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スポーツデータを理解する要点ーファンが使うのか、選手が使うのか。書評『よくわかるセイバーメトリクス』(岡田友輔他著、玄光社、2023年)

良書である。一通り知っていて損はない「データ」が、載っており、論理的に整理された順番で「データ」が分析されていく。そのため、大変読みやすい。

また、本場のMLBだけでなく、日本野球の分析も載っており、日本野球のファンも読める。良書だ。

これは、本場のアメリカでも同じだが、「数字」でスポーツを語る人は嫌われる傾向にある。

私見だが、これは二つの立場がごちゃまぜになっているからである。二つの立場とは、「選手(監督)」と「ファン」である。

「選手(監督)」は、短期的なデータを使って試合をしている。一般的な言葉では、「傾向性」だろう。

バッターなら、相手投手の投球配分、「あるカウントでどのコースにどんな球種を投げるのか」、これがもちろん一番知りたい「傾向性」である。

ピッチャーなら、相手バッターが「どのコースのどの球種なら空振りしやすいか」、という「傾向性」である。

これが、現場レベルのデータであり、この「傾向性」を頭に入れた上で、プレーしており、今や「データ」を使いたくないという選手はいないだろう。

それに、対して「ファン」は長期的なデータを好む。「1球ごとに、データが当たったかどうか」気にする人はいないだろう。

「ファン」が、好むのは「打率」や「防御率」などの長期的データである。これは、主に選手を評価するときに使われ、「首位打者」とか「奪三振王」などのタイトルがある。

この二つの違いが分かれば、「数字」でスポーツを語る人を毛嫌いしなくて良いだろう。選手は確かに「データ」を使っているが、その先からが、選手の能力の勝負である。

それに対して、数字を使うファンは、単に数字でその選手を語っているだけである。別に、「フォームが良い」というのと同じである。

どのスポーツのデータでも以上を切り分けて見ることをお勧めする。何を言っているのか分からないデータが出てきたら、自分にとって本当に必要なデータかが分かる。

分からないものは、分からなくてもいいのである。

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