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🎭 美大や芸大、音大では"生き方"を学べない——その現実とは

どれだけ卓越した技術を身につけても、どれほど感性を磨き上げても、それだけではアーティストとして社会の中で生き抜くのは難しいです。技術と感性は確かに大事な武器ですが、それだけで厳しい現実を打ち勝てるわけではありません。この厳しい現実に気づけた瞬間、それこそが実は新しいスタートラインなのかもしれません・・・

技術と感性だけでは足りない現実

美術大学や音楽大学、芸術系の学校では、素晴らしい作品の作り方や高度な演奏技術、そして自己表現の探求を学びます。しかし、そこで学べるのは「創る」力だけであり、「生きる」ための術が備わるわけではありません。卒業後に待っているのは予想以上に厳しい現実——どうやって自分の作品やスキルを世に届け、価値を作り、収益を生むのか。この問いに直面し、戸惑う人は少なくありません。

例えば、これは僕の同窓生のの話です。彼は陶芸家を目指し、卒業後は自分のアトリエを立ち上げました。しかし、最初の数年間はまったく売れず、アルバイトを掛け持ちして何とか生活をつないでいました。なぜなら、学校では「どう作るか」は教わっても、「どう売るか」についてはまったく教えられなかったからです。ようやく彼が状況を変えられたのは、SNSで自分の作品のストーリーや制作過程を共有し、コミュニティを築き始めてからでした。彼はそこで顧客との対話を通して、自分の作品がどんな価値を持つのか、どのように人々の生活を豊かにするのかを見出していったのです。これはまさに、アーティストにとって大切な「届ける力」を得るプロセスでした。でも、彼はそれを実現するまでに10年費やしました。それもまた現実です。

活動初期には、訪問営業のように足を使って泥臭く人と直接会う営業活動もとても大切です。最初は自分から出向き、人と話し、自分を知ってもらう努力が必要です。若いときはこの大切さに気づくのが難しいかもしれませんが、この積極的な姿勢こそが、後々大きな成果に繋がります。そして、何よりも重要なのはオープンマインドであることです。新しい出会いや機会に対して心を開き、謙虚に学ぶ姿勢を持つことで、多くのチャンスをつかむことができます。

"作品を届ける"ことの難しさ

現代はSNSが普及し、個人が直接世界に向けて発信できる時代です。まさにチャンスに満ちた時代と言えますが、発信すれば必ず結果が出るわけではありません。多くの若手アーティストが「何を、誰に届けるのか?」という問いに向き合い、その難しさを実感しています。

例えば、友人のイラストレーターのAさんは、自分の作品をインスタグラムに投稿していましたが、最初は反応がほとんどありませんでした。彼女が転機を迎えたのは、自分のイラストが「どのような人に、どんな価値を提供できるか」を深く考え、作品を「インテリアに取り入れたい」と考えているターゲット層に絞って発信し始めたときでした。その後、ホームデコやライフスタイルに関するストーリーを絡めた投稿をすることで、多くのフォロワーを獲得し、作品の依頼が増えていったと言います。彼女もその転機に出会うまで4年半かかったと言います。

単に作品を投稿するだけでは不十分です。見た人が「このアーティストに依頼したい」「この作品を自分の生活に取り入れたい」と思うような文脈作りやストーリーを紡ぐ必要があります。つまり、作品自体を生み出すスキル以上に、それを伝えるスキルが求められているのです。しかし、このスキルは多くのアート教育機関では教えてもらえないのが現実です。教授たちは知らないのです。

また、発信を続ける上で大事なのは、自己表現だけでなく「どのように共感を得るか」という視点です。あるアーティストは、自分の経験や葛藤を交えながら作品の制作過程をシェアしました。それによって、ただの作品紹介ではなく、見る人がその背景に共感しやすいストーリーができ、ファンとの深いつながりを築くことができました。共感を生むことで、作品は単なる「物」から「体験」へと変わり、それが新たな価値を生むのです。

"収益化"はタブーではない

特に日本では、「アートでお金を稼ぐ」ということがタブー視される風潮があります。芸術は崇高であるべきで、お金と結びつけるのは不純だ……そんな考えが根強くあります。しかし、それは大きな誤解です。アートで生計を立てることは、その活動を持続可能にするために必要不可欠なプロセスです。

例えば、友人のバイオリニストのBさんは、最初はコンサート活動だけで生計を立てようとしていました。しかし、収益が不安定で、次第に演奏の機会も減っていきました。そこで彼は思い切って、オンラインでのレッスンを始め、さらにYouTubeで演奏のワークショップを配信するようになりました。彼は自分の技術や知識を「他人のスキルアップを助けるもの」として価値づけ、それが結果として収益に繋がったのです。アートの価値を広げ、収益を生む方法は無限に存在します。それを恐れず追求することが、アーティストとしての持続可能な道を築くのです。

収益化の手段は多岐にわたります。例えば、単に作品を売るだけでなく、その作品の制作過程を教えるワークショップを開いたり、オンラインコースを提供したりすることもできます。アーティスト自身が持つ知識やスキルを共有することは、新たな収益の可能性を生むだけでなく、次世代のクリエイターを育てることにもつながります。このように、アートでお金を得ることは決して不純なことではなく、それが人々にとって有益であり続けるための大事なプロセスなのです。

現代アーティストに必要な力とは?

これからの時代に必要なのは、次の3つの力です。

  1. 発信力:自分の作品や活動をSNSやブログ、YouTubeなどで発信し、世界に届ける力。発信することで自分の存在を知ってもらい、ファンを作ることができます。ただし、発信の内容は単なる宣伝ではなく、どんな価値がそこにあるのかを伝えることが大切です。もちろんオフラインでの活動も大切です。決しておろそかにしないでください。

  2. ビジネス力:作品やスキルの価値を理解し、それを持続可能な形で収益化する力。たとえば、価格設定やプロモーションの方法、そしてどのように顧客を獲得し維持するかを理解することが重要です。この力があれば、アート活動を長く続けることが可能になります。

  3. 共感力:人とつながり、コラボレーションを通じて新たな価値を生み出す力。共感力は、ただ作品を作るだけでなく、それをどのように社会に役立てるか、どのように他者と共有するかという視点を持つことです。共感を得ることによって、アーティストはより広いコミュニティとつながり、新たなインスピレーションや機会を得ることができます。とは言っても一朝一夕に他者との関係は構築されません。地道にゆっくりと積み上げるしかない、というのが現実です。

これらを独学で身につけるのは簡単ではありませんが、逆に言えば、これらのスキルを習得すれば可能性は無限大です。実際に、多くの成功しているアーティストたちは、このような力を活用して自分の活動を成長させています。

結論:アーティストは孤独じゃない

技術や感性を磨くだけでは生き残れない——これは厳しい現実かもしれません。しかし、逆に考えれば、アーティストは技術だけでなく多様なスキルを得ることで、より強く、より自由に生きることができます。誰かが「その絵に感動した」「その音楽で救われた」と言ってくれる瞬間——その瞬間こそ、私たちが生きている意味です。

また、アートは一人で作り上げるものではなく、多くの人との関わりの中で育まれるものです。他のアーティストやファン、支援者たちとのつながりを持つことで、自分の活動を広げ、深めていくことができます。アーティストは決して孤独ではありません。多くの人とつながり、互いに影響を与え合うことで、さらに豊かな創造活動ができるのです。

最後に問います。あなたのアートや活動は、どのように人を幸せにしますか?また、その幸せをどう届けていきたいですか?ぜひ、あなたの視点をコメントで教えてください!


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