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【ビブリオバトル日本一がガチで30日間本紹介してみた】7日目『神様の裏の顔』
あなたにとって、お葬式とはどういう場所でしょうか?
人それぞれ様々な向き合い方がありますが、多くの人が故人との思い出をふりかえる大事な場ですよね。
でもみなさん、お葬式で思い出を安易に口に出すのはちょっと気をつけてください。こんな人だったなぁ、あんなことをしてくれたなぁとのんきに振り返っていたら、ミステリーが始まるかもしれません。
お通夜から始まるミステリー?
今回私が紹介するのは、藤崎翔作『神様の裏の顔』という本です。
さあ、もうお気付きかもしれませんがこの本の舞台はお通夜。教師、坪井誠造のお葬式です。参列した人は口々に言いました。
「坪井先生は本当に素晴らしい人だった」「あんなにいい先生はいなかった」ーーそう、坪井先生は誰からも愛され慕われてきた人格者。この本で言う神様でした。
しかし、参列者がそんな坪井先生を偲ぶ中、とんでもない疑惑が。
もしかして、坪井先生は凶悪な犯罪者だったのではないかーーと。
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『神様の裏の顔』:あらすじ
なぜこんなことになったのでしょう?ここに至った経緯を説明します。
お葬式に参列した人は、みんな口を揃えて、先生は良い人だったと言うのですが、もう1つ共通点がありました。
それは、先生との思い出には、必ず何かしらの事件が関わっていたこと。
その事件というのは様々です。盗聴や盗撮、ストーカーや交通事故、さらには殺人事件に至るまで。どれも犯人は捕まっていて、みんなその事件を気にしていなかったのですが・・・。
参列者たちが、一人また一人と思い出を振り返っていくうちに、事件と先生との間に隠しきれない繋がりがあることに気付いていくのです。
こうして偶然に偶然が重なり、坪井誠造は神様のような存在から一気に容疑者へと変わっていきます。
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これがすごい:作者は元お笑い芸人
さて、ここまでビブリオをしてきても、「いや自分はミステリーは嫌いなんだ」と言って読まない人もいらっしゃるかと思います。
ただ、ミステリー嫌いの方にこそ少しでいいからこの本を開いてみてほしいんです。
その理由の1つとして、この本がミステリーにしてはコメディ要素がかなり多いということ。ミステリーといえばあのピリピリしたシリアスな雰囲気が特徴で、それがどうにも苦手なんだという人が一定数いらっしゃると思います。
ただ、この本はミステリー小説でありながら、たびたび登場人物はボケを挟み、そして互いに激しくツッコミあうーーそんなコントのような掛け合いが何度も出てきます。
なぜそんなにコメディ要素が強いのでしょうか?
実はこの本の作者・藤崎翔さんは元お笑い芸人なんです。だから、ミステリーは固そうで苦手だなと感じている人にも、この本で面白ミステリーの世界に飛び込んでほしいなと思います。
コメディ要素がスパイスに
「ちょっと待った!自分はあのミステリーらしいシリアスな雰囲気でドキドキハラハラしたいんだ!」ーーそんな方もいるんじゃないでしょうか?
ご安心ください。
この本を読んでいただくと気づきますが、先程までコメディのような緩さだったのに、誰かの一言でいきなりシリアスな雰囲気に急変する、といった乱高下がいくつも存在します。
つまり、この本はコメディ要素があることで、むしろ更にミステリーのピリピリとした緊張感を際立たせ、ミステリーの醍醐味であるドキドキハラハラを一層引き立てているんです。
そんな工夫された場面展開なので、ミステリー好きな方もそうでない人もきっと楽しめる1冊になっています。
そして最後に。
この本は、タイトル通りの「坪井先生の裏の顔は犯罪者だった」なんてしょうもない結末にはなりません。
最後に明かされるもう1人の裏の顔。それを知った時、この本の全てがひっくり返ります。
おそらく史上初の、お葬式から始まるミステリー。
あなたも神様の裏の顔、覗いてみませんか?
『神様の裏の顔』藤崎翔
本の長さ:360ページ
出版社:KADOKAWA/角川書店
発売日:2014/9/26
ISBN-10:4041021294