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夏の星座を通して見るフィレンツェの作品 6 ヘラクレス座

ヘラクレスの試練、続き

試練の一つに、エリマントという所の高地を荒らしていた凶暴な猪の捕獲が上げられます。仕えていたエウリュステウス王に命じられ、直にヘラクレスは旅路に出ます。

旅の途中彼は、ケンタウロスの友人フォロスに出会いました。フォロスは彼をもてなすために宴会を開くことにしますが、手元にあったお酒は酒神ディオニスからもらったものだけだったため、フォロスの一存では手を付けられませんでした。ヘラクレスはそんな事お構いなしに飲んでしまいます。匂いを嗅ぎつけたケンタウロス達は怒り狂い、ヘラクレスに襲いかかります。その際、ヒュドラを退治した時に抜き取った毒を塗った矢で向かい撃ちますが、多くの敵を裁くために毒矢を乱射したため、戦闘の師であるケロンと友人フォロスをも誤って手に掛けてしまいます。

引き続き、ヘラクレスは任務を果たすべくエリマントへ向かいます。

現地に着くなりお目当ての猪はすぐに見つかったものの、すばしっこく中々捕まりません。何日も掛けて追い詰め、永久凍土である山頂で弱らせてひっ捕らえ、ロープでがんじがらめにしてエウリュステウス王の元へ連れていきました。

ヴィンチェンツォ・デ・ロッシ 「エルマントの猪を捕えるヘラクレス」 1562-70年 ヴェッキオ宮殿、500人の間




なんと王はヘラクレスの脇に抱えられた猪を見て、恐怖のあまり酒樽の中に隠れてしまったそうです。

このエピソードはあまり知られていませんが、古代ギリシャや古代ローマの作品ではよく見かけます。フィレンツェには旧政庁、ヴェッキオ宮殿の500人の間に置かれていますので、いらっしゃる機会があったらご覧になってみてください。

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