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1月5日は,宮崎駿の生まれた日
1月5日は,宮崎駿の生まれた日です。
宿命を与えられたひとの物語
1983年7月に漫画「風の谷のナウシカ」が発売されます。1984年9月には大友克洋の漫画「AKIRA」が発売されています。いずれの漫画も大戦後の失われた世界のなかで,特別な能力や宿命を与えられたひとがその世界と格闘する様子が描かれています。
宮崎 駿 (著)「風の谷のナウシカ 全7巻箱入りセット」(徳間書店)[Amazon]
[ 読了 ] 生きているひとの苦しみに気づけない私たち(泉鏡花「多神教」)
泉鏡花の多神教
泉鏡花の「多神教」を読みました。
ある神社でのはなし。ある女性が怪しい奴として,神主たちに捕まります。神主たちは女性を取り調べて,女性が丑の刻参りをしていることを知ります。
女性は自分を捨てた役者を呪い殺そうとしていたのですが,神主は神聖な神社が汚されたと腹を立てます。腹を立てて,女性を裸にし,裸になって踊るよう仕向けます。
そのとき,社殿が開き,媛神が姿を現します。媛神は
[読了] (滑稽新聞第61号から第89号)
「滑稽新聞」の第71号(明治37年4月26日)に不思議な文字「サムハラ」を配布した人物のことが載っているというので,滑稽新聞を買って読んでみました。しかし,「サムハラ」の記事は見つからず。なぜ見つからないのだろう
吉野孝雄 (著)「宮武外骨・滑稽新聞 第3冊」(筑摩書房) [Amazon]
上の本は,抜粋されたものなのだろうか。どなたかご存知の方,教えていただけませんか?
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[読了]天皇と憲法(保阪 正康(編集)「50年前の憲法大論争」講談社現代新書)
保阪 正康(編集)「50年前の憲法大論争」(講談社現代新書) [Amazon]
本書は,1956年,3月16日の開催された「第二十四回国会 衆議院内閣委員会公聴会」の記録となっています。どんな意見を聞いたかといえば,憲法調査会法案について。「50年前の憲法大論争」とあります。今からいうと 70年前のはなし。随分前のはなしですが,今話されているかのような錯覚に陥ります。
公聴会のやりとりを読むこ
[読了] 知事選挙に思う。大人たちよ,ちょっとおかしくないか?(五味太郎「さらに・大人問題」講談社文庫)
問題なのは大人です。大人に問題があるのですから,その問題のある大人が世の中をいろいろと分析してみても,そのメガネが歪んでいるので,とんちんかんな結果しかでてこない。
2007年の参議院選挙,2009年の参議院選挙。問題なのは政治家だと思っていました。けれども,問題だったのは,すべての大人だったのかもしれません。政治家は問題だ!と思った大人たちが下した結論が導いた世界は恐ろしい世界でした。しかし,
[読了] 苦しみは他人にわかる言葉にして,よおく狙って受け止めてほしい人に放り投げないといけない。(緑川ゆき「夏目友人帳5」花とゆめCOMICS)
夏目友人帳,第5巻。
今回は夏目の高校の友人たちがたくさんでてくる。そのうちのひとり田沼が思う。夏目は一体どんな世界を見ているのだろう。家の天井に泳ぐ魚が見える。田沼も見えるが,夏目も見える。ふたり以外には見えないものだろうが,ふたりには見える。けれども田沼は思う。夏目と自分とではちがうものを見ているのではないかと。夏目は一体どんな色を見ているのだろう。
いつか,話してくれるだろうか。
そう
[読了] 自分の気持ちを受け止めてくれるひとがいたら孤独は癒えるかもしれない(緑川ゆき「夏目友人帳4」花とゆめCOMICS)
夏目友人帳,第4巻。
名取から夏目は旅にさそわれた。他に友達がいるだろうにという夏目に,同じ風景が見える友達は君だけだと名取は言う。
名取との旅行中,夏目は夢でうなされる。名取とならば本当の自分の気持ちを語り合えるように思ったが,それは,もしかしたら,今まで自分は一度も本当のことを誰にもしゃべらないで生きてきたのではないか。それをなんという言うんだ。そうか,嘘つきだ。夏目がこれまで周囲から常に
[読了] 好きなひとの目に映らない(緑川ゆき「夏目友人帳3」花とゆめCOMICS)
夏目友人帳,第3巻,第10話は恋のはなし。
妖と人間の男が恋仲になる。ある日を境に,男は妖が見えなくなる。妖には男が見える。男は毎日妖に会いにきて,名を呼ぶ。妖は男のすぐ側にいて,男に返事をするけれども,男には見えないし,妖の声も聞こえない。そのうち,男は妖に会いに来ることもなくなった。妖はそれ以来ずっと男を待っている。
主人公の夏目は妖が見えることで,小さいころから,孤立していた。妖と人間の
[読了] 境遇が同じでも分かり合えない(緑川ゆき「夏目友人帳2」花とゆめCOMICS)
第1巻は主人公の夏目の孤独が祖母の存在を知ることによって溶けていく様子が描かれている。誰にも理解されない孤独。その同じ孤独を知るものが過去一人はいたというのが救いになっている。
しかし,第2巻。同じ境遇であるだけでは,ひとは理解しあえないことに夏目は気づく。俳優の名取が物語に現れる。名取は夏目と同じ。妖怪を見ることができる。けれども,ふたりは互いに相手に自分とはちがうものをみる。夏目は名取の偽悪
[読了] あの世の効用(菅野覚明「神道の逆襲」講談社現代新書)
菅野覚明「神道の逆襲」(講談社現代新書)[Amazon],とても,面白かったです。
神代からある黄泉の国
本居宣長の古事記解釈(図1)や,平田篤胤の幽冥界のはなし。
それらは古事記の世界を整合的に構築し直そうという試みだった以上に,まさに篤胤自分が生きるためにどうしても必要な理論だったという。例えば,若い時から苦労をして,最愛の妻を亡くした篤胤。彼にとっては幽冥界はなくてはならないものだった
[読了] 孤独との付き合い方を考える本(緑川ゆき「夏目友人帳1」花とゆめCOMICS)
妖怪はひとの姿をみることができる。しかし,ひとは妖怪の姿を見ることができない。けれども,主人公の夏目は妖怪を見ることができる。
夏目は幼いころ,両親をなくして,親類の家をたらい回しにされている。大人たちは自分を邪魔者だと思っている。他のひとには見えないものと喋っているので,周りのひとからは,ひとりでぶつぶつ喋っている変な子どもと思われている。
他のひとが見えないものを自分だけ見ることができる。
[ 読了 ] この世は美しい(梅原猛「梅原猛の授業 仏教」朝日文庫)
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梅原猛が中学生を対象に仏教の授業をしました。その授業が整理されまとめられています。
仏教はご存知のとおりインドで生まれました。遠い遠い国で生まれた仏教を,なぜわたしたちのご先祖は受け入れ,発展させていったのでしょう。
仏教にはいけないことが定められています。殺してはいけないとか,盗んではいけないとか,お酒を飲んではいけないとか,音楽を聞いてはいけないとか。それはキリ
[ 読了 ] これが私の優しさです(谷川俊太郎「これが私の優しさです」 集英社文庫)
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谷川俊太郎の詩を読んでいると,耳元で,こう,そっと言われた気になる。
わたしはみていました。あなたが昔あの子どもを殺すところを。
わたしは,はっとして,ああ,そうだった,すっかり忘れていたが,そうだった,わたしはたしかに子どもを殺した。自分の罪の記憶が記憶の奥底から浮かび上がってくる。
罪を認めようとすると,しかし,それが全くの事実ではないことに気づく。
わたし