こちら揚げられ待ちカキフライ
胃をやられた。
寒暖差で弱ってた体になんらかのトドメ要因が加わって、いまシンプルに食欲不振になってしまっている。例え油を飲んだって胃もたれなんかしないっしょ〜と自負するほど鋼の胃腸を持つ私にこの感覚はとても新鮮で、その話を友人にしたところ「少食体験…キッザニアだね!」と励まされて笑った。でもマジで胃の弱い友人とかにこの先今までよりも優しくなれそう。
そんなわけでウダウダゴロゴロしているのだが、ウダゴロ生活のお供は今年の冬の終わりにワゴンセールで買った500円のボアフリースだ。軽くてあったかくて、弱った体に心地よい。
しかし笑ってしまう。普段私はLサイズの服を着てるのに、このボアフリースときたらキッズ150サイズである。安いからって、入るからって、買ったそんな服に助けられてて、人生どこにエンジェルがいるかわかんねーなと思う次第だ。
そんなわけでみっちり身が詰まったボアの塊としてソファに寝転んでいるのだが、ふとそんな自分の姿は揚げられ待ちのカキフライみたいだなと思う。しんなりした生白い衣を纏って、くてん、とバットに寝転んでその時を待っているあの感じ。めちゃくちゃ1人でウケてしまって、でも1人でウケるには孤独すぎるので友人にその旨を話したところ「現代短歌の視点みたいでおしゃれだね」と言われてウケが増してよかった。
あぁ、確かに揚げ物、今じゃないけど元気になったらめっちゃ食べたいな。カキフライ。カキフライ食べたい。ガリンと揚がった衣の中のジューシーな味わいはいつ何度食べても心から美味しいと思う。ソースで食べるもタルタルソースで食べるも良いが、この揚げ物に関しては絶対にレモンを絞って頂きたい。レモン果汁の爽やかな香りと牡蠣独特の風味は奇跡の組み合わせだと思う。臭みを取る、とかでもないのだ。美味しくなる魔法という方が近い。ちょうど寒くなってきて、牡蠣のシーズンだな〜…。
でも私は実感している。こんな風に食べたいものを思いつく時、少しずつだが確実に快方に向かっているのだ。体だけじゃなく心の不調の時もそう。しゃあなしに空腹を満たすしかないところから、あれ食べたい、あれ美味しそう、と思い始められる時の喜び。その感覚に何度手を引いて掬い上げられてきたかなと思う。
回復した暁には、高温の油でシャクっと揚がったきつね色のカキフライのように元気でラブリーな感じになりたい。共食いだ!とか言いながらモリモリ食べて、元気な冬を歩くのだ。
待ってろよ、カキフライ!!!
カキフライ、大好き。
このnoteをお読みくださる皆さまも何卒ご自愛ください。