憧憬・ここではないどこか・高円寺
高円寺まで電車で1本の町に住みはじめた。
高円寺は憧れで、畑と家とスーパーに囲まれた田舎で過ごしていたわたしにとっては、夢そのものだった。ロックはいつも高円寺を歌う。彼らの思い出はセピアで、輝いていて、1度も行ったことがない高円寺がなぜか故郷みたいに思えた。
地元は嫌いだった。小1で引っ越してすぐの頃、朝掃除のグループの子に、「掃除なんだから遅刻しないで」と言われた。そりゃあ遅刻はよくない。それも他人に迷惑がかかるなら尤もだ。ごめんなさい。けれど直後その子は、遅れて入ってき