ソース原理におけるソースの継承とは?トム・ニクソン氏をゲストに招き、実際に起きたケースを紐解いた講演会の記録
今回は、『すべては1人から始まる(原題:Work with Source)』の翻訳・監修のお一人である青野英明さん主催のイベントへ伺った際の話をもとにしたレポートです。
今回のイベントは、『すべては1人から始まる(原題:Work with Source)』著者のトム・ニクソン氏(Tom Nixon)が『ソースの継承』について語り、また、そのソースの継承についてC+F研究所のお二人に伺うなど、極めてハイコンテクスト(必要とする前提知識が多い)であったため、情報を補足する中でだいぶ分量が多くなってしまいました。
多分に私自身の見方・レンズが入っていることに加え、参照文献も非常に多いまとめですが、これを読む皆さんのソース原理探求のきっかけの1つとなれば幸いです。
なお、今回の講演会の本編はYouTube上に公開されていますので、よろしければそちらも合わせてご覧ください。
ソース原理(Source Principle)とは?
『ソース原理(Source Principle)』とは、イギリス人経営コンサルタント、コーチであるピーター・カーニック氏(Peter Koenig)によって提唱された、人の創造性の源泉、創造性の源泉に伴う権威と影響力、創造的なコラボレーションに関する洞察を体系化した知見です。
不動産業界で成功したビジネスマンとしてキャリアを進んでいたピーター・カーニック氏は、クライアントたちとの交渉の中で相手側が不合理な判断・意思決定を行う場面を目にしてきたといいます。
このことをさらに突き詰めていくと、『お金と人の関係』がビジネスにおける成功、人生の充実に大きく影響していることに気づき、ピーターによる『お金と人の関係』の調査が始まりました。
その後、お金に対する価値観・投影ついて診断・介入できるシステムであるマネーワーク('moneywork')が体系化され、その過程でソースワーク(Source Work)が副産物的に生まれてきたとのことです。
マネーワーク('moneywork')は自身の内面を扱うインナーワークに比重が置かれており、ソースワーク(Source Work)はアイデアを実現するためのアウターワークに比重が置かれていると言います。
ピーターの「人とお金の関係」の研究及びマネーワークについては、以下のインタビュー記事もご覧ください。
ソース原理(Source Principle)の広がり
日本においてのソース(source)の概念の広がりは、『ティール組織(Reinventing Otganizations)』著者のフレデリック・ラルー氏(Frederic Laloux)によって初めて組織、経営、リーダーシップの分野で紹介されたことが契機となっています。
2019年の来日時、『ティール組織』著者フレデリック・ラルー氏によって組織、経営、リーダーシップの分野で紹介されたことが契機となって初めて知られることとなったソース原理(Source Principle)。
フレデリック・ラルー氏もまた、ピーター・カーニック氏との出会い、学びを通じて、2016年出版のイラスト解説版『Reinventing Organizations』の注釈部分で記載している他、『新しい組織におけるリーダーの役割』と題した動画内で、このソース原理(Source Principle)について言及したということもあり、国内で注目が集まりつつありました。
その注目度の高さは、本邦初のソース原理に関する書籍の出版前、昨年8月にトム・ニクソン氏の来日が実現する、といったことからも見てとれます。(オンラインでのウェビナーの他、北海道・美瑛町、東京、京都、三重、屋久島など全国各地でトムを招いての催しが開催されました)
2022年10月、ピーター・カーニック氏に学んだトム・ニクソン氏による『すべては1人から始まる―ビッグアイデアに向かって人と組織が動き出す「ソース原理」の力』が出版されて以降も、ソース原理(Source Principle)に関連したさまざまな取り組みが国内で展開されています。
今年4月にはソース原理提唱者であるピーター・カーニック氏の来日企画が実現し、システム思考・学習する組織の第一人者である小田理一郎さんや、インテグラル理論・成人発達理論の研究者である鈴木規夫さんとの対談、企画の参加者との交流が活発に行われました。
日本での流れに先立ち、ソース原理(Source Principle)が世界で初めて書籍化されたのは、2019年にステファン・メルケルバッハ(Stefan Merckelbach)『A little red book about source』のフランス語版が出版された時でした。
その後、この『A little red book about source』は2020年に英訳出版され、2021年3月に『すべては1人から始まる』の原著であるトム・ニクソン著『Work with Source』が出版され、本書が『すべては1人から始まる』として日本語訳され、英治出版から出版されました。
『すべては1人から始まる』は日本の人事部「HRアワード2023」の入賞も果たし、ビジネスの領域においての注目も高まっていることが見て取れます。
このような背景と経緯の中、ソース原理(Source Principle)の知見は少しずつ世の中に広まりつつあります。
ソース(Source)とは?
トム・ニクソン『Work with Source(邦題:すべては1人から始まる)』を参照すると、ソース(Source)とは、あるアイデアを実現するために、最初の個人がリスクを取り、最初の無防備な一歩を踏み出したときに自然に生まれる役割を意味しています。
また、本書中の用語解説では、『脆弱なリスクを取って、ビジョンの実現に向けて自らを投資することで、率先して行動する個人のこと』と説明されています。
ステファン・メルケルバッハ氏の書籍においては、この役割を担うことになった人について、特に「ソース・パーソン(source person)」と呼んでいます。
トム、ステファンの両者に共通しているのは、ソース(Source)は特別な人だけがなれる役割ではなく、誰もがソース(Source)である、というものです。
アイデアを実現するために一歩踏み出すことは、社会を変えるような大きなプロジェクトの立ち上げに限りません。
自身の研究課題を決めること、就職を思い立つこと、ランチを作ること、休暇の予定を立てること、パートナーシップを築いていくこと等、日常生活の様々な場で誰しもが何かのソース(Source)として生きていることを両者は強調しています。
ソース(Source)とクリエイティブ・フィールド(creative field)
ソース原理(Source Principle)のレンズで会社組織を眺めた場合、会社組織もまた、ソース(Source)である個人が、アイデアを実現するためにリスクを取って一歩を踏み出して始めた「イニシアティブ(initiative)」の一つの形と考えられます。
また、アイデアの実現に関しては、組織のより深い側面 、つまり、ビジョンを実現するための基本的なプロセスを推進する基盤となる層を見ることができます。ソース原理(Source Principle)ではこれを「クリエイティブ ・フィールド(creative field)」と呼んでいます。
「クリエイティブ・フィールド(creative field)」とは、『ビジョンを実現するために必要な人やその他のリソースを引き寄せ 、努力を束ねることで一貫性を生み出す魅力的なフィールドのことを指し、ソース(Source)がイニシアティブ(initiative)を取ることで確立されるものです』
すべての組織およびイニシアティブ(initiative)の根底には、「クリエイティブ・フィールド(creative field)」が存在し、「クリエイティブ・フィールド(creative field)」はビジョンを実現するために必要な人材やリソースを引き寄せ、努力を束ねて一貫性を生み出す重力場と、ビジョンの実現に向けて人々が一緒に行動できる草原のような物理的な空間の両方の性質が備わっています。
ソース(Source)の継承(succession)
「すべては一人から始まる(Work with Source)」の中で、トムはクリエイティブ・フィールド(creative field)にライフサイクルが存在することと併せて、ソース(Source)の役割の継承(succession)というテーマを紹介しています。
このソースの継承について、トムは以下のように語っています。
『私は、ソースという役割が常に存在していることを理解してもらうよう勧めています。誰が最初にリスクを取ったかには注意を払わないことにしてもいいのですが、ソースの役割から得られる視点は、権力闘争、混乱、責任の欠如、長期にわたる創造的ビジョンの水増しなど、人間の努力に現れうる厄介な問題を新たに明確にしてくれるのです。』
『また、創業者が事業から離れたとき、その創業者がソース(Source)であるかどうかを知ることは非常に重要です。継承のプロセスに適切な配慮がなされないまま創業者が去った場合、イニシアティブは予測可能な方法で崩壊する可能性があります。同様に、イニシアティブが何らかの形で統合される場合、ソース(Source)の役割に注意を払うことで、物事がスムーズに進み、イニシアティブが予測可能な別の一連の問題を回避するのに役立ちます。』
私自身のソースの継承について
ソースの継承に関しては、昨年、私の地元にトムがパートナーや仲間たちとやってきた時に、私のストーリーをシェアしたことがありました。
私が父から継いだものは、家や田んぼといった自然、それらに囲まれるように建っている地域のコミュニティとしての我が家のソースだったかと思います。
話のきっかけはトムからの、『ソースの継承を感じる瞬間はあったのかな?それは一瞬だったかもしれないけど、どんな瞬間だったんだろう?』という問いでした。
現在、私は地元・三重県伊賀市の米農家と組織支援を兼業しながら、二拠点生活を営んでいます。
田舎の長男として生まれたものの地元を離れて仕事をしていたわけですが、父が病気を患ったことで彼が愛着を持っていた田んぼでの作業が難しくなってしまいました。
父が亡くなる2週間ほど前、私は父と二人で話す機会を持つことができました。そして、家や田んぼを継いでいくことを彼に伝えたのです。父に面と向かって何かを宣言することや、そもそも家族として過ごしてきてこれほど率直に互いの考えを交わし合ったことも初めてのことでした。
その際、父は『大変やぞ?できるんか?』とからかうような調子だったのですが、その後私は父の友人たちに指導されながら田んぼを耕し、母がその様子を写真で父に伝えるなどしていました。
ある日の病院からの帰り道、母が私に父のことを伝えてきました。
『田んぼの写真を見せるとじ〜っと眺めていてね。それで、ふと涙が出てきたのよお父さん。嬉しかったんじゃないかな』
結果的に、父が亡くなる2週間前が、最も親子の対話をできた時間となり、母が伝えてくれたことも含めて忘れられない出来事となりました。
継いでいくという宣言の後、病室に通うたびに父はせっせと手書きの地図や機械の操作の仕方を伝えようとしてくれ、今思うと継承が始まっていたように感じます。
地元に向き合うためにそれまでの仕事を手放したことをはじめ、多くのリスクや未知への恐れもありましたが、私自身、父が愛していたように土地や田んぼ、家、集落の景色に愛着があり、守っていきたいと感じていました。
彼がやったままをそのままの形で実践するのは難しいかも知れませんが、受け継いだ私なりに、父が大切にしたかった営みや景色を守ろうと試行錯誤を続けつつ、現在は4年目の収穫に向けて取り組んでいます。
このようなことを、トムに伝えることができました。
『そうなんだね。ソースの継承において、最も深い部分、価値観(value)のレベルで継承が行われたように聞こえたよ。聞かせてくれてありがとう。』
トムのそんなふうにかけてくれた言葉が、今も忘れられません。
C+F研究所とは?
今回のトークイベントには、現在のC+F研究所代表であるティム・マクリーンさんと高岡よし子さんのお二人がいらっしゃりました。
当日のイベントの後半ではC+Fのソース継承に関してお二人にお話ししていただくのを、トムの視点から質問や解説を投げかけながら進行されました。
そもそも、C+F研究所とはどういった団体なのか?については、HPの記述を引きたいと思います。
C+Fの歴史と当時の社会背景
C+Fの歴史およびソースの継承には、吉福伸逸さんの存在が欠かせません。吉福伸逸さんは、1980年代に日本に「ニューサイエンス」や「トランスパーソナル心理学」などの世界を精力的に紹介した中心人物として知られています。
以下、当時の社会背景と吉福さんの歩みについて概観していきたいと思います。
ジャズを志していた吉福さんは、1963年にボストンのバークリー音楽院に留学し、その後数年間、音楽家として活動した末に挫折を経験。南米を経て、アメリカのカリフォルニアに渡りました。
1970年代のアメリカ・西海岸ではヒッピー・ムーヴメントやサイケデリック、東洋思想、老荘思想といった精神世界に関する探求が流行しており、吉福さんはその中でサンスクリットや東洋思想を学ぶと同時に、70年前後のアメリカのさまざまなワークショップやセラピーの最前線を体験した後に1974年に日本に帰国されました。
C+F研究所の前身であるC+Fコミュニケーションズが吉福さんらによって立ち上げられた1970年代〜1980年代は、日本社会は経済成長を体験しており、精神的な充足・成長といったものよりも物質的な豊かさに重点が置かれてる時代でした。
そのような環境下で吉福さんはじめC+Fの仲間たちは「ニューエイジ」、「ニューサイエンス」の世界を日本に紹介すると同時に、当時としては数少ない体験や実践、ワークショップを行う場を提供していました。
当時、吉福さんの活動に影響を受けた若者の一人として、「ワークショップ」や「ファシリテーション」の概念・実践を広く日本に紹介された第一人者の中野民夫さんがいますが、彼も以下のように振り返っています。
「ニューエイジ」と呼ばれるものは、人間の潜在能力の可能性や霊性・精神性の探求、宇宙・自然・生命などの大いなるものとのつながりを大切にし、ホリスティックまたは、環境保護的であることといったことが追求される思想・実践です。
「ニューサイエンス」と呼ばれるものは、20世紀初頭の量子力学の発展を契機として、ルネ・デカルトおよびアイザック・ニュートンが17世紀以降に作り上げた要素還元主義に則った古典物理学に変わる新たな物理法則の相次ぐ発見と、それに伴う物事の捉え方のパラダイムチェンジをもたらした科学技術の分野の新領域であり、その総称と呼べるものです。
「ニューサイエンス」の発展に伴い、デカルト、ニュートンによって形作られた機械論的世界観から包括的・生命体的世界観へのシフトが全世界的に広がりつつあり、吉福さんらC+Fの仲間たちはその全体像について紹介する『パラダイム・ブック』の出版などを精力的に手掛けていくこととなりました。
なお、この頃に現在のC+F代表であるティムさんと高岡さんも、当時はイベント参加者や学生スタッフとしてC+Fに関わるようになっていたとのことです。
その後、C+Fは特に「トランスパーソナル心理学」と呼ばれる心理学の新領域に焦点を絞り、「トランスパーソナル心理学」を日本に紹介し、根付かせることに注力していくこととなりました。
短期間、集中的な出版事業を基軸としたムーブメント作りを手がけたことで、「トランスパーソナル心理学」は経済界、産業界、また心理学や社会的な文化情勢にも影響を与えることとなりました。
この一連のムーブメントに関する書籍は、以下もご覧ください。
C+F研究所におけるソースの継承
吉福さんのハワイ移住
しかし、上記のような取り組みを続けてきた吉福さんはある日、すべてを手放してハワイへ行くと決心します。
これに伴いC+Fコミュニケーションズは、1987年にC+F研究所として再出発を行うこととなりました。
1989年のハワイ移住後も、吉福さんはスタニスラフ・グロフの開発したホロトロピック・ブリージング(呼吸法)のワークショップを日本に招聘されて実施するなどもしていましたが、徐々にご本人独自の変容を促すワークショップも実施されるようになったとのことです。
この、吉福さんのハワイ移住は現在の代表のお二人にとって、とても大きな出来事であったそうです。
C+Fコミュニケーションズの他の誰かが、この場を継いでいくのではないか?と考えていたものの、一向に誰も手を挙げません。
三日間悩みに悩んだ挙句、お二人が継ぐことを決心したとのことでした。
C+Fのソースを継ぐ決め手となったもの
ゲストとしていらっしゃった高岡さんご自身も、自分がソース原理を知るまではC+Fの何かしらのソースである、と考えたことはなかったと言います。
しかし、当時のことを振り返る中で『吉福さんが去られた後、個人・組織についての探求の場がなくなってしまうのはもったいない!この場を守りたい』というその想いが強くあり、それが継ぐことに繋がった、というお話でした。
また、吉福さんはただ海外から新しい知見を輸入しようとしていたのではなく、海外で触れた東洋思想をはじめとする実践から、日本が世界に対して投げかけられるメッセージや可能性についても大切にされていた、とのことでした。
こういった経緯からはじめの内は吉福さんのカラーを大事にし、そのDNAを遺そうと取り組まれていたそうですが、ある時吉福さんご自身から「自分の存在は忘れてもらっていい」と言葉をかけられたことが転換点だったと高岡さんはお話しされています。
C+Fのソースはどのように継がれたのか?
吉福さんが立ち上げたC+Fというイニシアティブのソースをどのように継いだのか?については、ティムさん、高岡さんは以下のようにお話しされました。
曰く、吉福さんのソースのすべてを継げたとは思っていない。自分たちとしては探求の場を守りたい、という想いが強かった。また、継ぐ際にティムさんはコンテンツに関する理解と実践に造詣が深く、高岡さんご自身はプロデュースや場をホールドすることに関して強みがあり、継いだ後も役割分担を行なってきた、とのことでした。
また、特にティムさんのお話しで印象的なエピソードがありました。
ある日、ホロトロピック・セラピーのワークショップを行うとなった際に、吉福さんの弟子的な立ち位置としてティムさんはサポートに回っていたそうですが、後のプログラムの実施について一晩中、吉福さんと討論する機会があったそうです。
そして夜が明けてきた頃に「よしわかった!」といった調子で吉福さんは、後のプログラム進行をティムさんに任せた、というのです。
この夜通しの対話の様子をティムさんは「吉福さんは私に、実存的に向き合ってこられていた」と表現されていたのが印象的でした。
トムからのソース継承に関するフィードバック
以上のようなお話を聞く中で、トムの視点からソースの継承に関してフィードバックがありました。おおよそ、以下のような内容が語られていたように思います。
以上で今回のイベントのまとめは一区切りとなりますが、私自身のソースの継承の話など含めて新たに振り返ることができ、とても貴重な機会となりました。
また、久しぶりにトムとも再会することができ、彼のエネルギーを感じられたこともありがたい機会でした。
今回、熱い思いを以て今回の場を準備してくださった青野さんにも感謝したいです。
ソース原理の関係者一覧(抜粋)
2022年10月の『すべては1人から始まる』出版をきっかけに、ソース原理(Source Principle)の海外の実践者と日本の実践者が交流する機会が増えました。
2023年7月現在でも、『すべては1人から始まる』著者であるトム・ニクソン、ソース原理(Source Principle)提唱者ピーター・カーニック氏の2名以外にもさまざまな実践者との企画が実施され、また、日本語による情報発信が行われてきました。
そこで一度、2023年7月現在で確認できる、ソース原理(Source Principle)の関係者を以下に簡単に整理したいと思います。
ピーター・カーニック氏(Peter Koenig)
ピーター・カーニック氏は、先述の通りソース原理(Source Principle)の提唱者です。
人が無意識にお金に投影している意識の研究と、お金に投影している意識を自らに取り戻す方法・システムである『マネーワーク(moneywork)』を開発され、そのプロセスの中でソース原理(Source Principle)、ソースワーク(source work)が生まれました。
Forbes Japan2023年8月号にはピーターのインタビューが掲載されており、「お金と人の関係」の研究およびマネーワーク開発の経緯についても述べられています。
今年2023年4月には、お金に関する研究をまとめた著書『30 Lies About Money』のプレ出版企画(4/5、4/7〜9)が開催され、その際に初来日となりました。
プログラムは数日にわたって開催されましたが、その一部をまとめておりますので、よろしければ参考までにご覧ください。
また、ピーターには世界に何人ものサブソース、スペシフィックソースが存在します。
ソース原理においては、ソースが活動を始めると、サブソース(sub source)またはスペシフィック・ソース(specific source)という役割を担う人が現れます。
サブソース(sub source)またはスペシフィック・ソース(specific source)とは、あるソースのビジョンや価値観に共鳴し、あるソースの活動の特定の部分において、ソースへの深いリスペクトをしつつ、創造的に取り組むようになったパートナーと言える存在です。
サブソースまたはスペシフィック・ソースは、イニシアチブの大元であるグローバルソースによる指名、もしくは立候補のどちらでも生まれうるものであり、その質感は伝播(Transmitting)するものと言います。
以下に紹介する4人は、ピーターのイニシアチブにおいてサブソースとして活動を共にしているパートナーたちです。
トム・ニクソン氏(Tom Nixon)
トム・ニクソン氏は、『すべては1人から始まる(原題:Work with Source)』の著者です。
2022年10月の邦訳出版に先立って8月に来日し、プレ出版企画として日本を縦断していました。(8/8〜10、8/11、8/17、8/18、8/22〜25)
また、来日後は次世代型組織の実践に関する国際カンファレンス・ネットワークである『Teal Around The World2023』にて登壇した他、
Forbes Japanの2023年5月号にて、令三社代表の山田裕嗣さんとのソース原理に関する対談が掲載されています。
アレクサンダー・インチボルト氏(Alexander Inchbald)
アレクサンダー・インチボルト氏は、ソース原理(Source Principle)を自身の活動の中に取り入れながら活動しているエクストリーム・アーティストであり、創造と革新を専門としたリーダーシップコーチである人物です。
アレクサンダーもまた、ピーターの人生の目的である活動Create love in business等においては彼のサブソース(sub source/specific source)として活動する傍ら、アレクサンダー自身が立ち上げたイニシアティブである #Masterpieceにおいては、ピーターが逆に彼のサブソースとなる形で共同し、コラボレーションしています。
2020年以降、アレクサンダーはオンラインまたはリアルで日本と縁を持つようになり、一度は富士山の絵を描いたこともあるとのことです。
今年2023年3月には、彼の提唱する #Masterpiece について学ぶ招聘企画が『すべては1人から始まる』翻訳・監修のお一人である青野英明さん主催で実施されました。
さらに、2023年6月には日本人の実践者を対象にギリシャでJ.Creationというプログラムが開催されました。
このプログラムには、ピーター・カーニック氏だけではなく、日本からも吉原史郎さん、嘉村賢州さんが、コーチとして参加されていました。
ステファン・メルケルバッハ氏(Stefan Merckelbach)
『A little red book about source』の著者であるステファン・メルケルバッハ氏は、スイスに拠点を置くオーディナータ社(Ordinata)を2001年に起業したソース原理(Source Principle)の実践者です。
オランダに生まれ、スイスのフリブールで育ったステファンはフリブール大学、ジュネーブ大学で哲学を研究しており、このことは現在の彼の肩書きである「哲学する経営者(philosopher-manager)」にも通じています。
現在、ステファンはコーチング、コンサルティングを行うオーディナータ社(Ordinata)において、ソシオクラシー(Sociocracy)をルーツに持つ組織運営体系『参加型ダイナミックス(participatory dynamics)』の提供を企業やチームに行うとともに、トム・ニクソン氏の立ち上げた情報ポータルサイトworkwithsource.comにも名前を連ねています。
また、上記の活動に並行して小学校の設立に携わり、校長としても活動していた教育者としての顔も持っています。
ステファンがソース原理、ピーター・カーニック氏に初めて出会ったのは、2013年のことでした。
"The Source Person" training dayと題されたその日のトレーニングでの出会いをきっかけに、自社の提供する企業を対象としたトレーニングやプログラムにおいてソースの概念は欠かせないものになったと、ステファンは書籍の中で述べています。
ナジェシュダ・タランチェフスキ氏(Nadjeschda Taranczewski)
ナーディア(Nadja)ことナジェシュダ・タランチェフスキ氏(Nadjeschda Taranczewski)は、心理学修士号、国際コーチ連盟(ICF)のマスター認定コーチ資格を持つ、『Conscious You: Become The Hero of Your Own Story』の著者です。
また、自身の組織であるConsciousUにて、パートナーであるオルガ・タランチェフスキ氏(Olga Taranczewski)らと共に世界中のCEO、創業者、コーチ、ファシリテーターをサポートし、組織やコミュニティにConscious Tribe(コンシャス・トライブ)を広げる活動に取り組んでいます。
ソース原理(Source Principle)に関連しては、2014年にピーター・カーニック氏の提唱した概念を初めて論文(Whose Idea Was it Anyway? The Role of Source in Organizations)で紹介した人物でもあります。
ConsciousUのYouTubeでは、ナーディアとピーターによるお金に関する対話の動画がYouTube上でも公開されており、以下のようなテーマも対話の中で扱われています。
また、2024年3月〜4月にかけてナーディアの来日企画が開催され、彼女の著書である『Conscious You: Become The Hero of Your Own Story』及びマネーワークの知見が紹介されました。
参考リンク
変革はたった「ひとり」から始まる――「ソース原理」が後継者不足に悩む日本にもたらすものとは?
マネー現代に掲載された『Source Principle(ソース・プリンシプル / ソース原理)』に関する記事です。
英治出版:すべては1人から始まる-ビッグアイデアに向かって人と組織が動き出す「ソース原理」の力
『すべては1人から始まる』の出版社である英治出版のページです。アクティブ・ブック・ダイアローグ®︎(ABD)という読書会用のゲラ提供リンクも掲載されています。
「ソース原理」は、組織の主語を個人に移し、ビジョンの実現に近づくレンズ。
『すべては1人から始まる』の翻訳・監修を行った令三社・山田裕嗣さん、青野英明さん、嘉村賢州さんへのソース原理に関するインタビュー記事です。
ソースプリンシプル(ソース原理)まとめページ【決定版】
JUNKANグローバル探究コミュニティ・吉原史郎さんによる、トム・ニクソン、ピーター・カーニック両氏へのインタビューを行った内容を記事化したまとめページです。
提唱者が語る! 人間らしい自然なビジョンの創作を可能にする「ソースプリンシプル」&「マネーワーク」
上記のピーター・カーニック氏の来日企画を開催したJUNKANグローバル探究コミュニティの吉原史郎さん・小野義直さんによる連載記事です。