見出し画像

【書評掲載】池田めぐみ、安斎勇樹『チームレジリエンス―困難と不確実性に強いチームのつくり方』:人と組織の力を高める人材開発情報誌『企業と人材』第1139号

今年度4月より、産労総合研究所が発行している専門誌『企業と人材』の書評コーナーの連載を担当することとなりました。

人と組織の力を高める人材開発情報誌』である本誌ですが、『人を活かす組織づくりのヒント』と題して毎月、関連する書籍を紹介しております。

書評コーナー『人を活かす組織づくりのヒント』

人を活かす組織づくりのヒント』を提供する書籍として今回、取り上げたのは池田めぐみ、安斎勇樹著『チームレジリエンス―困難と不確実性に強いチームのつくり方』(日本能率協会マネジメントセンター)です。

安斎勇樹さん(株式会社MIMIGURI代表取締役 Co-CEO)と池田めぐみさん(筑波大学ビジネスサイエンス系 助教)が50本を超える海外の研究論文を下敷きにしつつ、誰にでも実践可能な形でレジリエントなチームづくりについて説いた本書を、連載第6回目に紹介させていただきました。

『企業と人材』と『チームレジリエンス』

企業と人材』は毎月5日に発行予定ですので、書評コーナー以外もぜひ手に取ってご覧ください。

以下、今回取り上げた『チームレジリエンス』の書評記事を読み進める上での補足情報を紹介できればと思います。


『チームレジリエンス』とは?

レジリエンス(resilience)とは?

レジリエンス(resilience)」という用語は「回復力」「復元力」「弾性」などと訳され、生態学、物理学、経済学、社会学、心理学など様々な領域で扱われる概念です。

2013年出版の書籍『レジリエンス 復活力―あらゆるシステムの破綻と回復を分けるものは何か』(ダイヤモンド社)では、「レジリエンス」について以下のような表現がされています。

本書では全体を通して、システムと人の双方に関するレジリエンスを検証していきたい。そこで、生態学と社会学の分野から表現を借用し、レジリエンスを「システム、企業、個人が極度の状況変化に直面した時、基本的な目的と健全性を維持する能力」と定義する。

『レジリエンス 復活力―あらゆるシステムの破綻と回復を分けるものは何か』p10

レジリエンス(resilience)と聞いても、日本ではまだあまり馴染みがないかもしれないが、欧米では近年、大きな注目を集めている概念である。レジリエンスの辞書的な意味は基本的に二つ、「外部から力をかけられた物質が元の状態に戻る力」と「人が困難から立ち直る力」とされている。

『レジリエンス 復活力―あらゆるシステムの破綻と回復を分けるものは何か』p377

著者のお二人である安斎勇樹さん池田めぐみさんは同じ大学院の先輩後輩に当たる関係であり、池田さんは2013年頃から個人のレジリエンスに関しての研究をスタートさせ、職場の若手世代のキャリアレジリエンス、そして、2021年頃からはチームレジリエンスへと研究テーマをシフトさせてきました。

上記のようにさまざまな分野で取り上げられる「レジリエンス」ですが、その中でも「チームレジリエンス」は2020年以降に発展してきた研究領域であるため、参照できる文献も少なく定義にばらつきがあり、お二人が今回の書籍にまとめ上げるにも時間を要した、とのことでした。

新刊『チームレジリエンス』に池田さんが込めた想いについてさらに詳しくは、以下の記事からもご覧いただけます。

チームレジリエンスとは?

チームレジリエンス―困難と不確実性に強いチームのつくり方』は、池田めぐみさん安斎勇樹さんが共著で執筆され、2024年5月に日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)から出版された書籍です。

『チームレジリエンス―困難と不確実性に強いチームのつくり方』

本書における「レジリエンス」「チームレジリエンス」は、それぞれ以下のように書籍内で定義されています。

本書におけるレジリエンス=危機的な「困難」に直面した際に、立ち直り、回復するための能力やプロセス

『チームレジリエンス―困難と不確実性に強いチームのつくり方』p53

チームレジリエンス=チームが「困難」から回復したり、成長したりするための能力やプロセス

『チームレジリエンス―困難と不確実性に強いチームのつくり方』p56

株式会社MIMIGURIリサーチャーでもある池田めぐみさんは、2021年頃から同社の運営する学習プラットフォームCULTIBASEなどでレジリエンスに関する記事の連載やイベントでの登壇をされていました。

また、出版前からもCULTIBASE主催でイベントが開催されており、その様子は以下の動画からご覧いただけます。

さらに、出版に先駆けて安斎さんによる『チームレジリエンス』序文が公開されており、以下の記事からご覧いただけます。

人材開発情報誌『企業と人材』とは?

『企業と人材』は、株式会社産労総合研究所が発行している『人と組織の力を高める人材開発情報誌』です。

『企業と人材』第1139号(2024年9月5日発行)

発行元である産労総合研究所は、1938年(昭和13年)に創設された労働問題の民間調査機関『産業労働調査所』を前身とする出版社・民間シンクタンクです。

企業と人材』は1968年(昭和43年)に『社内報新聞』として創刊され、その後『社員教育』、『企業と人材』へと改題を重ねながら、2013年2月に第1000号が発行されました。

産労総合研究所は企業と人材の他、賃金事情』『労働判例』『労務事情』『人事の地図といった人事労務分野だけではなく、病院経営羅針盤』『医事業務など医療介護経営分野における出版を中心に、同分野での調査研究・提言を行っています。

各誌の定期購読・試読・web見本誌の申し込み、見積書ダウンロード、バックナンバーの確認等は、各誌のリンク先のページをご覧ください。

さらなる探求のための参考リンク

チームレジリエンス3刷のお礼と「おわりに」の公開―Megumi IKEDA | 池田めぐみ

レポート:「超!出版記念イベント」 新時代のチームビルディング―チームレジリエンスを高める問いかけの作法

産労総合研究所【公式】|YouTube

人事メディア情報(企業と人材)|『日本の人事部』

書評掲載バックナンバー

エイミー・C・エドモンドソン『恐れのない組織』:人と組織の力を高める人材開発情報誌『企業と人材』第1134号

鈴木規夫『インテグラル・シンキング―統合的思考のためのフレームワーク』:人と組織の力を高める人材開発情報誌『企業と人材』第1135号

ブライアン・J・ロバートソン『[新訳]ホラクラシー―人と組織の創造性がめぐりだすチームデザイン』:人と組織の力を高める人材開発情報誌『企業と人材』第1136号

ウィリアム・ブリッジズ『トランジション マネジメント─組織の転機を活かすために』:人と組織の力を高める人材開発情報誌『企業と人材』第1138号

中田豊一『対話型ファシリテーションの手ほどき』:人と組織の力を高める人材開発情報誌『企業と人材』第1138号


いいなと思ったら応援しよう!

大森 雄貴 / Yuki Omori
サポート、コメント、リアクションその他様々な形の応援は、次の世代に豊かな生態系とコミュニティを遺す種々の活動に役立てていきたいと思います🌱