順応したらよいのかを知っているため、早く心拍数や発汗を落ち着けることができます。そして脳も「大丈夫、大丈夫。運動したときに感じるのと同じ感覚だから」と冷静さを保つことができます。

ストレスに弱いな…と感じている方はぜひ!

ストレスを感じると体調が悪くなったり、心のバランスを崩してしまったり、という方は多いと思います。そうした場合、内省やカウンセリング等を通してストレスを感じにくい考え方や感じ方を身につけることはとても大切です。しかしずっと心のことばかりを考えていると、考えがグルグルと巡ってしまったり、ふと気がつくとネガティブ思考に陥っていたりするものです。

そこで心をより健康にするツールの一つとして、ぜひ運動も生活に取り入れてみてください!なかなか重い腰が上がらない、という方は『運動は脳にいい?!①<運動の効果を実感してみよう>』でご紹介した簡単な実験を通して、運動の効果を実感し、モチベーションを高めていただけたら嬉しいです。

長谷川由紀

☆おことわり☆
本ブログ内の記事は、精神科・心療内科等での治療を代替するものではありません。必要に応じて医師・心理カウンセラー等に直接ご相談ください。また本ブログの事例にて紹介されている人物や状況は、全て架空のものです。セッションを通して伺ったお話をブログにて公開することはありません。

外部リンク:
Website(ニューヨーク版)
Website(シンガポール版)
Hatena Blog
Instagram
Twitter
Facebook


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?