また警察官は白い目で見られる時代になるんじゃないの?
昭和50年代くらいまで、警察官は世間から嫌われていた。
胡散臭い人とか、何をやっているかわからない人とか、悪い事をしている人といった扱いで、昔の刑事ドラマを見ると、警察官が酷い嫌われ方をしている描写が多々見られた。
警察官と結婚しようとすると親に反対される、警察官と繋がりがあるとわかると煙たがれる、嫌がられる、等々、殆ど差別に近いものがある。
念の為、誤解を招くといけないので言っておくが、我が家ではそのような事はなかったので、あくまでも当時の世間全般の話だ。
そういった家庭で育ったからこそ、テレビドラマで描かれている警察の嫌われ方というのが、強く印象に残った、という事だ。
原因を考察してみると、よく言われるのが、戦時中に特高警察が出鱈目な弾圧をやったからだ、という話があるが、それは違う気がする。
その事も無関係だとは言わないが、はっきり言って、戦前の左翼なんて言うのはエリートくらいしか接点ないし、働き口を求めて都市部に出て、勤め先が労働争議をやっていて、それで左翼と接点ができたとか、結構特殊な環境じゃないと基本的に関係ないので、特高警察に対してああだこうだと恨みが残っている家庭というのはそんなに多くない。
実際我が家もそういった話は聞いた事がない。
となってくると、最近無罪が言い渡された袴田事件をはじめとする冤罪事件が戦後多発した事かな、と思う。
実際、名張毒ぶどう酒事件なども相当酷いし、警察だけでなく、検察自体が、起訴した被告人を有罪に持ち込めればいいという感覚で各証人の証言を検察の主張通りのストーリーになるように調整したり、今ではとてもじゃないが信じられないような事をしていた。
冤罪事件の報道を聞いた人達が、警察や検察に対する不信感を募らせたであろう事は想像に難くない話で、この問題は確実に警察に対する国民の心証を悪化させた要因だと考えられる。
それ以外だと学生運動も考えられる。
当時はまだ大学進学率が低く(昭和45年時点で男27.3、女6.5。ただし女性は短大進学が多い点を考慮する必要あり)、世間の人達は「金持ちの坊ちゃん嬢ちゃんがお遊びで暴れてやがらあ」くらいの感覚だったそうで、相当冷めた目を向けていたと言われている。
その為、学生運動の影響で警察に対するイメージが悪化していたというのは、あんまりないかな、という気はする。
それ以外だと警察官個人が起こしたろくでもない不祥事か。
過去の警察不祥事についてウィキペディアで探してみたが、やはり結構な頻度でヤバい事件が起きている。
ちなみにネット上でほぼネタ化されている大阪府警ネコババ事件は1988年だ。
しかしこれらは昔の話で、今は警察官が嫌われているという事はないし、小学生のなりたい職業の上位に食い込んでいたり、好ましい結婚相手の職業として警察官を挙げる人がごく普通にいたりと、昔の扱いを知っていると、まさに隔世の感がある。
警察24時の効果なのか、警察に対する批判的な報道が20年くらい抑制されている事が原因なのか、名探偵コナンのような推理アニメ、推理漫画が人気を博し、ずっと放送・連載されている事で、警察官という職業に対する印象が良くなっている為なのか、理由は複合要因なのだろう。
だが……。
鹿児島県警本部長と県警本部らの不祥事隠しを更に隠す為の醜悪な姿を見て、世間はどう思うだろう。
今度は本田前生活安全部長は井上前刑事部長を陥れる為に公益通報の体を取っただけだ等と言い出した。
その井上前刑事部長自体が鹿児島中央警察署長時代に強制性交罪の隠蔽を働いた疑いを持たれている疑惑の幹部であるにもかかわらずだ。
傍目から見れば「どこまで腐ってんだ、こいつら」となる。
自己保身さえできればいい本部長と警察庁はどこ吹く風だ。
こんな事をしてどんな目で見られるのか、わかってるんだろうか?
警察は不正を働いても揉み消して誤魔化す糞組織。
そういう目で見られる。
当然、信用もガタ落ち。
誰からも信用されなくなる。
日経の女性記者をストーカーとして逮捕した事件も酷い話で、どうも女性をストーカーにでっち上げた疑いがあり、しかも、被害を訴えた男性が有力政治家と接点があった関係で、警視庁が政治家案件として処理し、その為に女性がストーカー扱いされた疑いまで出てきている。
これにもだんまりだ。
実は警視庁には前科があり、前警察庁長官の中村格氏が警視庁刑事部長時代、政治家の関係者が絡む事件では特別扱いをして、本来なら逮捕しないような案件でも捜査一課に指示を出して逮捕させたり、政治家案件を濫発させて、警察活動を大きく歪めた事があった。
別段安倍政権を批判する意図はないのだが、安倍政権になって以降、官邸が警察官僚の人事を握っているという事で、全ての警察官僚がそうだったという事ではないようだが(反発する人もいたそうなので)、政治家が何か指示を出したわけでないのに勝手に忖度して、政治家案件としておかしな処理をするケースが起きていたようで、安倍政権は長期政権だった為、そのような「政治家案件」として処理されたが為に、犯罪者にでっち上げられたケース、不当に逮捕されたケース、逆に、犯罪を犯したの身揉み消されてしまったというケースが、果たして全国で何件くらい発生しているのか、わからないという恐ろしい状況にある。
点検したら激震が走るんじゃないかね。
それ以外にも氷見事件やら2019年発生の愛媛女子大生誤認逮捕・自白強要事件、2020年に再審で無罪判決の出た湖東記念病院事件、今年起きた滋賀県警のいなり寿司誤認逮捕事件など、警察に対する不信感が高まるような事件が連続して起き続けている。
そうした状況下で鹿児島県警本部長による不祥事隠しと、それららに隠蔽する為の醜態が晒されている状態なので、まさに、鹿児島県警の事件は、警察にとどめを刺すような事件になった。
しかも今度は京都府警本部長が「殺すぞ」と部下を脅迫したと報道された。
俺自身、警察がどれだけいい加減で、どれだけ平気で犯罪を捏造したり、逆に揉み消してしまう組織なのか、痛感したので、とてもじゃないが信用できないと思い始めているし、鹿児島県警の本部長がこのままきちんと処分も処罰もされず、公益通報した本部前本部長が嫉妬から同僚だった井上前刑事部長を陥れようとしたなどと汚名を着せられて潰されるのだとしたら、警察というのはそういった組織なのだと、仮に今後も今の警察の組織が続くのだとしても、そう認識せざるを得ないと考えている。
途上国によく見られる腐敗に塗れた警察と、日本の警察は同等だ、と。
他の人がどう考えているのかはわからないが、こんな事をしておいて、国民が警察を信用なんかするわけないので、昭和50年代のように、また警察官が信用されず、国民から嫌われている時代に逆戻りするんだろうね。