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創作活動と体調
二年くらい前から俳句や短歌を詠む(自分で作る)ことを趣味の一つにしている。
また、自分で作った本やZINE、ポストカード等をネットや委託によって販売する活動もしている。
活動を続ける中で気付くようになったのが、体調の良し悪しが創作活動に与える影響は決して小さくない、ということだ。
●体調が良い時
比較的体調が良い時は、作品を沢山作ったり、満足のいく作品を作れたりするケースが多いように思う。
毎日歌会が行われるサイト「うたの日」に短歌を出したり、良い点数を頂けたりするのも、体調が安定している時のように感じられる。
例え創作が上手く行かなくても、インプットや他の趣味にすんなりシフトして頭を切り替えることができるし、新しいアイデアを思い付いたり、積極的に何かのイベントに申し込んだりするのも大抵この時期だ。
●体調が悪い時
しかし体調があまり良くない時は、いくら何か作り出そうとしても一切頭が働かず、どうにかこうにか出来たものを振り返っても無理矢理絞り出した感の否めない出涸らしのような作品になりがちだ。
卑屈になってしまうのでインプットも受け入れられず、他人を羨んでしまうことすらある。
「こんなことをしてもどうせ大して興味を持ってもらえないのではないか」「自分にセンスなんかないのではないか」と、これまでやってきたことや得た繋がり全部を放棄してしまいそうになるのも大抵この時期だ。
しかもこの創作不調期の波は、私の場合、月経周期と大いに関係しているように思える。
●創作活動と月経周期
創作活動の話題だと思っていたのに月経周期だなんて……と、生々しい話のように感じられる方もおられるかもしれない。
その場合は、どうか無理をせずこの節は飛ばして貰っても構わない。
ただ、抵抗がなく、もし少しでも興味関心を持って下さったのなら、男女や年齢を問わず、一読していって頂ければ幸いである。
体調が心理状態に大きな影響を与えていると気付いたのは大学生になってからのことだった。
以前も何度かここで書いたことがあるかもしれないが、高校生の頃から月経痛が重くなり、大学生の頃からは月経前後のメンタル不調も加わった。
最初は「耐性がついて効かなくなる」と聞いて鎮痛剤も飲まずに耐え続けたが、あまりの痛みにたまらず鎮痛剤を使うようになった。
それでも何年もの間、鎮痛剤を飲むタイミングを上手くつかめず、薬が効き始めるまで文字通りのたうちまわって過ごしていた。
メンタル不調については、実家にいた頃は毎月母親と激しく衝突していたし、イライラして壁に物を投げつけたこともある。
社会人になってからは、当時遠距離交際中だった現在の夫と、数ヶ月おきに別れる別れないの大騒ぎを繰り返し、小競り合いのたびに当て付けで連絡先を削除したり、連絡が取れないよう着信拒否設定をかけて無視したりと、とにかく多大な迷惑を掛けた。
(私は表向きには全くこうした面を見せないので驚かれる方も多いと思う。)
今考えれば、これら諸症状を長年治療せず気力と我慢で乗り気ってきたことが、数年前のうつ病発症に繋がった面は否めない。
低用量ピルや漢方等の利用によりこうした症状が驚くほど改善されると身をもって知った時は、何故もっと早く治療しなかったのかと、強い後悔の念に襲われたものだった。
こうした過去の経験から推測するに、私は黄体期(月経開始後約二週間後に開始。排卵から月経開始前日までの時期)および月経期(月経開始後一週間くらい)には思うような創作活動ができなくなるようなのである。
具体的には、先ほども書いた部分と重なるが、そもそもやる気がでない、作ろうとしても作品が作れない、出来が悪い、だからといってインプットする気にもなかなかなれない、他人を羨んでしまう、自分の活動が馬鹿げて見えてくる、創作自体をやめてしまいたくなる、などの症状があらわれる。
●あなたは一人ではない
前の節では、月経周期の影響により、創作のやる気がでない、思うように作品が出来ない、インプットの気力もわかない、他人を羨んでしまう、創作自体をやめてしまいたくなる、等の症状が出ると書いた。
もしかすると、これを読んでいる方々の中にも、創作のジャンルを問わず、同じように感じている方がいらっしゃるのではないだろうか。
また、月経というと女性だけのように感じられるかもしれないが、男女を問わず、気圧や天気、持病等の関係によって、創作活動への意欲や作品の出来に波があるという方は案外多いのではないだろうか。
もちろん自分はそんなことはないという方もいらっしゃるだろうし、コンスタントに高品質な作品を生み出し続ける創作者の方もおられるはずだ。
もはやそれはプロの技と呼ぶべきだろう。
しかし私が特に言いたいのは、心が身体の影響を大きく受けているように、創作活動も身体の影響を大きく受けている可能性があるのだから、体調不良時に「良いものが作れないから」「自分の活動には意味がないから」という理由で簡単に創作活動と決別して欲しくない、ということだ。
「ならば月経周期や体調不良によって良い結果を残せなかった創作者に配慮せよということか」「下駄をはかせろということか」という声もあるかもしれないが、それは決して私の本意ではない。
(例えば「女性は月経があるから俳句や短歌の出来不出来には波があっても当然だ」という実際の声掛けが物分かりの良い人間の「優しさ」として定着することが万が一にもあるとしたら、それはそれで問題だ)
むしろ今回呼び掛けたいのは、過去の私と同じように現在身体と心のバランスに揺さぶられているかもしれない創作者のほうである。
あなたは一人ではない。
それだけは確かに届いて欲しいメッセージだ。
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