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すっとこどっこい丸
2021年7月13日 21:31
風を浴みに外へ出た。風は街を滑走するその摩擦によって大気は熱を帯びていた無数の塵を巻き上げて仄白く霞んで見える背筋を伸ばしたコンクリート壁に囲まれながらも葉緑の中に密かに蒼を携えてその樹は立っている。天を掴むように広げた身体でも掬いきることができなかった光が木漏れ日となり僕の顔の皺を増やした。その木漏れ日の収束地点で茶色い樹幹に紛れながら一匹の蝉が哭いている
2021年7月11日 13:34
カーテンが音も無く揺れている。その間隙から漏れ出した朝陽は真っ直ぐ手を伸ばし挑発するように僕の顔を撫でている。支配的なその光から逃れるように部屋の奥へ移動した。不意に、目覚まし時計が鳴り響いた。それが消灯の合図だったかのように僕は床についた。今日が明日になってから8時間ほどたった時のことだった。束の間の緊張からの解放。有意識がリアルの条件なら僕は少しの間だけこの