東宝「赤頭巾ちゃん気をつけて」を鑑賞する。1970年安保で、東大は受験中止。そんな社会的なことよりも、主人公は恋人のことで頭がいっぱい…楽園じゃねえか!
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『赤頭巾ちゃん気をつけて』(1970=昭和45年、監督:森谷司郎)。
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原作は、芥川賞を受賞した庄司薫の同名小説(1969年)。世は、東大安田講堂事件などの学生運動の嵐か吹きすさぶ1969年の2月9日。
その日の朝、日比谷高校に通うノンポリ受験生、薫は、志望していた東大の受験が流れることを知る。
そして同時に訪れる、愛犬の死。
そのとき薫は不注意で足の爪を剥いでしまう。幼馴染の由美、東大に通っていた次兄の元恋人の女医、クラスメートで文学青年の小林らと薫が過ごす、2月9日と10日の2日間を、回想を交えて描いた青春譚。
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原作が有名だったので気になっていた。
1968年以後、男子はどのように生きればよいのかという問いを、シティボーイだけど少し引っ込み思案なインテリ高校生の薫と、彼の友人知人たちとの交流の中で考えている。
ヒッピー的な性の解放という退廃、政治運動に生きる青年たちの情熱と挫折、消費社会の到来など、時代のうねりを生きる青年の姿をきちんと映していると思った。
何より、薫役の岡田裕介(東映の岡田社長の息子)と由美役の森和代(森本レオの嫁、当時は装苑とかのモデルだったみたい)が妙にスタイリッシュで色鮮やか(薫は黒しか着ないけど)でカッコよくて、あー1970年の東京は消費社会が来ていたんだな、と直感する。
とはいえ、それまでの映画とも言えるかなー。薫が性でもなく文学でもなく思想でもなく、無垢な少女との交流に可能性を見るというのは、ややナイーブな(鈍感な?)結論に思えた。
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とはいえ、当時の若者のニヒリズム、やるせなさ、憂鬱な気分はしっかり保存されています。
https://www.youtube.com/watch?v=hGxd4q4gmPA
⇓ 佐良直美が歌うエンディング曲「赤ずきんちゃん気をつけて」も名曲。
長年、黒澤明の助監督をつとめた森谷司郎監督は、この頃は、東宝作品には珍しく「セックスの匂い」のする青春映画の傑作・佳作を、次々と産んでいった。
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もし、この映画を見て「面白かった」と思ったら、同じく森谷司郎監督、ヒロインを高校生の栗田ひろみ(これまた、奇跡的に可愛らしい!)が演じた小悪魔系青春映画の大傑作「放課後」も観てください。
オープニングに流れる主題歌が、井上陽水「夢の中へ」。これがラジオの深夜放送から火が付き大ヒット。庵野秀明も大好きなのである。
⇓ エンディング曲「いつのまにか少女は」も、たまらない名曲です。
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