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110円でコーヒーは飲めるけど、かわいいカフェでお茶をするのが好き
のどが渇いたら110円でコーヒーは飲める
だけどあたしは かわいいカフェでお茶をするのが好き
おしゃれな部屋に住みたい
流行りの服が着たい
話題の映画が観たい
最新の携帯に替えたい
車の免許が取りたい
海外旅行に行きたい
だから仕事を探さなきゃ
がんばって働かなきゃ
10代のときに読んだ、漫画『NANA』の1ページ。仕事をクビになってしまう主人公のハチが、街で缶コーヒーを買ったシーン。
「ハチはわたしだ」って思った。当時の同世代はみんなそうだったんじゃないだろうか。
缶コーヒーが悪いわけじゃない。ただ、心がときめくような空間でお茶をする、そんな毎日でありたかったし、それを選べる自分でいたかった。
〇〇をしたい、特別な人間になりたい、たったひとつでもいいから夢中になれることに没頭してみたい。
当時は「きっとこれから出会う仕事や人々によって、この欲は満たされるに違いない!」と信じていました。
あれから何年もたち、アラサーになったわたし。
未だに欲にまみれており、毎日「仕事を探さなきゃ!がんばって働かなきゃ!」をやっています。
全然成長してなくない?
憧れていた白くて天井の高い家には住めてないし、着古したユニクロの服ばかり着ている。
映画の料金は2,000円になったし、海外旅行も高くなりすぎていつ行けるようになるだろう?
なんなら缶コーヒーは140円になった。ねえハチ、缶コーヒーはもう110円で飲めないんだよ。
なんか状況悪くなってない?毎日一生懸命働いてきたけど、小さい欲望すらなかなか叶わない。やってられないよね。
それでも1つだけ、自分に許していることがある。
それが毎朝のコーヒー。
カフェで買うこともあれば、コンビニのコーヒーマシンで買うこともある。NANAを読んでいたころには考えられないくらい、コンビニでおいしいコーヒーが買えるようになった。
もちろん自販機で買うよりは高くつくけど、コーヒーの香りに包まれる瞬間がどうしても好きだ。
毎朝この苦さを身体に流し込むと、背筋が伸びるような気持ちになる。わたしにとって「今日もいちにち、なんとかがんばろうかな」のスイッチがコーヒーだ。
もしかして10年後も、同じことを繰り返しているのか・・・?と不安にもなるけど。それでも毎朝コーヒーを買えるような余裕は、絶対に手放したくない。
ささやかだけど、守りたい生活がある。まだ叶っていない欲を追いかけながら、明日の朝もコーヒーを買う。週末は、新しくできたカフェでお茶をしたい。
だから、がんばって働かなきゃね。
またね。
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