【#毎週ショートショートnote】節分胎教
季節の変わり目に「鬼」が来るという村があったそうな。
鬼は村の女を山奥のすみかに連れ去ることを繰り返していた。
困り果てた村人たちは、「木花之佐久夜毘売」が祀られている神社でお祈りをしたところ、祭壇がまばゆい光を発し、この時代には存在しないおかしな服を着た女の子が現れた。
村人たちはその子が木花之佐久夜毘売の化身だと思い鬼退治を懇願したため、女の子は祭壇に安置されていた伝説の弓を持って鬼のすみかへ向かったのだが・・・。
「ストップ!」
俺が妻のお腹の中にいる赤ちゃんに話を聞かせていたら、妻が止めてきた。
「え、どうかした?」
「その話、『鬼巫女』っていうゲームの話だよね!」
「ギクッ!」
「私が妊娠してからアンタはオンラインゲームばかりして、私が悪阻の時もお構いなし!」
「・・・」
「アンタの中の煩悩にはほとほと疲れたわ!実家に帰らせていただきます!」
数日後。
妻は出て行き、残された俺は節分の時に買った豆を泣きながらボリボリ食べた。
(410文字)
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この記事は、たらはかにさん企画【毎週ショートショートnote】参加記事です。
今回のお題は、【節分胎教】でした。
長女がお腹にいたときに、クラシック音楽や童話を聞かせたり、たくさん話しかけたりと、毎日胎教をしていた時期がありましたが、胎児の教育というよりかは、「夫婦の絆を深める」という意味合いが強いように思います。
今の長女を見ていると、教育目的という観点で言えば胎教って効果なかったんだなと思いました(笑)
ちなみに、作中に登場した、木花之佐久夜毘売(このはなのさくやびめ)は、日本神話に登場する女神のことです。
以前、古事記の現代語訳版を読んだのですが、物語もよく分からず、登場する神々が多すぎる上に名前も長いことから全く頭に入ってきませんでした・・・。
その後、マンガで読んで話の流れが何となく分かりました(読んだのは以下の本です)。
マンガって読みやすいし偉大ですね。
次回のお題にも挑戦します。
読んでいただきありがとうございました🍀