セールスフォース障害者差別訴訟事件の調査報道への問題意識の声
最近リンクトインでは、セールスフォース事件の調査報道にコメントが続々来るようになった。外資・国内IT・人材業界関係者が多く集い、特に外資系企業への転職に活用されるグローバルビジネスSNSで、ひとつの労働裁判に、経過中のうちから活発に意見交換が行われている。
市民は判決が出るまで発言を控え裁判所の判断を待つのではなく、経過中のうちからでも語るもの、という感覚を持っていただければ。そのためにも事実関係は可能な限りわかりやすく共有される必要がある。市民が語ることなくして、司法が人権の最後の砦としての機能を果たすことは期待できないのではないか。
また、現に被告会社が「係争事案につき」と対外的に説明せず採用活動を活発に行うなか、転職者に警鐘を鳴らす必要があるとみている。起きていたことを伝えるのに1年以上先の判決を待っていては次の問題を防ぐことはできない、と懸念してのことでもある。
こちらは、2022年4月の世界自閉症啓発デー・発達障害啓発週間に合わせて筆者が実施した、調査結果。
一方で、障害者雇用訴訟や、それに伴った調査報道やアンケート調査には、否定的な声もあふれている。
「障害者一方の権利ばかり主張して企業を攻撃している」
「障害者を雇うと負担が増えると思われている」
「法定雇用率が上がるなかレベルの低い障害者も採用されている」
「納付金を払っていることを批判すべきでない」
「企業は障害者をいつでも解雇・雇い止めできるようにすべき、でなければ企業が障害者を雇うのを控えるようになる」
企業の社会的責任の問題が山積みしている実態に目を背け、企業の利益のみが優先され守られるべきとする相も変わらぬ姿勢。またこれらは、障害者の権利否定、無自覚の差別や侮辱、生産性だけで人の存在価値を測る優生思想そのもので、数多くの人権侵害といえる深刻な事態につながっている、と考えるのはバイアスがかかった見方だろうか。
「障害者一方の権利ばかり主張して企業を攻撃している」とは、ファクトを積み上げていくジャーナリズムの視点からみれば実態は逆で、「企業一方の利益ばかり主張する企業人が障害者の権利を脅かしている疑惑があり、何が起きていたのか実態を明かそうとしている」。
日本のインターネット空間には、人権に関する発言をすることを、時と場合により過激な勢力であるかのような見方を強硬に主張する人がいる。
差別意識を醸成するのは、「語らないこと」と言われる。
障害者への差別・偏見について語ることを、「障害者の権利だけを一方的に主張する意図」とするいわれのない見方には、繰り返し反論し、丁寧な説明とともに正しい理解を求めていく考えである。
「偏った人」「過激な人」「面倒くさい人」と思われたり、色々と目を付けられて機会を失うのを気にして、思考停止したり、発言を控える人は多いと思われる。
個人個人も、何か発言したことで仮にそうした見方を投げかけられたとしても、「自身が未熟だった」と感じる必要は全くない、ということも付け加える。
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