春の嵐
本日は、全国的に激しい雨。
東日本や北日本の沿岸を中心に、非常に強い風が吹く見込み。
最大瞬間風速は25m /sを超える可能性もあるそうだ。
3月から5月にかけて、低気圧が急速に発達し、台風並みの暴風が発生することがある。
これを「春の嵐」と呼ぶ。
日本の北から入り込む冷たい空気と、南から流れ込む暖かい空気がぶつかりあい、上昇気流が生まれることで、温帯低気圧が急速に発達することによって起こるそうだ。(参考:政府広報オンライン 暮らしに役立つ情報)
まさに、今日は「春の嵐」。
例年より早く開花宣言をした桜が、散ってしまうのではないかと心配である。
花を散らす嵐。
そんな今日だから思い出した詩がある。
「勧酒」 于 武陵
勧 君 金 屈 卮
満 酌 不 須 辞
花 発 多 風 雨
人 生 足 別 離
于 武陵は唐時代の詩人である。
これを、「山椒魚」で有名な井伏鱒二は次のように訳した。
コノサカヅキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトヘモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ
井伏鱒二「厄除け詩集」(講談社文芸文庫)
「花発(ひら)けば、風雨多し」のところを、「花に嵐」と短く言い切るところに、風情を感じる。
どんなにきれいな花が咲いても、風雨で散ってしまう。
同じように、人はいつか必ず別れがくる。
だから今を大切にしたい。
そんな思いが込められているのではないだろうか。
春の嵐の日にはふとそんなことを思い出す。
※紹介した詩はこちらの本に載っています。
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