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呑むと本音が出るんだなあ

お酒を呑むと本音が出る・・・のは、いろいろな人が実体験としてお持ちかと思います。

三島由紀夫がどこかに「私の嫌いな客は、私の酒席で乱れる者だ」という意味の事を書いておりましたが、私もそれに同意であります。

お酒を呑むと、酷くグダグダになったり、暴れん坊になったり、セコさ発動でお金を払わないで逃げ回ったり、セクハラ、パワハラ、モラハラする人・・・周りの人間はあらゆる迷惑を被ってしまうわけですが、その本人は翌日にはケロっとしていて、文句を言うとその時には反省の態度を取るものの、また酒席になれば同じ事を繰り返す・・・ようするに、そういう人は、99%治らない。だから人間的な付き合いを止めるまではせずとも、酒席で同席しないのが吉ですね。

そこまで行かなくても酒席で「なんだかなー」という経験は避けられないもの・・・

私も沢山の不快な体験をしましたが、仕事に絡んだ話題で思い出したものを・・・今回は「酔うと(酔ったフリもある)本音を言う人達」です。みっともない人達ですねえ・・・他にも沢山あって、毎日書いても半年かかりそうですが、今回はふたつだけ・・・

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もう随分前ですが・・・独立して12〜13年ぐらい経ってからでしたか・・・和装染色や呉服系の制作側の人たちの呑み会に参加した事がありました。

そこでは、模様師(友禅染などの文様を描く仕事)和裁師、引き染師(地色を刷毛で染める専門職)その他の業種の人がおりました。

そのなかで私とほぼ同業の模様師の方がお二人いらして、そのお二人は世襲で家業を継いだ方々でした。普段は、私の事を「新規参入で知り合いも固定の取引先も無い状態で良く専業でやってるよね」なんておっしゃり、素面では多少は私を評価する発言をされていたのですが、お酒が回り始めると・・・

もちろん、私は相手に喧嘩売ったりしていませんし、イヤな事も言っていません、勝手に始まってしまうのです。そもそも、彼らはそれまでに二三度、どこかでちょっと話した事のある程度の知人に過ぎないのです・・・

私と同世代のAさん
「・・・あんたなんか、草木染だから売れただけなんだよ。オレはあんたと違ってちゃんとした修行をした人間だし、キチンと技術を修めた職人だ。オレだって草木やれば売れんだよ」

私よりも一回り以上年長のベテランBさん
「あんたみたいな、作家とか名乗って適当に作品売るのってさあ・・・何か、そういうのって売れるみたいだけどさぁ・・・最近は、みんなそういう楽をしたがるよね。その点、オレたちは違う。ちゃんと10年以上修行した正当な本物の職人だ。ちょっとかじっただけの適当な作品なんか作っちゃいない」

などなど、絡み始める・・・

こちらも酔っているので内心はファイターになっていますから、受けて立っちゃおうかなーなどという考えは浮かぶも、他所の人が主催でしたし大人げないので抑え、酔っぱらいの本音を聴いて面白がっておりましたが、しかしやっぱり気分は悪いものです。

ああ、この人たちは、こちらの苦労を分かってくれているんだなあ、と思っていたら、実は全然そうではなくて、こちらに憎悪を持って下に見ていたとは・・・と知ると「またか」という感じですねえ。落胆ではなく「またか」なのです。

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もうひとつは・・・こちらは私が独立して3年ぐらい経った頃だったか・・・

私がある古道具店で個展をしていただいた際、オープニングパーティに、サラリーマンをしながら作品として椅子を制作している人がおりました。

その私の個展の少し前に、その人の作品の椅子が、どこかの賞を取ったらしい。それは素晴らしいですね!と私は称賛しました。

で、酔う前は

「いやあ、にへーさんは、作品だけで家庭持って食ってるんだから凄いですよ。自分には出来てません、いやあ凄いなあ」

なんて言っていて

私は「いや、創作スタイルは人それぞれですから・・・いろいろな事情で副業を持った方がやりやすい人がいるし、専業でないと難しい場合もありますし、どちらが上という事はないですよ。自分の創作に有効な方をチョイスすれば良いわけですから。現に、あなたは創作を認められて賞を取ったじゃないですか・・・」

と言ったりしておりました。

しかし酔いが回って来ると・・・

「にっへーさんは、結局専業で、それで食っているわけだから、自分の作品を金に変えているんだ!だから作品じゃなくて商品だ!妥協の産物しか作ってないんだ!それに比べてボクは、金の事なんて考えないで純粋に自分の創作をし、芸術作品を作っている!芸術的な価値はボクの方があるんだ!ボクの方が芸術的には上なんだだ!」

なんて主張し出す・・・(私は何もそういう話題を語っていないのに)

私はそういう話題になると妙に論理的になるので、酔っ払っていても

「いや、作品とか商品とか言っても、自分が納得行くものをつくって他人へ伝達した結果が社会でお金に変わるわけだから・・・本質的には人間社会では商品とか作品とか分離は出来ないんですよ。創作的にも一人の人間が自ら発信するもので、これは作品でこれは商品だなんて自称以外は区分け出来ないものです。私は自分が納得しないものを自分の作品としては出さないですよ。職人としてお店のプロジェクトものや注文のものなどを制作を請け負う事はありますが、それはそれとして納得したものを出していますよ。だから創作面ではストレスや妥協は無いですよ。人間関係や経済面ではスゴイストレスありますけど(笑)それに、仮に何かの環境が自分の作品の根幹的部分に影響を与えて作品がダメになるようなら、その人の創作ってその程度って事ですよ。もしその人が本物の創作家なら、その人の作品はどうやってもその人の作品に観えるものですよ」

なんて話を返すと

「そんなの、ウソだぁ!あんたなんかにそんな事が出来るわけが無い!(学歴も修行も受賞歴も無いオマエなんか、オレは全く認めてないぞ!)」

「いや、出来なかったら、副業も支援も無い私、家族が干上がって生活出来てないですし。笑」

「そんなのウソらぁ・・・」

みたいな感じで、結局、この人も本音では私を嫌いなんだなあ、しかも、その憎悪を本人に直接ぶつけて少しでも憂さを晴らしたいと思っていたんだなと思い「ああ、またかあ・・・」となったのでした

「現代の作り手が純粋な創作だとか作品だとか、お金が関わった汚い商品だとか語るなよ、全く恥ずかしいな・・・」と思ったけども、そこまではその人に言いませんでしたけどね。

私の事嫌いなら、最初から近寄って来なければいいのに、と思うんですけどねえ・・・

彼らが私に言いたい事は、一言で言えば、

「お前なんて、全然たいした事ないんだ!」

あるいは

「お前は何か影でずるい事をしているから専業でやってられるんだ!」

という事です。

しかし、実際に全く何も頼るものが無く、制作だけで生活しているのを知ると、勝手に人は離れて行きます。だから、私には友人がおりません。

まあ、批判は、素面で言ってくれれば受け止めますけどね。

何か自分だけ儲かる、ずるい事があるなら、是非知りたいものですねえ・・・

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ヘッダー写真は、イタリアのモルトです。酒話題なのでヘッダー画像にしただけで、それ以上の意味はありません(笑)最近は、いろいろなところでいわゆるスコッチウイスキーが作られますが、イタリアはちゃんとイタリアっぽく、フランスはちゃんとフランスぽく、日本はちゃんと日本っぽく(その他その他)ご当地性が出ていて面白いですね。「モルトウイスキーの様式」という縛りがあるからこそ、ご当地性が明瞭になり、新たな展開があるわけです。


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