短編小説「消えないもの」
静かな教室に、国語の教科書を音読する声が染み渡っていた。
私は教科書なんて引き出しの奥に仕舞い込み、夢中でノートに絵を描いていた。小さい頃から絵を描くのが好きで、退屈な授業の時はいつも絵を描いてやり過ごした。でも、その日はどうしても自分の納得いく絵が描けなくて、何度も何度も消しゴムを擦り付けては自分の描いた絵を消していた。
気付けば私の机の両端には消しかすが山の様に積み上がり、すっかり周りの様子が見えなくなっていた。ふと何かの拍子で大量の消しかすが机の下に零れ落ち、「掃