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おな
2017年9月28日 08:01
「おいおい、別にいいだろう?お前だってどうせ彼女いないんだから」と何度かのやり取りをした後、業を煮やしたのか「あの、すみません。一緒に飲みませんか?」と気付けば将が声を掛けていた。女の子たちは一瞬怪訝な表情を浮かべ、同じタイミングで見合わせた。それからまた少しの間があって、二人は僕たち二人の顔を見定めているようだった。それからまた少しの間があり「ああ、いいですよ」と一人の女の子
2017年9月27日 08:01
2017年9月25日 08:01
「あの二人、なんだか深刻な雰囲気だよな」将(まさる)は他の席に座っていたカップルを見ながらそう言う。「そうか?和気あいあいと見えるけど」「ダメだな、啓介(けいすけ)は。あれはどう見ても喧嘩してるよ」将はそう言うが、僕にはそうは見えなかった。だってさっきから彼女も彼も柔らかな笑みを浮かべている。もし深刻な空気なら、もっと表情は固いはずだし、深刻そうな雰囲気を纏っていそうなものだが。
2017年9月20日 08:01
2017年9月18日 11:01
「あと一時間だね。始発まで」時計を見ると、四時を指していた。「あと一時間。長いですかね、この一時間」「早いよきっと。ここまであっという間だったんだから。……あ、そうそう一応言っとくけど、鳴沢がやってたあのゲームとか気にしなくていいからね。入りたくなかったら入らなくていいし、もしその気があるならいつでも待ってるから」「ありがとうございます。大丈夫ですよ、全然気にしてないんで」「そ
2017年9月14日 08:01
「私たちは結構真剣に人工知能の研究をしてる。もちろん今世の中に出ているものに比べたら遥かに及ばないけど、プロトタイプを作ったりもしてる。型をつくるのはそんなに大変じゃないんだけど、それにどんな情報を読ませるとか、どういった入力に対してどういった出力をするとか、そのアルゴリズムを作っていくのが大変なの。 ……だからなんていうか、私たちがやってることってざっくりと〝人工知能〟を理解しようとしているの
2017年9月13日 08:01
2017年9月11日 08:01
「ルールは簡単。この店に次に入ってくるのが男の人だったら俺の勝ち。女の人だったら美希ちゃんと奈々ちゃんの勝ち」「っていうか、仮にですよ。もし私たちがサークルに入りたかったとして、それで私たちが勝ったとしたら入れなくなるってことですか?」「ゲームだからな、そういうことになる」ゲーム、ゲーム、ってよく分からないけど、深夜のこの時間、私たちはそうでもしないと朝までの退屈な時間を過ごせなかった
2017年9月7日 08:01
私たち含め、残った四人で電車に乗り込んだ。「私の家があるから、ダウンしたらそこで寝たらいいよ」と言ってくれたのは、真野(まや)先輩だった。飲み会の時から浮ついた感じが一切せず、一歩引いたところから冷静に場所を眺めている感じでいた先輩は、こんな時でも冷静だった。「ああ、そうだな。じゃあとりあえず真野んちの最寄りまで行こう」渋谷から少し電車に揺られ、やがてその駅に着いた。空いている居
2017年9月6日 08:01
2017年9月4日 08:01
美希は別に人工知能などに興味はない。プログラミング言語だって書けないし、キーボードを打つ時、大体のキーを人差し指で押した。そんな人だ。なぜだか私はこの美希に好かれていた。よく分からない。 だって私たちは出会ってまだ一ヶ月ちょっとしか経ってないのに、その間のほとんどを私は美希と一緒に過ごしていた。というか、美希が常に私と一緒にいた。「急に東京に来て不安なんだよー」といつも言っている。ずっ