セルフイメージの持つ影響力

「私は世界で一番ダメな人間だ」
10代から割と最近まで、本気でこう思って生きてきた。
何か決定的なできごとがあったわけではない。
強いていうなら、何度か母から人としてゴミ以下だとか言われたことがあったくらいで、それもたった数回。
ただ自分でその言葉を何度も反芻して大きくして、たいして理由もないけれどとにかく私は世界で一番ダメな人間に違いないと、自分に何度も言い聞かせた。

女子高生だった頃、進学校でそれなりの成績をとって忙しい部活に所属しながら、オンラインでやりとりをしている自己肯定感の低い人に向かって、"私より価値があるので安心して生きて欲しい""世界で一番ダメなのは私であなたはそれ以上にずっといい人間だ"という理屈の通らない言葉を、本気で信じて打ち込んでいた。
「私は世界で一番ダメな人間だ」はいつしか、できないことをできないままでいるための逃げ場のようになっていた。

就職して数ヵ月経った頃、上手くいかない現実に、やっぱり「私は世界で一番ダメな人間だ」が頭角を現す。
帰りがけに寄った服屋さんのアパレル店員も、コスメカウンターの美容部員も、みんなきちんと働いて仕事ができているのに、私はなぜこんなに仕事ができないのか、やっぱり私は世界で一番ダメな人間なんだ、と。

新卒で入った会社では「そこの課は大変だよね、昔から闇が深いと有名だから」と言って励ましてくれる人がいたり、一緒に頑張る同期がいたりでなんとかそれを乗り越えられたけど、転職した先の会社ではできない自分に打ちのめされて、またすぐに「私は世界で一番ダメな人間だ」でいっぱいになってしまった。
4年目なのに社会人としての基本動作ができていないといったようなことを周囲から思われているに違いない、私は世界で一番ダメな人間だったのに少し前の会社で仕事ができるようになったからってそこを履き違えてバリキャリに近い道を選んでしまったなんてどこまで愚かだったんだろう、と考え続けた結果、休職せざるを得ない状況になった。

あの頃も今も、会社に悪いところは何もなかったと私は本気で信じているし、それは他の人からみても実際にそうだと思う。
大手ホワイト企業、上司も温厚でハラスメントも無縁。
原因は明らかに、圧倒的な私のもつセルフイメージの問題だった。
たしかにできないことは多いし指摘も受けたけど、知らなかったことは取り入れればいいし、良くなかった点は改めればいいだけの話だったところを、「やっぱり私は世界で一番ダメな人間だったんだ」と変換して、改善に全く頭が向かずにひたすら意味もなく落ち込んだ。

今もやっぱり、きっと人から見たらできていないことが多い。
5年目なのにまだこんなこともできていないのか、と思われてしまうこともきっとあると思う。
それでも今はやっと、私が世界で一番ダメな人間だからできないわけではなくて、今できないことにどんどん気が付いてできる自分をつくっていこうと考えられるようになってきた。
心は強くないしなんなら相変わらず弱くて脆いけれど、"私がダメ"なわけではなくて"今これができていない私がダメでできるようになったらもっといい自分になれるよね"ということを、繰り返し自分に言い聞かせて生きていきたい。

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みみ
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