野球の技術を高める:脱力と力の入れどころの極意 解説編③肩関節の脱力
今回は、肩関節(肩甲骨)、三角筋(僧帽筋)の動作中の脱力法について解説していきます。
投手の場合は腕、打者の場合バットをどれだけしならせられるかが重要な要素となってきます。
理想の動きは、でんでん太鼓です。
よくタコやイカの動きで脱力をイメージする方はいますが、それではまだ動きが硬いのです。
何故か「腕を動かす意思があるから」です。
でんでん太鼓は中心部が左右に振られると、紐の部分がそれにつられて自然と振られるのです。
肩の脱力を身につける事で「腕を動かすという意識が無くなる感覚」が手に入ります。
スキャプラプレーンの理解
スキャプラプレーンとは、肩甲骨面という意味なのですが、肩関節の脱力にはこの理解が非常に重要となります。
肩甲骨は、どこの関節にも支えらえておらず、肋骨の上に云わば浮いた状態で位置しています。そして肋骨の丸みの上に乗っかっていますので、少し外側に傾くように位置しているのです。
肩甲骨は外側に約30°傾いています。腕を真横に肩の高さに挙げると、目線に入りません。これが0°です。高さは変えず、少しずつ前方に移動していくと腕が目線に入ってくる所があります。この位置が約30°傾いた位置になります。
スキャプラプレーンとは、肩に最も負担のかからずに腕を動かす事の出来る範囲を示すものです。言い方を変えると、最も肩が楽で脱力できる範囲とも言えます。スキャプラプレーンより前で腕を動かす(肩甲骨が開いた状態)と余計な力みが入りにくくなります。
しかしスキャプラプレーンより後ろ(肩甲骨が寄った状態)の位置では、余計な力みが入りやすくなりますので、肩関節がスムーズに動かず、肩関節を痛める原因ともなりますのでしっかり理解して下さい。
肩は落として開く
結論から言うと、肩関節は落として開くと確実に脱力状態となります。
反対に挙げて寄せると、肩関節の周りの筋肉は確実に力んでしまいます。
肩がすくむ、怒り肩など聞いた事があるかと思いますが、このような状態では上半身をスムーズに動かす事は不可能です。
一度、試しにやってみて下さい。肩を耳にくっつけるつもりで、肩を思いっきり上に上げてみましょう。その状態で腕を動かしてみて下さい。力が入りすぎて動きが硬くなるかと思います。
反対にストンと肩を下げた状態で、腕を動かしてみて下さい。力がほとんど入らずに動きが柔らかくなると思います。
本来、背中には少し丸みがあります。これは肋骨周り(胸郭)が、丸くなっている為です。また肩甲骨も外側に開いてついているからです。
立ち姿勢や座り姿勢で肩甲骨を寄せて、胸を張るのが良い姿勢であると勘違いされている方も非常に多いのですが、この時点で余計な力が入りますので、非常に疲れやすくなってしまいます。
肩甲骨が寄る事は悪い訳ではない
勘違いされる方が非常に多いので、念のためお伝えしておくと、肩甲骨が寄ってしまう事は、決して悪い訳ではありません。
ピッチングにしてもバッティングにしても、肩甲骨が寄る瞬間もあるからです。
例えば、ピッチングでは、投げる時に胸が張られ、肩甲骨が背骨のほうに寄ります。
また全力でボールを投げる瞬間と言うのは、三角筋を始め、上半身、下半身すべての筋肉に力が入ることになります。
これは自然に行われる事なので、肩甲骨が寄るのが良くないとか力んでしまうのが良くないとかそういう事では無いのでご理解下さい。
要は、力まなくていい場面で、力んでしまう事が問題なのです。
いざ、力むと言う場面までは、肩を落とし開くと言う意識が大切です。
まとめ
スキャプラプレーンとは、肩甲骨面という意味で、肩甲骨は約30°外側に傾いた場所に位置しています。
スキャプラプレーンより前側では脱力がしやすく、後ろ側では、余計な力みが入ります。
肩を落として開く事で脱力が可能となりますので、肩を上に上げた状態からストンと肩を落とし、力が抜けた感覚を実感して見ましょう。
次回は、じゃあいつまで脱力して、いつから力めば良いのかをお伝えしていきます。どうぞお楽しみに!