「語れるものを持つ」という生き方
自分には、「人に語れるものなどない」と思っていた。
ごく真面目な学生生活を送り、特に秀でた特技もなければ、これといって誇れるものもなかった。10代らしく学び、遊び、恋をし、普通に就職をした。
社会人になって、より一層語るものが減った。仕事は真面目にやっていたけれど、機密情報ばかりで、人に話せるのはせいぜい「何時まで残業した」とか「こんな先輩や上司がいる」といった当たり障りのないことばかりだった。
仮に仕事の内容を話すことができたとしても、与えられた仕事をこなしているにす