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アニヴェルセル・ヴィクトリアケーキ
先週、史上まれにみるパドカレ大洪水の当日。運がいいんだか悪いんだかめでたく我が家は結婚記念日を迎えたわけですが。
当日もその翌日も北フランス全域は非常事態。外にも出られずOtto氏は戻ってこずで、何のやる気も失った私はひとりでラーメンや蕎麦などここぞとばかりにやけ食いしていた。
こういうときに故郷の味っていうのは、胃も心も安らぐものだということを知る。超絶インスタントだけど。ちょこちょこと買いだめておいた甲斐があったというものだ。
さて、長らくの大雨がようやく止んだ頃、打って変わってムクムクとやる気が出てきた私。なんちゃってハヤシライスを作るのと同時に、Otto氏たぶん翌日帰ってくるし、何か甘いモノも作っておこうかしらねという気になった。
「ま、いいや、これが私からの記念日サプライズプレゼントってことで!」
安上がりにすませようとする下心満載なことよ!ニタニタしながら、色々と思案する。
まずは材料を買いに行ける環境じゃないので、今家にあるものでなんとかするしかない。そうなると果物系一切NGでしょ?あー生クリームもないや。卵はトータル4つ残ってる。バターと粉はいつでもある。砂糖はいわんや。
そこでピンっと閃いたのが、府中のスイーツ・ジェントルマンが以前作っていたこちらのヴィクトリア・ケーキなるもの。
これシンプルな上においたんが絶賛しているから、たぶんうちのOtto氏にも刺さるに違いない。かれこれ3年以上?日々の食卓を遠隔エア覗きあってきたゆえの勘。このお二方、往々にして味覚が似ているのでね。
加えて、私が作るのにぴったりな理由がおいたんの記事には記されていた。
ちなみに、本場イギリスのヴィクトリアサンドイッチケーキは、ケーキ生地を2枚別々に焼いてサンドするのが正統派らしい。そっちの方がカリッとした表面の食感を倍楽しめるからだそうだ。
ほう・・・同時に2つ焼いて重ねるのが本場の作り方、とな。
うち、キッチン備え付けのオーブンが大きい上、私、18cmのスポンジ型、2つもってるんだよね。セルクル型も異常にある。証明は下記記事内にて。
「ヴィクトリアケーキ レシピ」で検索すると、「ふわふわ」とか「軽い」とかいうタイトルが上に出てくるけど、たぶんどっしりしてるほうがうちの人の好みだしなあ。それにやる気ない明けだからとにかくシンプルにできるやつがいいのよと探していたら、このレシピに辿り着いた。
イギリスバッキンガム宮殿のペストリーシェフ直伝、「英王室に伝わる『ヴィクトリア・スポンジケーキ』のレシピ」。
見た感じ、よさげな重厚感!これで作ってみよう。
そうそう、レシピの材料に「セルフライジング・フラワー(ふるいにかける)」とあるけれど、これは何モノ?おそらくセルフでライジングするフラワーなんだけど、調べてみたら、小麦粉にベーキングパウダー合わせて代用できるっぽい。150gに小さじ2でよさそう。
ってことで、材料準備。例の18cm型に小麦粉・グラニュー糖・バター・卵(それぞれ150g)・ベーキングパウダー(小さじ2)・バニラパウダー。
現在進行形・海馬萎縮症候群の我が脳にぴったりのシンプルな材料、もうこれだけで素晴らしいね。
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バターは、夕方何か作りたくなるだろうと踏んで朝から室温に戻しておいた。これぞ先見の明とはいえよう。
まずはオーブンを180度にセットして予熱しつつ、バターを型に塗ったくる(クッキングシートを切るのが面倒だった)
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次に生地の準備を。
バターと砂糖とバニラパウダーを合わせてよーーーく混ぜたところに、よーく泡立てた卵をちょっとずつ加えてよーーく混ぜる。
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最後に粉類を振るっていれてさくっと混ぜ込んだら生地の完成。
スポンジケーキは俺の犬用バースデーケーキによく採用しているけど、見るからに重厚感のある生地である。
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適当に2分割しながら型に入れて、表面をならしていく。粘度が高いからなかなか平らにするのも一苦労。
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よく熱した180度のオーブンで20分ちょい焼いたら綺麗な焼き色がついた。
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このまま一晩おいて、翌日。
なんか思ったより薄いんだけど?まあいいや。
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ここからモンタージュに入るわけだが、おいたんの記事を読んだときからずっと気になっていたのですよ。別焼き2枚合わせるときの下部分の向き、どうすんの・・・?ほら、表面が真っ平に仕上がるわけなんてないし。
お試し合体その1。上下同じ向きで合体させるパターン。
上のスポンジが若干不安定だけど、底面は安定しますな。
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お試し合体その2。下をひっくり返して合体させるパターン。
上下の接着面が平らなのでちゃんと上下密着しそう。底面がぐらつくに違いないと思っていたら、おや?そこまで不安定でもない。
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たぶん中に入れるものに厚みがあればパターン1のほうがいいんだろうけど、今日はノーバタークリームで行く予定なので、なんとなくパターン2を選択。
中に挟むものは、毎度お馴染みOtto氏の相棒、ヌテラ酷似食品ことヘーゼルナッツペースト。使いきりたいいちごジャムもあるので、どちらも使ってしまおう。
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ヌテラ&ジャム、ハーフ&ハーフでベタ塗り〜。
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境目を合わせるように注意しながら、こちらを合!体!
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表面のぼこぼこは、粉砂糖スノーで帳消し!
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おや、そういえば5回目の結婚アニヴェルセルなのだけど、ケーキデコ用のろうそくなんてなかったかしら?と2020年3月の写真にあたりを付けて確認してみたところ、ビンゴ。
俺の5歳バースデーで使ったやつがあった。今後のアニヴェルセルは俺の誕生日グッズを後追いすればいい説爆誕(笑)
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犬の誕生日にのっかったヒト用タルト・オ・シトロンざます
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ってことで、再利用。真ん中にぶっさしてみよう。
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お昼に到着したOtto氏。食べ終わってソファで寝転んでいるところに、実はサプライズあるんだけど!と言って出したら、興奮気味に早速食べたいというのでカッティング。
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これは予想通り、大ヒット。めっちゃうまい(フランス語)を連呼しながらあっという間に平らげていた。
そして案の定、2日後の朝には跡形もなくなっていた(私は一切れしか食べてない)。
これはシンプルイズベストの王道ケーキって感じだね。シンプルゆえアレンジ無限なのがいい。中に色々いれられるし、表面をデコってもいいしね。人が集まるときとか、ガレットデロワ的に中に何か入れてもおもしろそう。リピート確定レシピに入りましたよ。
そして何より、場所しかとらないダブった18cmの型を有効活用できるレシピが見つかったのがうれしいのだ、私は。
パリよりロンドンの方が近いフランスにいる我が家、海の向こうの島国に向かって、頭を垂れる。
「サンキュー・ユア・マジェスティ」👑
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