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短編小説集

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短編小説をまとめています。
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#小学生

短編小説「線路の上」

 ——あなたは信じないかもしれないわね、こんな話。  私が祖母の部屋を訪れたのは、穏やか…

湯川 葉介
3年前
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短編小説「雲の羊の大移動」

 その日、国中で白い羊の群れが空を駆けていく現象が確認された。  天空に響き渡る「メー」…

湯川 葉介
3年前
53

短編小説「巡る観覧車」

 記憶を遡っていって最後に突き当たる行き止まりで、私はいつも祖母に出会う。  近所の小さ…

湯川 葉介
3年前
57

短編小説「ボクノカプセル」

 珍しく温かい一月の陽光にウトウトしていると、僕の左胸辺りでざっくざっくと土を掘る音が聞…

湯川 葉介
3年前
44

短編小説「海辺の番人」

 その日は空に厚い雲が垂れ込め、真夏の八月にしては珍しく薄暗い、妙に肌寒い日だった。夏休…

湯川 葉介
3年前
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短編小説「流れ星の願い」

 虹色の若草が果てしなく広がる草原で、星々の母は、微笑みを浮かべつつ遠く美しい空を見上げ…

湯川 葉介
3年前
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短編小説「消えないもの」

 静かな教室に、国語の教科書を音読する声が染み渡っていた。  私は教科書なんて引き出しの奥に仕舞い込み、夢中でノートに絵を描いていた。小さい頃から絵を描くのが好きで、退屈な授業の時はいつも絵を描いてやり過ごした。でも、その日はどうしても自分の納得いく絵が描けなくて、何度も何度も消しゴムを擦り付けては自分の描いた絵を消していた。  気付けば私の机の両端には消しかすが山の様に積み上がり、すっかり周りの様子が見えなくなっていた。ふと何かの拍子で大量の消しかすが机の下に零れ落ち、「掃