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日記_2024年10月20日(日)_古典の魅力① 『おくのほそ道』 (松尾芭蕉 著)

 11:52、上島珈琲。
 朝に眼科での検診があり、終わってからカフェでコーヒーを飲みながら書いてる。


松尾芭蕉 著『おくのほそ道』

 最近読んでいる、〈松尾芭蕉 著『おくのほそ道』 角川書店 編〉がすごく面白い。

 現代語に直された訳がとても分かりやすく、何といっても芭蕉が旅の最中に感じた自然の雄大さ・侘び寂び・旅情が作品の端々に溢れている。

 たしかに、すごく読み応えはある。
 けれど、めちゃくちゃ力を入れて真正面から向き合い、深い思考が無いと読めない本かというと、決してそうじゃない。

 むしろ、とっつきやすくて手軽に読める短文にも関わらず、その中に込められている情感がとても豊かで、読み進めるごとに自分の心も満たされていく感じ。

 「うわぁ〜」と、読んでいる最中、いい意味で何度もうなってしまう。
 こんな文章を、自分も書けるようになりたい笑。


隣りのおじいさん  「身体に気をつけてね」

 隣りに座っているおじいさんが、さっきから熱心に数式を解いている。
 ∫(インテグラル)から始まる数式を、 B4くらいの小さな紙を真ん中で2つに折り、音も立てずボールペンで静かに書きつけている。

 書き物をしている人が隣にいると、とても嬉しくなる。書くのが好きな、『仲間』に出会えた気分。
 ふつふつと、心の底から喜びが込み上げてくる。

 そっと、おじいさんの様子を伺う。
 集中して、とても綺麗な字で数式を書き綴っている。歳相応の、ちょっと緩慢なスピード。でも、無駄のないその佇まいが、とても美しい。

 隣りに座って書き物をしている人が、こんなふうに静かな情熱を持っている人だと、とても嬉しい。こうして日記を書いていても、テンションが上がる。
 たまたまの巡り合わせだろうと何だろうと、隣りに座れて良かったと思う。

 おじいさんが、筆記用具と小さな紙片を片付けて、席を立つ。

 「身体に気をつけてね。元気でね」

 見ず知らずの人だけど、僕は心の中でそっとささやいた。
 元気で長生きして、趣味(?)の数学を末永く続けてほしい。

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