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ゼロから始める伊賀の米づくり60:田んぼの石拾いと、五感を使った土地とのつながり

2020年1月に父から事業承継した兼業米農家。

今年で父から継いで5回目となる稲刈りを終え、いよいよ2024年も終わりを迎えようとしています。

2024年12月の年の瀬。

本日は田んぼに出て、石拾いをすることにしました。

背負子に積んだコンテナと、我が家の田んぼ

1年のうち、4〜5回ほどトラクターに乗って田んぼに出るわけですが、その時にトラクターの背部の回転爪に石が当たった時に「ガン!」「ガラン!」と派手に音を立てることがあります。

爪やロータリーにもダメージが入るほか、稲の生育の邪魔にもなるため、極力、石は田んぼから取り除きたい。

そんなことを考えて一昨年あたりから石拾いを行なってきました。(具体的な準備などは以下の記事にまとめています)

一通り我が家の田んぼを歩いて回り、その時に見つけた石を随時、背中に背負ったコンテナに入れていきます。

本日の成果は、以下のような感じになりました。

コンテナの中を除いてみましょう

こうして見ると、やはり田んぼに捨てられていた空き缶も目立ちますが、それ以上に存在感のある大きさの石も目立ちます。

本日の田んぼの石拾いの成果

この中で一番大きい石はどれくらいのサイズになるのか、一度手に持って確かめてみます。

握り拳大の大きさを誇る石。これは大変

はい、これはまずいですね。

こんな石がゴロゴロ転がっていては、稲も根を張ることができません。

他にはどんなものが田んぼに落ちていたのかも見てみましょう。

作業用手袋の残骸ですね

土と半ば同化していた作業用手袋の残骸が見つかりました。

いつ、誰が落としたものだろう?

特に、田植え中になくしてしまうと、発見することが難しくなります。

さて、次はどんなものが田んぼに落ちていたでしょうか。

市販の空き缶。ゴミ箱まで持って帰りましょう

たまに落ちているのが、この空き缶。ペットボトルの場合もありますね。

どうしても目立つので、飲みかけた飲み物は最後まで持って帰っていただきたいですね。

さて、このように田んぼを歩いているとさまざまなものが落ちていることがわかりますが、落とし物以外にも見つかるものがあります。

田んぼにやってくる来客の痕跡です。

轍になってしまった鹿の足跡。途中で一本の道筋に合流しています

このあたり一体は鹿の通り道になっているらしく、我が家の田んぼにも鹿の通った後にできる足跡が道になった痕跡が見て取れます。

母によると、夜、仕事から帰る際に車で通りかかったりすると、田んぼに10数頭の鹿、その中には立派な角を持った牡鹿も見られたりする、とのこと。

鹿の通り道はこの1箇所だけではありません。

蛇行しながら続いている鹿の足跡

今年の稲刈りにも思いましたが、おそらくこのあたり一帯を訪れる鹿の数が増えています。

稲が実り始める7月〜8月にかけても変わらず同じ道を鹿が通る為、踏まれてしまった稲穂を見て残念に感じていたことが思い出されました。

鹿が普段生息している一帯のエサ不足か、はたまた開発によって居場所を追われたのか……。

その影響が田んぼに現れる足跡の増加といった形でも現れているように感じます。

さあ、気を取り直して作業を続けましょう。

石拾いをした後に今年最後の耕うんを済ませ、一段落です。

2024年、やりたかったことはこれでほぼやり終えることができました。

夕暮れ時の田んぼ

今回、改めて振り返ってみると、やはり直接現場に足を運んでみてわかることがたくさんあることに気づきました。

足裏に感じる渇いた土の堅い感触、鹿の足跡、トラクターの耕うん時にやってくるトビやセキレイのような鳥たちの生態などなど……。

こういったものを肌で感じる時間の大切さを改めて感じられたように思います。

今年2024年は、年間55万5600字に及ぶほど文章を書く仕事に明け暮れた一年でもあり、それらは思考や言語で処理する割合の大きな仕事でもありました。

一度、この「書く」営みを軌道に乗せるべく思考・言語に注力した一年でしたが、来年以降はこのバランスを見直し、体感や感覚を使う習慣も意識していきたいですね。


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大森 雄貴 / Yuki Omori
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