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セルフ・コンパッションの重要性


生きていれば、誰だって不調な時がある。
いつもできていることができなくなるというのは、きっと誰しも経験があると思う。

そんな時に、自己批判の思考を繰り返していても、より辛くなるだけで、悩みはなかなか解決しないことが多い。


最近、「セルフ・コンパッション」について勉強している。

セルフ・コンパッションとは、自分の悪いところだけでなく、良いところにも気づき、受け入れることで、自分への温かく優しい感情を高めていくこと。                   引用:『甘やかしでも、うぬぼれでもない自己の姿 セルフ・コンパッション:最良の自分であり続ける方法』,関西学院大学教授 有光興起著,DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー論文(2019)



アメリカの心理学者クリスティーン・ネフ博士の定義によるとセルフコンパッションは、下記の図になるらしい。


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①自分への思いやり 自分自身への親切で温かい思いやりのこと。心臓に優しく手を当てる、どう感じているのか検証する、お茶を飲んだり音楽を聴いたり自分をいたわる行動。        ②共通性の認識  一人ではないことを認識する。他の多くの人たちも同様な状況で、同じように感じ、人生の試練に遭うのは自分だけではないと思い至ること。              ③マインドフルネス 今、この瞬間に何が起きているかを認識する。自分自身に優しくなるには、自分があがいている時に、そのあがきを認める。やりにくい状況で自分が感じている気持ちに名前をつけ、今ここで、と自分自身を地に着けることが役立つ。                 引用:『甘やかしでも、うぬぼれでもない自己の姿 セルフ・コンパッション:最良の自分であり続ける方法』,関西学院大学教授 有光興起著,DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー論文(2019)                                                                           


ネフ博士は、セルフ・コンパッションとは、困難に直面した時、自分自身の肯定的、否定的側面の両方を優しく理解し、受け入れ、その苦しみが人類に共通していることを認識し、感情のバランスを取れる特性と定義している。


よくこういう話をすると、「それって自分への甘やかしではないの?」と言う人がいるけれど、そうではない。セルフ・コンパッションは「自分はかわいそうだ!」と被害者意識になって落ち込むだけではなくて、「こんな失敗をしちゃったけど、こういうところは自分はできていたよね」というように、良い側面も悪い側面も同様に受け入れること。

この「良い面も悪い面も」というのがとても大切なんだと思う。

成功や失敗に一喜一憂することなく、困難に直面しても、自分の持続可能な範囲でパフォーマンスを行う。


言うのは簡単だけれど、実行するのがとても難しい。

ここからは、私がこの数年間セルフ・コンパッションを高めるために日々工夫していることを少しだけ共有できたら。あくまでもこれは私にあった形で、セルフ・コンパッションを高める方法を明記している論文もちゃんとあるので、興味がある方はぜひこちらをご覧下さい。色々な高め方がある中で、自分には何が合っているかを探すのも良いなと。


①出来事と解釈を分ける。

例えば、仕事でミスをして、上司に激しく叱責されたとする。その時、どんな解釈が思い浮かぶか。「自分は価値がない」と思い浮かぶ人もいれば、「この上司最低だな」と思う人もいる。大事なのは、何が事実で、何が自分の解釈なのかを冷静に見つめること。

事実:仕事でミスをして、上司に叱責される

解釈:自分には価値がない

ここでの解釈は自分の頭の中での出来事で、上司が叱責した=自分には価値がない、には本当は繋がらない。上司から「お前は価値がない」と言われたらそれは事実になるけれど、(本当に価値がないかどうかはもちろん別で、ここでは言われたという事実に着目)「価値がない」と思ったのは自分の頭の中であって、事実ではない。物事の多くの出来事は、自分の解釈によって自分を苦しめていることがほとんどだったりする。それに気づくだけで、自分の解釈を俯瞰して見ることができて、過剰な解釈を手放すきっかけになったりする。これは何年も訓練して、私も少しずつできるようになったこと。


②寝る前に「今日良かったことはなんだった?」と自分に問う。

布団に入ってから、できるだけ「今日の良かったこと」を思い出しながら寝るようにしている。

「お昼に食べたパスタがとっても美味しかった」

「クライアントさんとのmtgがすごく良い雰囲気だった」

「一緒に働いている仲間に優しい言葉をかけることができた」

良かったことは何か、と問えば脳は良かったことを探し出す。どんなに嫌な日でも、どんなに泣いていた日でも、何が良かった?と聞いてあげることで脳はちゃんと「良かったこと」を探そうとする。

1日の締め括りを「良かったこと」で終わるようにしている。


③ないものではなく、あるものを数える。

余裕がなかったり、しんどい時こそ、「ないもの」に目がいくようになる。例えば、誰かのできていないところだったり、自分のできていないところだったり。人に対して「あれしてくれない」「これしてくれない」という不満と、リクエストが多くなる。そういう時こそ、自分の「あるもの」に目を向ける。

友達、仕事仲間、家族、仕事、ご飯、休める時間、動物、虫の声、心地よい風、あたたかい布団、ポカポカのお風呂。

自分の身の回りにあるものに何でも良いので目を向けてみる。そうすると、自分の周りには色々なものや人が存在することに気づく。人は一人では生きていけない。自分が本当に多くのものや人に支えてもらっているとの気づきが、安堵に繋がったりもする。


④3分間の瞑想をする。

これは、お風呂から上がって、布団に入る前。どんなに忙しい日でもできる限り毎日するようにしている。30分とかしちゃうと私は本当に寝てしまうので(笑)、3分。あぐらをかいて、背筋を伸ばして、目をつむって3分。何にも考えないように、考えが浮かんだら手放すを繰り返す。すごく心がざわざわしている日でも、瞑想をすると少し落ち着いたりする。短い瞑想、おすすめです。


⑤長い時間軸で物事を見る。

苦しいことや辛いことがあるとどうしてもそこに目が行きがち。私も遭遇しては「あわあわ」とパニックになることもしばしば。そういう時こそ、私は1年後もこのことについて考えているだろうか?とあえて長い時間軸を持ち出したりする。「今」しか見えていないと苦しくなってしまうけれど、長い目で見ると、きっとこの苦しみも忘れているんだろうな、とふと思えたりもする。ながーい目でとある物事を見つめることもおすすめです。


以上が、私がここ数年セルフコンパッションを高めるために実践していること。もちろん、上手くいかない日もあって、いつでも順調!という訳ではないけれど、20代前半に比べるとかなりストレスに対して自分でコントロールができるようになったなあと思う。

きっと大事なのは日々が上手くいくことよりも、上手くいかない日も「生きてりゃ、そんな日もあるよね」と自分にも他者にも言ってあげることなんだろうな。


今日が上手くいかなかった日だったとしても、ま、いっか。で。




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