夏ものは通年制作しております
当工房は、和装の夏物を通年制作しております。
最近の日本の気候が以前とはかなり変わって来た事、お客さまの嗜好が変わって来た事が主な理由です。
工房には、夏着物はある時にはある感じ・・・夏帯は、数は多くありませんが、だいたいいつもあります。資料画像は沢山あります。
和装業界に30年程度おります私から観て(2022年現在)夏物に関するお客さまの意識は、15年ぐらい前から変わり始め、5年ぐらい前から現在で、明らかに以前とは変わったなあ、と思う事が多いです。
一般的には、夏物は、問屋さんだと小売店さん向けの展示会に2月ぐらいに出し、小売店さんは春先に一般向けの展示会をするという感じで夏物を扱います。お客さまは春先に購入し、小売店さんは夏に間に合うように仕立をし、納品、という流れですね。
元々、和装は夏物を着る人が多くはなく、商品にそれ程バリエーションも数も無いので、そんな感じで対応出来ましたし、希少で高価な植物繊維の織物以外は、サックリした仕事で価格を抑えたものが多かったので、そんな扱いでした。
(もちろん「夏物にこそ、和装の美がある!」という趣味人の方はいつでも凝ったものをお召になりますが)
夏の染帯に関して言えば、
以前は「サクッと素描」みたいな淡白なものが多かったのですが、最近は「しっかりした文様の仕事の夏帯が欲しい」というご要望も増えて来ました。上の写真のアンティークレース柄や、描き込んだ更紗の夏帯なども受け入れられるようになりました。もちろん、文様に涼感が無ければいけませんが・・・
それは
「暑い夏にワザワザ着物を着るんだから、自分の好きな文様を身に着けたい!」
という感覚からのようです。
また、夏の染帯に使う生地は「いかにも夏っぽい生地」を、あまり好まない人が増えました。「程よい透け感と素材感がある、布としてニュートラルな感じのもの」が人気です。(なかなかそういう白生地が無いのですが・・・)
それは、実際にお召になるお客さまの
「最近は、単の時期も盛夏と同じぐらいに暑いから、単&盛夏で使えるような帯生地が都合が良い」
という事情によります。
上記は帯を説明しましたが、そんな感じに着物・帯を問わず、夏物欲しいな・・・と思っているお客さまは「いつも何か良いものを探している状態」です。市場には、なかなか上記の条件を満たすものが無いからです。
ですので、真冬であろうが、その時に良いものがあれば購入されますし、夏ものだからこそ真夏にピンと来たものを買いたい、仕立が今シーズンに間に合わず来シーズンに着る事になっても・・・という場合もあります。
そんな訳で、当工房では通年、夏物を用意している次第です。
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(以下は、上記と同じ内容を少し具体的に説明したものです)
和装だと具象文様の場合、季節による決まりは比較的細かくありますが、着物では生地の種類と、仕立の方面では「盛夏用」と「単用(ひとえ)」と「袷用(あわせ)」を押さえておけば大丈夫で、その辺はシンプルです。
帯については「盛夏用」と「それ以外」というぐらいのものです。
もちろん、細かく区分しようと思えばいくらでも出来てしまうのがディープな伝統系のものですが、現代では実際に着る人程、細かい事は言いません。
ここのところ、夏はもちろん単を着る時期の晩春でも初秋でも異様に暑く、そのくせ冬はしっかり寒かったりと日本の気候は以前のしきたり通りに着物を着る事を許さなくなっております。
なので、袷の時期でも単をお召になったり、帯も少し涼感のあるものを合わせたりと、その時々の気候に合わせて自由に着る人が増えました。(冠婚葬祭ではしきたりに従いますが)少しでも快適に着たいですからね。
そういう流れから、単から盛夏の染帯用の生地では「単でもいけるし、盛夏でもいけるような質感のもの」に人気が出て来ています。
「盛夏も単の時期も同じように暑いのだから、どちらでも使えるような涼感のある生地が良い!」というわけです。なので、例えば、五本絽とか三本絽などの「いかにもそれらしい盛夏にしか使えない生地」は当工房では動きが悪いです。
そうなりますと、制作側としてはそのような需要に合うものを提供したいと思うところでありまして、そのような生地に、現代の需要に合う染をして、通年お見せ出来るようにしている次第であります。
もちろん、帯だけでなく、着物でも羽織でも何でもお気軽にご相談下さい!(夏物に限らず)
当工房のサイトはこちらです!(宣伝!😊)